■DARKER THAN BLACK -黒の契約者-23神は天にいまし…s大西信介c京田知己d安斎剛文g長谷部敦志

◆忠実に任務を遂行してきた「組織」に切られ、殺害せんと追いすがる追っ手に窮地に陥る・・・・良くある物語だけれども、燃える展開でワタシは大好きです。
だけど、この回は、Bパート最後でそのモチーフを扱ってはいるが、これがメインの主題ではない。もっと派手にやって欲しかったけど、描写も控えめ。


◆この回は、日常の生活を淡々と送りつつ、破滅の「予感」に感傷的になり、星空を見上げる名も無きヒトビトが描かれている。破滅の直感は、過去への郷愁と直結し、「偽りの空」以前の記憶と呼応する。
「星が消えようが、ヘンなゲートが出来ようが、・・周りの状況がどう変わろうとヒトの営みに変わりはない。(・・・)全て世は事も無し・・か。」(探偵)


◇この呼応する様を、探偵と助手パートで点描しようとしているのだけど、ギャグのテイストが勝ちすぎていて、余り効果的でなかったのが残念。


◆メインの登場人物のうち、ノーベンバー11の死もあり、意識されていない予感に不安定になるのがキリハラ課長。
彼女の「留学生リーくん」モードのヘイとの、極めて不自然なデートまがいの道行きは、(自分の属する警察組織との理念の衝突に煩悶するということもあるが)世のヒトビトと同じ「破滅の予感」に打ち震える心情が背後にあるんじゃなかと思った。


◇しかし、彼女には、感傷を感傷で終わらせるだけではない、行動力と立場があった。甘美ではあるが未来をもたらすことがない感傷を抜け出て、彼女が向かう先は・・・・というのが、最終回に向けての興味でしょーか。


◆あと、この回では、「組織」の一端が見えた。国連研究機関パンドラのエリック西島が、ヘイ達のチームを切り捨てろと命令しているシーンがあるので、「組織」は、パンドラに連なる可能性が濃厚。
キリハラ課長が言うように、「研究機関」にもかかわらず強大な武力と政治力を持つこの組織の真の姿、目的は、単に「契約者」をこのセカイから消滅させることなのか、それとも・・・というのも次回以降かしら。


◆最後、ついでなので。
(いままでも都度都度感じていたけれども)ここにいたってあらためてこのシリーズの演出の特徴として意識するのは、「他者と永遠に交わらない(かも知れない)個人の物語」というモチーフかしら。


◇探偵と助手の物語は、ヘイ達の物語と(表面的な交錯はするが)(物語を推進するような濃密な)関係を持たない。
ノーベンバー11の物語も、キリハラ課長の物語と淡い関係しかもたない。
10人以上登場した契約者の物語も、彼らの物語は語られるのだけど、彼らを手にかけるヘイにはその物語は見えず、断絶していた。


◇(この回のデートの様子を見ていると)きっと、キリハラ課長の物語もヘイの物語と交錯はするが、深い関連性をもたないで終わるんじゃないかなあ。(ワタシ、このままキリハラ課長が殺害された・・みたいな誰かのモノローグだけで語られる展開もアリかなっておもっちゃったもの。)


◇そうした孤島な個人の物語群の中で、奇跡的に内面同士が繋がる瞬間の貴重さ、いとおしさ・・・みたいなモノが、ワタシはとっても見たいな。


◆◆以下メモ◆◆
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・ノーベンバー11の事件には、もう関わるなとキリハラ課長に命じる宝来部長。
「もはや我々の追う事件ではない。所詮契約者が一人死んだだけの話だ。」(宝来部長)
「彼は・・・誇りをもって生きてきた人間だと思います。・・・契約者であろうと無かろうと。・・彼が私に言い残した最後の言葉は、自分の信じる事を行う・・・でした。」(キリハラ課長)


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・ヘイの過去についてマオ達に語るホアン。
死に神と恐れられていた頃のヘイは、まだ契約者でも何でもなかったって話だ。」(ホァン)
「本当に恐れられていた契約者は他にいた。・・パイと呼ばれたヘイの妹だ。」(ホァン)


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・パンドラのエリック西島が誰かに秘匿回線で報告しています。
「そうです。シュレーダーによれば、そこで仮面の契約者が放った光は、南米ゲート消失時に観測された光と同一のものである可能性が高いと・・・」


・並行してマオがホアンに語る。
「(・・・)ものすごい光だった。あんなのは今まで見たことがない。・・なんでアンバーがヘイを追うのか?南米と同じ事をここでやろうとしているアンバーに、ヘイの力が必要だとすれば、その説明がつく・・・」(マオ)
「南米のゲート消失とヘイとの間に関係があるっていうのか。」(ホァン)


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・エリック西島が、「組織」の上層部であることが確定。
「その契約者がBK201であることは確認されています。(・・・)既に彼と、彼のユニット全員を排除するようにと手は打ってあります・・・」


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・ヘイとキリハラ課長の邂逅。
「でも、今の星が消えなきゃ、昔の星は見えないんだよね。」(キリハラ課長)
「どうせ偽物の星です。」(ヘイ)
「だけど、今輝いている偽りの星が全部消えたとしたら、・・それはそれで悲しいような。」(キリハラ課長)


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・南米ゲート消失前の回想。流れる星を見上げて、池一面の死体の中に立ちつくすパイ。「お兄ちゃん・・・・星、流したよ。今日も・・・一杯・・・」(パイ)
・ヘイは、気を失った彼女のクビに一瞬手をかけるが、アンバーに声をかけられて思いとどまる。涙を流す。


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・Bパート最後。ゲートに攻め入る用意をするアンバー一派EPR。「流星のカケラ」を砕いて全員に配る。
「とりあえずは、目的は2つ。ゲートの中にドール達を導くこと、粒子加速器を破壊すること。」(アンバー)
「じゃあ、はじめよっか。」(アンバー)