■電脳コイル11沈没!大黒市s磯光雄c横山彰利d野上和男高橋和也g井上俊之

◆(物語の中の(現実の存在は嫌です))ヘタレオトコ大好き人間としては、この回のダイチのへろへろのヘタレぶりに萌えてしまいました。
◇ただ、惜しむらくは!
ラストシーン。自分の失敗に自分自身を責め、悔しさと情けなさで、道ばたにしゃがんで俯いたダイチは、決して自我を保つ為の悔し紛れの強がりを言ってはならなかった。


◇ここは、ダンバインの黒騎士ことバーンばりに、ぼろぼろ涙を流して、しかも(バーンは無言で黄昏の中で泣き続けていましたが)声を上げて一心に泣かせるべきだった・・・・・・と、個人的な趣味としては思いましたよ。その方が余韻があったし、ダイチの芯が表現できたんじゃないかな。
(まあ、虚勢を張っているならば張っているで、それもまた良しなんだけど、「悔しさの中の虚勢」があんまり感じられなくて・・・・)


◇ところで、物語冒頭のヤサコのナレーションも仄めかすように、現実も、そして物語の中ですら、現代の男の子は情けなくなくてはならないんだなあ、と感慨深く思いました。


◆さて、話は変わりますが、この回は、街中、家の中、そしてビル工事現場、廃墟、はたまた自分自身の身体をすら含めて、あらゆる物理的存在の表面にマッピングされている仮想的実体の存在が、よーく分かる回。(ダイチが、物理的存在の上の被さっている仮想的テクスチャを剥がすエピソードなど)


◇そもそも思うのだけど、これって全ての物理的表面が、何らかの管理者に一元的に把握されているってことだから、この世界は、プライバシー皆無の超管理、若しくは超監視社会なんじゃ・・・・・(中でも、自分自身の体のデータが誰かに管理されているってのがキモチワルイ。)


◇そうして、空気に接したあらゆる物理的表面に仮想的な実在をマッピングする手間とコストを思ってしまうのです。
とても、経済合理性にあった企みだとは思えないよう。
利用のニーズの殆ど見込めない工事現場や廃墟にまで、仮想テクスチャを貼り付ける意味がどこにある?


◇だから、私は、この世界は物理的実体は実は存在せず、全てが仮想空間の出来事でした・・・・という展開を強く予想して、勝手に、ちょー期待してたりするのです。
・・・・でも、そうした整合性を求める物語なのかは未だ分からない。仮想空間を魔法程度に考えているのかもしれないしさ。


◆あと、この回の破局的事態が、狭い人間関係に閉じているのが気になりません?事件の規模の割には、社会的事件としての広がりがないのは、物語構造の設計的に意図したものか、(実は社会的影響を与えている事件なのだけど)演出上あえて省略したのか、なーんにも考えていないのか。



◆◆以下メモ◆◆
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・恒例の冒頭のヤサコのナレーション
「ある統計によると、小学六年生が男女で喧嘩した場合、女子の方が勝つ確率が少し高いそうです。」


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・前回ラストで登場したカメラマン風のおにいさんが再登場。
「古い空間が活性化している・・・やはり、僕の知らないところで、何かがおこっているな・・・」


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・ダイチの捕まえたイリーガルの魚が、古い空間で構成される電脳水ごと巨大化。
・「電脳空間法」という法律が、たぶん初出。
「まあ、ここまで規模がおおきくなるとやばいわね。電脳空間法二条二項違反で逮捕されるかも。」(フミエ)



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・ダイチの巨大化した魚をみて、イサコが子分に語る。
「イリーガルっていったいなんなんだ?」(ガチャギリ)
「出所の良く分からない下等生物よ。本来・・メタバグを食べて濃縮する性質があるんだが・・・」(イサコ)
「じゃあ、あの腹の中にはメタバグが?」(ナメッチ)
「いや・・・その反応がなかった。今までのイリーガルはメタバグを食べるが、こいつはテクスチャアを食べている。・・・探している奴とは違う。」(イサコ)



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「これは異常事態よ。古い空間がこんなに増殖するのも、あんなにイリーガルが巨大化するのも、今まで無かった事よ。」(ハラケンのおばちゃん)


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・スパーハッカーのメガばあが、素晴らしくカッコイイ!
「メガばあに過去は無いのよ。」(フミエ)
「まあな、わしは過去より未来に生きる女なのじゃよ。」(メガばあ)


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・ハラケンのおばちゃんは、コイル探偵局の会員番号二番だった。メガばあは忘れたふりをしているが、過去に対立した因縁がある模様。
「四年前じゃな・・・おぬしに貸しがあったよなぁ。」(メガばあ)
「アレは、骨身に応えたわい。」(メガばあ)


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・↓意外と、この対話が重要な気がした。
「あのイリーガル、電脳ナビの異常に関係あったかしら?」(ヤサコ)
「うーん、全然関係ないな。手を出していたのは交通とは無縁のドメインばかりじゃった。」(メガばあ)