■墓場鬼太郎02夜叉対ドラキュラ四世s成田良美d角銅博之g波風立流

◆このシリーズの鬼太郎のキャラデザは、貸本版デザインを生かしつつ、奈良美智風のチューニングですね。(特に不機嫌な三白眼。)不機嫌で不気味で、それが可愛い。
冒頭、電気代や家賃を払えと責め立てられて、黙って不機嫌に下を向く鬼太郎が、もう可愛いのなんの!


◆また、この回は冒頭とラストで、経済社会の疎外者としての鬼太郎をキチンと描写していて、私の期待に応えてくれています。もっと、この成分を増やしてくれないかな。

◇冒頭、家を追い出された鬼太郎は父に問う。
「お金、お金、お金。・・・お金はそんなに大事なものなんですかあ?」(鬼太郎)
「(・・・)人間の世界で生きて行くにはお金は必要不可欠だ。なんとか手に入れる方法を考えないとなあ。」(目玉のオヤジ)


◇また、ラスト、鬼太郎親子が地獄へ導いた社長の残したお金に、意地汚く喜ぶ鬼太郎達が最高です。
「父さんお金ですっ!」(鬼太郎)
「おい!それは社長の金だろう!」(水木さん)
「死んでしまった人間に金は使えないでしょう。もったいないからわし等が使わせて貰います。」(目玉のオヤジ)
「いヒヒヒヒ・・・・」(鬼太郎)

◆ところで、そんな美質のある回だけど、物語の再構成の手腕や演出としてはイマイチ。
原作を再構成するのは全く正しい行為だけど、原作に既に存在する物語的整合性を失わせてどうすんだーっ・・・・という脚本が気になりすぎる回でした。


◇ただし、この回を「悪夢」のようなとりとめのない話として描こうという脚本的試みだとしたら、分からんでもない。原作からして唐突な連想により話が転がっていくし、それだったら、前後の話の脈絡などはなから意味がない。


だけど、そう好意的な解釈を許さない、とんがったカンジのないフツーな雰囲気が脚本や演出から漂ってきてしまっていて、この回は残念な感じがしちゃったのです。


◆◆以下メモ◆◆
・特にねずみ男と鬼太郎を冒頭で会わせてしまっているのが最大の失策。そのあとの夜叉に魂を抜かれた鬼太郎の宿屋(原作だと下宿屋なんだけどな)での、ねずみ男と鬼太郎のやりとりが居心地が悪くて悪くて。