■電脳コイル20カンナとヤサコs磯光雄松澤大介c笹木信作d野上和男安川勝g根津匡覧

◇やっと、夕方のリアルタイム放送に接続できる。
◆◆さて、久々に軽やかな匠の走りや仕草の作画が横溢しているし、場面的にもスピード感があるし、崩壊する異世界から仲間を助ける燃える展開だし、・・・本来なら全編爽快感がありそうな気もしたのだけど、いやしかし、重い重い。


◇個人的には、きっと、複雑になりすぎた設定と用語と状況に、ああっ、なんかついていけねーっ、何が語られてんだーっ、と正直胸のつっかえを感じてしまったところが大きいかも。


◆◆特に、この物語の基層現実上に被さっている<仮想空間>に出現した<異世界>≒<(バージョンの)古い空間>を、「物理フォーマットする」。
或いは、「物理フォーマット」を仕掛けてくる電脳世界のソフトウェアが(電脳メガネ内の世界で)実体化したものと、同じくウィルスソフト駆除ソフトウェアが(電脳メガネ内の世界で)実体化した姿であるサッチーとの戦いで、「物理結界」と呼称されるバリアで攻撃をさけるとされる演出。


◇そもそも、基層現実の上にマッピングされた「仮想」現実上の存在が、「物理フォーマット」「物理結界」とはこれ如何に?というのが、素直に附に落ちない最大の原因かなあ。


◇それでも、「<古い空間>が稼働するサーバ群のハードディスク」を物理的にフォーマットかけて、データを全て飛ばしてしまうというのは分かる気がする。要は基層現実にマッピングされた、<古いデータ>を全部破壊して、別のサーバで稼働している<新しいデータ>と取り替えたとか理解すればいい。


◆しかし、「物理結界」というのが理解できない。一体なにが「物理」なんだろー。
「<古い空間>が稼働するサーバ群」と、「<新しい空間>に属し、<古い空間>のサーバに攻撃(物理フォーマット)を仕掛けるソフトウェアが稼働するサーバ群」との間に「物理的なファイア・ウォールサーバ」でもあるのかしら?


◇ああ、なんかこれでいい気がしてきた。
まとめると、物理的な存在として
①「<新しい空間>が稼働するサーバ群(ウィルスソフトであるサッチーというソフトウェアはこのサーバにインストールされているのかな)」
②「<古い空間>が稼働するサーバ群」
③「<古い空間>に攻撃(物理フォーマット)を仕掛けるソフトウェアが搭載されているサーバ群」


◇これらのサーバ間の通信ネットワーク上には、「ファイアウォールサーバ」が設置されていて、たとえば③からの②へのフォーマットコマンドの発出を、①のサーバ上の存在であるオバチャンなどが、通信経路上に存在するファイアウォールを操作して、防ごうとしているとか。


◇他にも、「これら三つの「ソフトウェア世界」の稼働を現実世界にマッピングして制御するなんらかの存在」が必要な気もするが、とりあえずこれで分かった気になっておこうかな。


◆◆ところで!この回ラストには、現実基層に存在する猫目さんが「このままでは世界が崩壊する」と言っている。
劇中現実がやはり仮想的な存在だと匂わせている気がするのですが、ワタシの思いこみでしょーか。


◆◆以下、お話の整理メモ。
◇猫目さんは、(オバチャンと結束して「イサコの異界への扉を開く試み」を阻止しようとしている裏で)、実はイサコと組んで積極的に「異界への扉」を開こうとしていた。


◇(イサコの思惑は異界に連れ去られた兄の心を、現実基層に取り戻すことだったけれども)、猫目さん(と彼に命令している黒幕)にとっては、どうも、異界への扉を開くことが、「世界の崩壊を阻止する」ことに繋がるみたい。


