■墓場鬼太郎05ニセ鬼太郎s高橋郁子c地岡公俊d波多野浩平地岡公俊g橋本敬史窪秀巳

◆原作をうまく換骨奪胎した冴えたアレンジと、手練れの演出の目立つ回。面白かった。
◆前回伏せていたニセ鬼太郎の行動と寝子ちゃん殺害の動機（地獄討論に臨むために地獄の砂を希求）を、あっけらかんと回想で処理する構成はどーかと一瞬思ったが、カットを細かく刻み、テンポ良く進める演出の手つきのおかげで気にならない。

◆特に、TVでの地獄についての討論番組とゆー、かなり無理のある状況設定を、画面のテンポと音演出で無理矢理語りきる力業。このシークエンスのラストでのねずみ男の放屁による逃走というオリジナル展開もなかなか良かったのではないでしょうか。

◇また、ちゃんちゃんこを奪われた鬼太郎が、憂さ晴らしにスカートめくりをしたり、くだを巻いて公園のベンチで涙を流しながら寝込んでいる様子などは、アニメオリジナルな描写だけど、実にチャーミングで良かった。
「天誅ーっ・・・うひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・」

◆この回のシメは、鬼太郎の寝子ちゃんへの未練の絶叫。原作では、生と死の境界があっけらかんと曖昧なテイストを反映して、「地獄へ駆け戻って寝子ちゃんを連れ戻そうとする」までの劇的な行動はせず、感情の総括はされないのだけど、そこをキチンと掬い取る脚本ですっきりしたよ。
「寝子ちゃん無き世界・・・それは砂漠だ」

◆◆以下メモ◆◆
・冒頭の「忌中」の家や、寝子ちゃんの地獄の家にかかる、水木作品特有の「場の雰囲気」を表現する「霧」が、「葬式感」溢れる不吉さでとてもヨカッタ。

・原話は、寝子ちゃんの死後、ニセ鬼太郎の地獄の放浪を中心に展開する「地獄の散歩道」。原作後半のビート族の青年と妖怪すき焼きパーティは省略？