■ゲゲゲの鬼太郎09幽霊電車あの世行きs長谷川圭一d角銅博之g藪本陽輔

一話遅れ
◇惜しい。実に惜しい。
正義の味方フォーマットが多くなりがちな中で、犯罪者とはいえ、鬼太郎が、人間に積極的に危害を加える変則回。
深夜の新宿駅の近代的なコンコース、京王線の地下ホームと思しきホームが、異界に接続していると思うと、胸を突かれるが、もう少し幻想風味が欲しかったかなあ。正直、お化け屋敷的な演出も、寄り添う音楽も凡庸で、傑出した出来とはいいがたい。


◇だけど、鬼太郎が、暗い顔をして寡黙に淡々と
「おじさん・・・随分ひどい人間だね。」
「大丈夫・・・このままじゃすまないさ。」
「・・・・良い旅を・・・」
なんて、言っているのを見ると、私の見たい鬼太郎の方向性ってこういうのなんだと、改めて思うのでした。(全部とは言わないので)こういうテイストを時折混ぜてくれないかしら。


◇ところで、(超おぼろな記憶で申し訳ありません!以下の記述は、自分の中の記憶の変質の可能性もあります。確認したかったけど本は実家にあるもので・・・)幽霊電車といえば、水木先生の漫画版が幼少時の印象として強烈に残っているのだけど、同じ多摩霊園行でも、あちらは一両編成の木造車両。この回では、5両編成の木造だけど、窓枠はアルミぽかったのが残念。
また、水木先生は、乗り合わせた死者たちの満ちる様子とか、死者達の声を合わせての読経とか、線香の香りが満ちたりとか、なんというか、妖怪というよりは、現実と隣接している「葬式の死の香り」を強烈に発散していたと思うので、その要素が薄れているという意味でもなんか、残念だったなあ。


◇あと蛇足ですが、「奥多磨霊園」駅も、屋根一つ無い対面ホームで、木造の跨線橋に、木造の駅員室、トドメに、ホームに柵もなく崖に面したりしていて、(その投げやりな美術に)爆笑してしまった。駅の脇で、1年近く死体が発見されないなんて、どんだけ秘境なんですか・・・・