■電脳コイル16イサコの病室s磯光雄松澤洋介深野正明c池添隆博d青柳宏宜g吉川真一井上俊之

◇4話遅れ。
◆10月のアニメーションの新番組をチェックしていて、「原作なしのオリジナルなもの」で水準を超えたものが壊滅状態なのにうんざりしている中で(「原作あり」でも製作者の志の感じられるものはほとんどないかも・・・特に、ライトノベル原作における製作者のハラのすわらなさといったら・・・・)、久々で電脳コイルを見たら、この作品の素晴らしさに感動してしまった。


◇設定のオリジナリティ、複雑なその設定をキチンと絵で見せる手管、堅実だけどメリハリのある演出、職人的な動きやフォルムの素晴らしい作画、微笑ましくも醸し出される好感の持てるユーモア、ゆったりと各話に張られた伏線やエピソードが丁寧に回収されていく様・・・・ああ、年末までは、この作品で癒されていきましょう。


◆さて、この回は、第2話、第8話、第9話、第10話、第15話で仄めかされてきた「4423」の謎の核心に迫る話。
特に、第10話の幼少のヤサコが夢幻の中で出会いキスをした少年の思い出に直結。しかし、まだまだコアをじらせて見せないところが素晴らしい。


◇この「4423」の少年が、ヤサコやイサコだけでなく、オバチャンや猫目兄ちゃんのバックボーンの何らかの会社組織(ヤサコの父と同じメガネの会社のメガマス社員?)に波紋を広げ、やがて回想的に4年前の社会事件的な広がりと結びつくこの回のさりげない風呂敷の広げ方は上手いと思った。


◇どうやら、病院で電脳メガネの研究をしていたというメガバアの亡き夫とも関係あるらしい。
「わしも4年前にぶっ倒れて、記憶が少々飛んでいるのでな」というメガバアの発言にも注意しておくのがいいのかな。(4年前と言えば、第11話の巨大魚の回で語られた様に、オバチャンとメガバアの間に何かがあった時期でもあるらしいし)


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭ヤサコのナレーション
「業界の噂によると、最初にメガネを作った会社は、心で思い浮かべたモノを電脳物質化する技術を発明したそうです。・・・でも、その後どうなったかは、誰も知りません。」

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・病院でサンマを焼こうとして駄々をこねるメガバアのキュートさといったら・・・


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・メガバアがオジジについて語る。
「オジジはこの病院でな。メガネの技術を医療に役立てる研究をしておったんじゃ。・・・病院内でメガネを自由に使えるようにしたのも、オジジなんじゃ。そのおかげでどれほど便利になったことか。」


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・オバチャンの疑問。
「何故、大黒市に限って、消しても消しても古い空間が発生するんだ?」


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・第10話以来登場してきた謎のお兄ちゃんは、オバチャンと同じ会社組織の人間であることが判明。オバチャンの上司として大黒市空間管理局へ赴任してきた。


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・再びフミエの弟の、姉盗撮エピソード
「姉から自分の尊厳を守る為には・・こんな事でもするしか。」


・イサコがお見舞いに訪れた「暗号で結界が張られている」怪しい病室の中身が知りたいという欲望に勝てないヤサコがヨカッタ。
「ねえ・・・アヤシイでしょう。だから僕、暗号避けのパッチを作ってみたんです。」(フミエ弟)
「それを使えば中が見られるの?・・・早くやって!」(ヤサコ)
「・・・盗み撮りの是非はどうします・・・?」(フミエ弟)
「ふ・・・フミエちゃんにこの件ばらすわよ。」(ヤサコ)


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・お見舞いの対象に語りかけるイサコ。
「もうちょっとよ。・・今度は失敗しない。・・もうすぐだから待っていてね。」


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・フミエの弟のミゼットの画像に映らない病人。
「これは・・・寝たきりのヒトとかの姿をカメラに写さないようにするマスクですね」(フミエ弟)


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・イサコの秘密のお見舞いを見ていたフミエの弟のミゼットを、さらに観察していたピンクのミゼット。
・これは、第14話の準総集編で、フミエ弟のミゼットとばったりであった奴でしょうか。総集編的つくりの回すらキチンと仕込みがしてあって感動した。


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・オバチャンと猫目兄ちゃんの対話その1。
「久しぶりね」(オバチャン)
「ああ、あの一件以来かな。」(猫目)
「あんた、また何か企んでいるんじゃ」(オバチャン)
「やめてくれよ。今回は君の手伝いに来たんだ。(・・)補充を持ってきた。」(猫目)
「上司の補充は頼んでないわ。」(オバチャン)
「そうかい。猫の手も借りたいって顔をしているけど?・・あのときと同じようにね。」(猫目)
「・・キラバグの件なら手伝いはいらないわ。」(オバチャン)
「相変わらずなんでもお見通しだな・・・タマコ。」(猫目)


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・ハラケンの調査。
「4年前に奇妙な記事があるんだ。あちこちで子供が失神する事件が数日間続いた。・・幸い、どの子供もすぐ意識を取り戻したから大騒ぎにはならなかった。」
「(原因は)・・・解らなかった。でも、こんな推測記事が流れたんだ。」
「・・被害者全員が、その時電脳メガネを使っていたらしいって。しかも、事実かどうかは解らないけど、その記事では、目覚めた子供が奇妙な幻覚を見たらしい。」


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・ハラケンの見ている新聞記事。
<電脳医療とめがねの関係〜意識不明の児童を巡って〜>
記事の内容は紹介されないが、イサコの名字である「天沢」の文字がクローズアップ。


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・オバチャンと猫目兄ちゃんの対話その2。
「(いままで登場したイリーガルを見て)こんなに種類がいたとはな。」(猫目)
「ベータ型もアルファと同じ深部から出てきたのかしら?」(オバチャン)
「さあな・・・だが、イマーゴに関係しているのは確かだ。」(猫目)
「それより・・・」(オバチャン)
「天沢勇子か。我々に警察権が無い以上、現行犯で抑えるしかない。・・・天沢がキラバグを集めきるまで待つんだ。(・・・)もし失敗した場合、事は公になり、本社はレベル3のフォーマットを実行するだろう。」(猫目)
「ひとつだけ疑問がある。イサコは何の為にキラバグを?」(オバチャン)
「情報を持ってきた。彼女の兄妹に関するものだ。」(猫目)


「天沢勇子の兄が意識不明?」(オバチャン)
「ああ、何年もな。天沢はキラバグを集め・・・そして。」(猫目)


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・フミエが見つけてきた4年前に失神した子供達の幻覚の絵が書かれた本。大きな暗い鍵穴のビジュアルとそれを囲む黒い人影。
・カンナの日記にも記述があるとハラケンが言っているけど、すみません、さかのぼって探しても該当回が見つからなかった。
「<証言では、鍵穴の中に横断歩道があり、夜だったのにそこだけ夕焼けに染まっていたという。>」


・ハラケンは、第9話の学校肝試しの回に深夜の廊下で体験した幻覚を思い出す。
「・・・・まさか、あれが・・あっち?」


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・お見舞いの帰りのイサコに、後をつけているのを発見されるヤサコ。イサコが告げる。
「私の兄は戻れなくなったんだ。・・・魂は電脳の体と共にあっちに行ったままだ。・・・今も。」