■電脳コイル02コイル電脳探偵局s磯光雄c村田和也d安川勝g本田雄

一話遅れ。
◇素晴らしい。作画は前回同様、自然な動き重視のスーパークオリティ。コマ送りで見るのがとっても楽しいです。
◇しかし、この回、何が素晴らしいって、「へへへ・・わりごはいねがