■電脳コイル06赤いオートマトンs磯光雄c大塚雅彦松林唯人d木村延景g秦綾子

◇メガばあと惚けた友達との温泉での会話とか、ヤサコとフミエのサッチー観察など、会話の繰り返しと間で、ユーモアを醸し出そうとする脚本が目についた回。
人物の仕草のフォルムは相変わらず素晴らしいけれども、あまり動かない回でした。しかし、のんびりと十分に間をとった演出空間が味わい深かったかも。


◇ところで、この作品世界は、謎が深まるばかり。
市の郵政局が管理しているといったら、保身の牙城で当たり障りのないことしかしなさそうなのに、「サッチー」の異様な攻撃性はなんなんでしょう。
子供のかわいがっていた電脳ペットに僅かなバグがあるとして、問答無用に「バグとして処理」されちゃったりしたら、大騒ぎになりそうなものだ。子供は泣き叫び、親は怒鳴り込む。
しかも、サッチーは命こそ取らないが、子供にトラウマを与え、お年玉2年分の財産を喪失させちゃったりする。


◇そもそも、「電脳空間ではバグ等のイレギュラーな存在を一切認めない」という法律でもあるのでしょーか。この強制執行は、公権力の横暴だよね。
こんな、のほほんとした物語を語りながら実は、相当な管理社会なの?


◇個人的には、この電脳空間を保守するサッチーの徹底した「異物排除の論理」をみていると、この作品世界は、「論理によって動く世界」に思えてくるな。


自動車は、子供達が見ている電脳空間と地続きの制御空間により自動運転されているそうだし、この世界、<現実+仮想>じゃなくて、<全て仮想>なんじゃないかと、やはり思ってしまった。


そんな整合性の模索が意味を持つ作品かどうか、まだ見極めが付かないけれども、どーなんでしょうねえ。


◆◆以下メモ◆◆
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・恒例の冒頭のヤサコのナレーション
「新聞によると、メガネをかけた子供の交通事故が増えているそうです。」


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・サッチーの行動観察で、メガばあの釣り竿が消去されるのを見て
「メガばあの作っているものはあらかた違法なのね。」(ヤサコ)


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・サッチーが結界に入れないワケをフミエが解説・・・・・・・ええっ、まさかこれマジですか。そんなつまんないよーっ
「サッチーが入れないのは神社だけじゃないわ。公園とか学校、病院も入れないみたい。」(フミエ)
「なんでそういう場所にサッチーは入れないの?」(ヤサコ)
「縦割り行政ね。・・郵政局のサッチーは、仲の悪いお役所、たとえば、文部局とか文化局の縄張りには入れないのね。・・神社は文化局なのよ。(・・・)あと、家の中はホームドメインと言って、屋外用のオンロードドメインとは別。だから、絶対入ってこないわ。」(フミエ)


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・物語の根幹に関わるセリフと対話。
「ところでさ。フミエちゃん。・・・ふと思ったんだけど、メガネの電源切っていけばいいんじゃないの?」(ヤサコ)


「メガネの電源切ったのなんか、一年ぶりだわ。」(フミエ)
「なんか、メガネがないと不安・・・」(ヤサコ)
「ケータイも兼ねているし、滅多な事じゃ切れないのよね・・・。」(フミエ)
「私達、もう普通の子供に戻れないのかしら・・・」(ヤサコ)


・やはり「現実世界」は存在し、危機に陥っても子供達がメガネを外さないイイワケをしているのかな?


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・ハラケンの幼なじみの交通事故死が物語のメインプロットになりそう。
「カンナはイリーガルに殺されたのかも知れない。・・・今の交通システムが電脳空間を使っているのは知っているよね。」(ハラケン)
「ああ・・・電脳ナビって奴よね。」(フミエ)
「カンナを跳ねたのも、電脳ナビで自動運転中の車だったらしいんだ。」(ハラケン)
「でも、自動運転は絶対に事故が起きないはずなんじゃ・・・」(ヤサコ)
「おばちゃんが言っていた。電脳ナビの誤作動の原因は、イリーガルかも知れないって。」(ハラケン)


「イリーガルなんて存在自体知られていないし、自動運転中に起きた事故は、運転手の過失にはならないから、事故は結局、カンナの不注意が原因ってことでおわっちゃった・・・」(ハラケン)


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・ハラケンがおばちゃんについて語る。
「お父さんの妹だからおばちゃん。今、大黒市の空間管理の仕事をやっているんだ。(・・・)サッチーを導入したのもおばちゃんなんだ。・・僕が今年もイリーガルの研究をしたいっていったら、一分だけ止められるようにしてくれたんだ。・・・もっとも、僕の出せる命令は、待てとおすわりとお手だけだけどね。」


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・カンナが交通事故で亡くなった「中津交差点」が物語の重要なポイントみたい。
「(中津交差点)この辺、電波状態が悪いんだ。」(ハラケン)
「大黒市で二番目にわるいわ。」(フミエ)


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・ああっ、うっかり見過ごすところだったが、ヤサコの父親は大黒市空間管理室長みたいだ。
金沢市からの出向らしい。
「なんでこんなに使うんだ?税金を使うんだからちゃんとした説明をしてくれ。」
・そして、空間管理室の客員顧問のハラケンの若いおばちゃんが応えて曰く
「必要だから必要だと言っているんです。私は空間管理室顧問で、権限もあるんです。」


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・ハラケンのおばちゃんのサッチーを導入した目的とは!?
「こんな強力なマトンが本当に必要なんですか?」(助手)
「これでも足りないくらいよ。そのうちイヤでも分かるわ。」(ハラケンのおばちゃん)