■神霊狩/GHOST HOUND 06Brain Homunculus-脳のなかのホムンクルス-s小中千昭c山田勝久d玉田博g澤田譲治

◇1話遅れ。
◆冒頭、「魂抜け」した身で、あっけらかんと山中、放浪のおっさんと自然に会話するのに度肝を抜かれた。
こういう素直な展開と、音演出と場面の積み重ねでフェイントかけまくる(しかも、演出と話の進み具合が微細すぎて、むしろ訳が分からない部分が多分に多い)本編の大部分との乖離がものすごいなあ。


◆この回は、主人公古森太郎くんを除いたメインキャラふたりが、作中で言うところのエクスポージャー、トラウマの対象に向き合う回かなあ。
大神信くんは、家業である「拝み屋」と教祖である祖母との関係によるイライラ感を払う為に、これまで遠ざけてきた、精神的な皮膜隔てた向こう側にある父が自死した部屋に入ってみた。


◇中嶋匡幸(まさゆき)くんは、自分のいじめが原因で飛び降り自殺したクラスメイトが屋上から見下ろしてくる幻影を払う為に、屋上のヘリに立ってみた。


◆それらは、皮膜隔てた別の論理の支配する世界を覗くのに等しく、躊躇いつつ、興味があり、しかしまた躊躇う。


◇だけど、ついに飛び越えてみると・・・・・大神くんにとっては、父の死の向こうに、母親に対する激しいこだわりが顕わになる。
(たまたま見つけた写真に、若き日の父とその友人。そこには、父と(たぶん)母と、(この回散々選挙カーでアピールしていた)矢崎もといさんと、あともう一人(都の父?)。・・・・きっと何かの伏線ですね。)


◇一方、中嶋くんは、屋上のヘリに立ち、何でもないと思った瞬間に恐怖が爆発的にこみ上げてくる。(突風という自然現象でふらついたと言うよりは、これは、やっぱり精神的なフラッシュバックじゃないかと思いました。)


◆ところで、この回、以上二人の恐怖、或いはトラウマの起源が<過去>にあるらしいと見える一方、主人公古森くんのトラウマが、<現在>にあり、しかも進行中であるという対比があるような気も・・・・。


◇第四話で、「姉と自分が監禁されていた廃病院」を探索したのは、実は古森くんにとって全然エクスポージャーじゃない。むしろ、「甘美な異世界の思い出」のように演出されているような気さえしています。


◇では、何が彼の恐怖の源なのかというと、それは「母親が狂うこと」。そして、それは少しずつ日常を蝕みつつある。(そもそも、前回の第5話でカウンセラーに対してそのことを表明しているし。)


◇この回でも、母親が夜中、仏壇に向かって暗がりで手をあわせる様を、じっと見つめる古森くんがいる。
一見、物語の中で一番素直ないい子、安定した精神を持っている様にも見える古森くんは、その内面において何を思うのでしょう。


◆◆以下メモ◆◆
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・自室で古森くんの独白。
「だんだん魂抜けっておもしろうなってきたごたる。・・・もっと自由に動けたら、<幽世のなかば探検とかできたら>・・・・・(恐らく死んだ姉に)また会えるとやろか。」

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・古森くんは神社の長い石段の途中で魂抜け。現実に戻ってみるとバランスを崩して頭を打つ。
・久間田田総合病院へ救急車で運び込まれる。


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・そこには都の父親の知り合いの脳外科医がいる。
・前回、彼が電話で相談していたのは彼女。都に悟られると言い訳。
「この女医さん、鳳麗華さんって、教え子っていうほどじゃないが東京の大学で聴講生だったんだ。うん、今じゃ有名な脳神経学者でね。丁度この久間田に来てたのよ。いやー、ラッキーだった。」