■DARKER THAN BLACK -黒の契約者-11壁の中、なくしたものを取り戻すとき…(前編)s菅正太郎c京田知己d千葉大輔g松崎正原画g補佐高野恵子

◇物語世界の謎の表面を(今までに比べてかなり立ち入って)撫でる話。
主人公ヘイが、壁に隣接する「壁の向こう」を研究する組織「PANDORA」の研究所に潜入し、不自然な造形の3人のゲストキャラクターと絡む。


◇清掃員アルバイトとしてヘイが体験する「研究所らしい日常が営まれている中での異常な管理体制」のズレの演出に加えて、物語の謎を握るレベルが違い、立場の異なるゲスト3人が、上手い具合に物語的重層感を出していて、非常に面白く仕上がっていたのではないでしょうか。


特に、ニック博士の天体望遠鏡でみる「作られた星々」と「現実の星空」の話が非常に魅力的。
「全てを忘れるんだ。月が消えてしまったことも、成層圏より上空に飛んだロケットが、すべて消息不明になった事件も・・・・。信じるんだ。この星空が、かって自分たちが見ていた星空なんだって。」


◇あと、じっくりと粘っこい持続時間で描き、構成された場面が多く、これらは管野よう子の音楽の効果が最大限に発揮されて非常に吸引力の強い場面になっていました。


◆◆以下メモ◆◆
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・ヘイとホァンのおっさん、ネコのマオ達の密談は、公園の遊具ってのが多い気がするけど、かえって目立つんじゃ・・・・


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・ホァンは、「流星のカケラ」を回収せよとの組織の命令で、ヘイにPANDORAの研究所への潜入を命じる。
「(・・・)だが、数日前、CIAに潜っているスパイから、(PANDORAの研究所の)爆発事故が、「流星のカケラ」と呼ばれるゲート内物質を奪う為、故意に引き起こされたものだと判明した。」


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・研究所内異常な現象について。
「ここじゃあ、幽霊など珍しくない。あったはずのものが消え、無かったはずのものが現れる。幻聴の類は日常茶飯事だ。」(清掃局の指導者)


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・「流星のカケラ」について、研究所内部の協力者ミーナ助手がヘイに説明する。
「(流星のカケラについて)実は、まだ詳しいことは分かっていません。・・・ただ、消失前の南米でも同様の物質が確認されており、その時のデータから、ゲートの謎を解明する上で非常に有益なものだと考えられています。CIAが何を目的にそれを盗みだしたのか・・・そこまではまだ」(ミーナ・カンダスワミ)


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天体望遠鏡と星空を愛でるニック博士は、望遠鏡のメーカーが縁で知り合ったヘイを屋上での星空の観望に招く。
「全てを忘れるんだ。月が消えてしまったことも、成層圏より上空に飛んだロケットが、すべて消息不明になった事件も・・・・。信じるんだ。この星空が、かって自分たちが見ていた星空なんだって。」(ニック博士)


・かっての星空が、ニック博士の天体望遠鏡で観測されて愕くヘイ。
「ここはゲートの中だ。起こりえないことが起こるってのが、現状僕に出せる精一杯の答えだ。学者としてあまりにお粗末だけどね。ただ、君が今経験したことは、この星の未来に起こりうる一つの可能性を切り開いたとだけは断言できる。リーくん、もしも世界中の人間が僕等と同じ経験をしたらどうなると思う?・・・僕はね、その時こそ本当の星空を取り戻せる気がしてならないんだ。」(ニック博士)


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・何者かに電撃で殺されたカリーナの側には、裏返しにされてそろえられた靴。
・彼女はCIAのエージェントで、「流星のカケラ」を外部に持ち出そうとしていたが、研究所で見る幻覚から逃れる為に、(決して一ヶ月は外に出られないという制約を反故にする代わりに)「流星のカケラ」の在処を教えるという取引をしようとしていたらしい。


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・セルゲイ博士主催の「探査カメラによる域内走査」
「ここでは一つの事象に対して観測する人間が異なれば、観測する結果も異なる。・・君たちに来て貰ったのは出来るだけ多くの観測結果を収拾するためだ・・・」(セルゲイ博士)


・壁の内側を無人探査機で観測する研究者達。観測主体の被験者はヘイを含めて多数。彼らは、千代田区外神田に今まで存在しなかった大穴を観測。
・やがて、ヘイは、冷静さを失い、女性の面影を見るのだった・・・・妹?