◇オバチャンは、このことは理解していない様子。オバチャンの行動動機は、自分が引き起こした4年前の事件への悔恨に発する。


◇オバチャンの予想外の行動(上層部の許可を得ない「出現した異界」の物理フォーマット)とやはりイサコの予想外の行動(「最後のキラバグ」を使ってヤサコとハラケンを異界から救出)で、異界への扉は閉ざされた今、世界の崩壊を防ぐ手段はたったひとつ。
「・・残る手はコイルスノーでしか。」


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭ナレーション。
「わたしの古い記憶によると、最初に用意された体は、命のない空っぽの器だったそうです。」


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・現実の体から、電脳の体が剥離したのを元にもどす「コイルタグ」
「コイルタグは、あと数枚でお仕舞いじゃ。・・・原料のメタバグがもうなくてな。・・タマコがもっておったのはわしが4年前に授けたものじゃ。」(メガバア)


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・オバチャンは、異界の通路が開いた事による人的被害がないことを猫目に確認。その後呟く。
「元々、イマーゴを持った子供なんて、滅多にいない。」


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・オバチャンは、メガマス社のサーバにアクセスし、<異界>≒<古い空間>を消すべくフォーマットコマンドを発する。
「フォーマットの指令を出したわ。レベル3まで。」


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・4年前のオバチャンの引き起こした事件についての言及。メガシヤでのメガバアとフミエの問答の場面と、オバチャンとヤサコのバイク上での会話をクロスする演出。


・「電脳コイル」について。
「思い出してきたわ。あれは4年前、まさにわしがぶっ倒れるきっかけになった事件じゃ。」(メガバア)


「4年前ある暗号屋の少女が都市伝説を調べ、ひとつの儀式を導き出した。」(オバチャン)
「正確に言えば、暗号の手順。ミチコさんを呼び出す為のね。」(オバチャン)
「その時何がおこったのか。誰も正確には知らないわ。・・その少女本人もね。・・・でも儀式は成功し同じような現象が起こった。」(オバチャン)
「・・ある条件がそろうと電脳体が分離する現象。その現象の名前は・・・電脳コイル。」(オバチャン)
「あのイリーガルもそうだけど、正確な原因は未だ分かっていない。」(オバチャン)
「奴らは最近現れた全くの新顔とは別物よ。」(オバチャン)


・「ヌル」について。
「あのイリーガルは一体何なの?(フミエ)
「危険なイリーガルじゃ。わしらはヌルと呼んでおった。」(メガバア)


「恐らく一番古いイリーガル。Cドメインという未知の空間からやって来た最初の電脳生物。」(オバチャン)
「コイルドメイン。・・・都市伝説ではあっちへの入り口と言われているわ。」(オバチャン)
「(ヤサコにミチコさんと同じなの?と問われて)そうかも知れない。迷い込んだ子供をつれていっちゃうというところは同じね。」(オバチャン)


・「4年前の事件」について。
「弟子のしでかしたこととはいえ、あん時はしんどかったわい。」(メガバア)


「わたしもキラバグ集めをしたわ。イサコとは違うやり方だった。けどね、まだ当時は世界中古い空間だったから、暗号を遣えばキラバグを手で拾い集められたの。」(オバチャン)
「・・・そして通路を開いた。何人か子供が意識を失ったらしいわ。もし、メガバアが止めてくれなかったら。」(オバチャン)


「おかげでぶっ倒れる前の記憶がすっかりなくなってしもうたわ。」(メガバア)


「あなた達には済まないと思っている。こんな事態を避けるのがあたしの任務だったのに。」(オバチャン)



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・異界の亡者のひとりは、やはりカンナの剥離した<心(認識主体)>だった。
・ということは、異界からの救出プロットがあるかも。現実基層に<肉体>が存在しないだけに、この世界の歪みを体現した存在。


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・オバチャンに協力する素振りを見せる一方、
「・・・わかった。病院は任せてくれ」
・(恐らく)未登場の黒幕と電話で対話する猫目。
「・・・はい。・・残る手はコイルスノーでしか。・・しかし、既に絶滅しているのでは?・・最近接続した電脳体が?・・わかりました。その電脳体をさがします。・・はい・・・世界が崩壊する前に・・必ず。」