■機動戦士ガンダム00 01ソレスタルビーイングs黒田洋介c大塚健水島精二d北村真咲キャラg千葉道徳メカg中谷誠一

水島精二監督、黒田洋介シリーズ構成。
◆◆・・・武力による戦争の根絶とゆー大上段に構えたテーマ、非常に挑戦的で、監督も脚本のヒトもチャレンジャーだなと思いました。


◇しかも、アバンでイスラム系宗教衝突を連想させる戦闘シークエンスを入れてみたり、AEU(セリフで聞き取れなくて携帯電話会社かとおもっちゃった)とか人革連とか、我々の現実世界を反映している世界設定などを聞くと、いよいよ、ハンパな脚本じゃゆるされないよな・・・・・・と思うのです。
だって凄惨な現実世界を、極端に言えばテキトーハッピィエンドのニギヤカしのツールに使うなんて、製作者の見識をうたがっちゃうでしょう。


◆だから、これは、モノガタリとして成功するための結末は、「そんなテーマは幻だった」という苦い結末しかありえないんじゃないだろうか。


社会主義とか、宗教とか、人間の外的・内的な世界を救う為に考え出された全ての善意の理想主義ツールが、すべからく人間の欲得と悪意によって、人間に不幸と不平等をまき散らす奇怪な社会システムの化け物に変貌を遂げたのは、是非この作品に照射されるべきモチーフだと思ったりしましたよ。


◇このポイントをキチンと押さえれば、このシリーズは大化けする可能性が大きいと思うけど、どーなるでしょうか。。。。


◆◆さて、ところで、この第一話。リキの入ったリアル演出のメカ戦以外に燃えるところがない。


◇何より致命的なのは、事象から一歩自分の身を引いて、「自分は全てわかっているんだぞ(わかっているのよ)」的な思わせぶりなセリフの、超頻出。
なんというか、評論家的な視点の登場人物ばかりで、その「今時?と思うような定型な思わせぶり」演出に爆笑につぐ爆笑・・・。(だって期待が大きかっただけに笑うしかないじゃんか・・・・)


◆あるいは、「アタマで考えてばかりいるヒトタチ」ばかりという印象。
こういう戦争というテーマを扱う以上は、泥臭いところから語り出すのがいいのだと思うのだけどなあ。


◇そういった意味で、アバン冒頭の宗教戦争っぽいシークエンスは非常に良くできていた。
地獄の上に降臨する光の天使は、天国への誘いか悪魔の囁きか。この回、ここだけ燃えましたよ。素晴らしかった。


◇それだけに、本編AパートBパートのシミュレーションゲームでもしてるのかお前等は!という展開に、激しくガッカリ。


◆あと、言わずばなるまいと思ったのが、人名。
コーラサワーを筆頭に、ロックオンとか、セツナとか、アレルヤとか。
予備知識なく見たので、まず「コーラサワー」に幻聴かと疑い、アレルヤと聞いてお祈りしているのかと思い、「ロックオン」を筆頭にロボの名前か人名なのかどっちか解らなくてフラストレーションがたまるという・・・カンジ。


◇キャラクターデザイン的にも、うーん、如何にも高河ゆんらしい線の細い印象の薄いハンサムなキャラクターが多くて・・・・・すみません。声優さんのセリフとワンセットでぞ〜っとする場面がいっぱい・・・・


◆あれ?ダブルオー貶しのグタグタ文章になってしまいまいた。・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・・。


◆◆ところで、富野系ガンダム成分の補完には、9月に出た福井晴敏の「機動戦士ガンダムユニコーン」上下巻で癒されておきましょう。


◇いつもの粘り強く陰影ある語り口と、それでいて読ませる圧倒的な筆力の素晴らしさ。テーマ的には、父と子の情愛といったいつもの福井節炸裂で、これが思いのほか、正統ガンダムのテイストと合う。
そして、下巻ラストのメカ戦の燃えるシチュエーションと来たら・・・・・・素晴らしいです。是非読みましょう。


◇特筆すべきは、富野系ガンダムで何度も語られてきた、主人公のガンダム搭乗のドラマや心情的背景を無理なく劇的に描ききったところ(まあ、小説なので、登場人物の関係の輪が閉じすぎ!という批判は置いておいてください)。
この状況に父と子という葛藤を絡ませるのが富野系ガンダム濃度が高い所以かと個人的には思いました。


ユニコーンは以下続刊らしいので、続きが非常に楽しみです。