■神霊狩/GHOST HOUND 05 O.B.E-Out Body Experience-体外離脱体験-s小中千昭c湖山禎崇d筑紫大介g小谷杏子

◇2話遅れ。
◆安定と不安定のバランスが面白い。
◇不穏な生育環境や現在の状況を抱える主人公3人。そこに足を垂らした場面について、不安定な音による不穏な空気の演出がなされる・・・というのがこの作品のこれまでの中心を占める演出トーンだと思う。


だけど、一方で、可愛らしいキャラクターデザインに従うように、(トラウマを抱えているとはいえ)彼らの安定した人格が非常に目につくんだ。


◇安定した彼らの人格の周辺に、不安定な事象が配置される。それは現実においては、宗教を営むばあさまの堅くて不安定な精神だったり、娘の死に起因する精神を病んだ母親の目の痙攣だったり、カウンセラーの不自然な存在感だったりする。


そして、たぶん同様のレベルで、異界、この物語で言う幽界(かくりよ)が配置される。


◇・・と、こう考えれば、話としては理解しやすいわけだ。幽界の描写以上に、現実の病んだ不安定な環境の演出に力を入れている理由も、分かり易い。
やがて不安定な現実と不安定な幽界は接続するのだと予想しちゃう。


◆だけど、面白いことに、主人公3人が体験する「魂抜け」の2頭身の可愛らしい魂の形象を含めて、幽界と呼ばれる世界の、なんと安定していて、神秘性のカケラもない輪郭の太い俗な安定感のあるビジュアルなんだろう。


◆すると、私如きが考えるモノガタリの構図は、当てはまらず、じゃあどうするのか・・・・というのが、非常に興味があるなあ。


◇個人的には、このあたりのアンバランスさが、この作品の魅力であり、(今後の展開にかかってくるけど)現時点での弱点な気がしちゃっております。
ワタシは、現時点では、具象化して表現される魂と幽界の安定感の、不自然さが気になって仕方がないですよ。


◆◆以下メモ◆◆
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・主人公古森太郎くんのカウンセラーの先生の不安定でいびつな怪しさ。彼の登場シーンはカチカチとメトロノームをならすみたいな音演出が多く、不安をかき立てています。


・太郎くんの為に、「週の何日か、わざわざ東京から通って」きて、あまつさえアパートを借りようとしているカウンセリングの先生の本当の目的は何か?


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・古森太郎くんは、姉の死に起因する母親の精神状態が心配でしょうがない。いい子だなあ。
「最近しったとですが、・・・お母さんが悪うなったとは、事件のこつだけじゃなかごたるみたいで・・・僕とお姉ちゃんが見つからない間に何度かいたずら電話がありよったち。・・・事件のこつ、そん時知ってたんは、町ん人ぐらいで。どげなこつば言われたかちまでは、僕、知らんとですわ。」
「お母さん・・・寝られんから薬ばのんどっと。・・・ばってん、薬ば飲むと夢ば見られんち。夢んなかだけでお姉ちゃんと会いたかち思いよると。」


「僕がホントに恐かつは、・・・・・お母さんが、壊れるこつたい。」


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・第一話で小学生巫女の都ちゃんがぼんやりながめていた四辻の幽霊を目撃する、魂抜けした太郎。


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・無口で安定しているように見える都ちゃんの、不安定な人格について、神主の父親が電話で誰かに相談している。
「・・・そうなんだ。・・・まるで、その・・別の人格みたいになったように見えるというか・・・(・・・)乖離性同一性障害か・・・いわゆる多重人格症ってやつのことは疑ってみたんだが・・・・」
「本人は少なくなってきたっていっているんだが・・・逆に増えているような感じで・・・」


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・魂抜けして2頭身で宙に浮かぶ主人公3人をみて、呟く謎のオヤジ。
「なんだ。天狗さんかとおもったら・・・ただのガキどもかい・・・」