■DARKER THAN BLACK -黒の契約者-14銀色の夜、こころは水面に揺れることなく…(後編)s大西信介c大原実d金子伸吾g根岸宏行工藤糸織

◇やはり、感情の無いとされるものに、感情が芽生える瞬間をドラマの中心にもってきますね。燃える!
◆特に、Bパート前半の、銀(イン)の弾くピアノを背景音楽に、黒(ヘイ)、銀(イン)、敵役の女性歌手の契約者、3人の心の情動をセリフで語らず、静かに場面を重ねて並行して演出したところがとても素晴らしかった。


女性歌手の契約者が子供を亡くした話を語り、ヘイはインが(第12話のPANDORA研究所のエピソードで)自分を助けてくれたことをぼんやり思い浮かべ、インのこころに母親と先生の仲の深化とともに訪れた嫉妬と罪悪感と死別の情景が甦るとき、3人三様に起動する感情のさざなみと行動。


◆ところで、この回は、女性歌手の契約者と、シニカルな詩作する男の契約者の、諦念に満ちた苦い対話が淡々とした声優さんの演技相まって非常に味があってヨカッタ。
この回、個人的には、インのエピソードよりも、この二人の因縁と終末の方が、印象に残ったかな。


◆ラスト。詩作する男がヘイに倒され、彼に捕獲されていた大量の「観測霊」が解放されて光りを放つ中、かって幸福だった頃の「月光の光り」を思いがけなく再び感じて涙を流す盲目のイン。


感情の選択肢が極めて少ないインにとっては、「今ここにいる」「仲間と定義してくれた存在」が、かっての心の安定を思い出させてくれた。


◇だけど、これはインの感情の復活じゃないよね。微細な苦闘を重ねて、偶然が重なり、届かないはずの感情の地点にインが佇んだ・・・・ここが感動のポイントだと思う。このエピソードの背景には、「おそらく二度とたどり着けない感情」という切なさがあるんじゃないかなあ・・・・・・・・・と感想的に暴走してみました。


◇でも、インを狙撃しようとしたホァン(鳥打ち帽のおっさん)が、「ドール」であるインがあり得ない涙を流す様子を見て心を動かされるのはちょっと出来すぎだとおもっちゃった。ごめん。



◆あと、根本的にとっても残念なのが、果たしてインやヘイには「感情がない」と劇中語られるほど、感情がない存在なのか?とどーしても引っかかりを感じてしまったところ。
感情がない人間を描くのは難しいなあ。


◆◆以下メモ◆◆
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・女性歌手「契約者」の自分の「対価」についての説明は、「契約者」にとっての「対価」が、心理的な脅迫観念っぽいことを暗示してんじゃないだろーか。
「しかし・・・キツイ対価だな」(詩作する男)
「ほんというとさ。・・タバコじゃなくてもいいんだよ。・・異物を口に入れてはき出すって行為であれば、入れるものはなんでも・・・」(女性歌手)


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「悲しい?・・・・・違う。・・・悲しい・・・・悲しくないのが。・・・覚えている。みんな覚えている。私が、あのとき飛び出さなければ、ママは死ななかった。(・・・)あれから、消えた。・・・銀の光り・・・・」(イン)


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「何故インを連れ出した?」(ヘイ)
「イン・・・?キルシィのことか?君たちは何を・・・」(ピアノの先生)
「違う。・・・・違う。」(イン)
「・・・自分から逃げようとしたのか?」(ヘイ)
「・・・・(うなずくイン)」
「何故?」(ヘイ)
「こころが・・・・動くと思ったから。」(イン)


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・インの涙に人間性の奇跡を感じ、狙撃を思いとどまったホァンが、自分もヤキが回ったと心中感じて路地をうろつくシーン。
・ここで、すれちがう緑髪の野球帽の女の子は、前々回高いところから街を見下ろしていた女の子。
・インの母親は関係なかったか。髪の色が似ていたので、ひょっとしたら同一人物かとおもっちゃったけど、違うみたい。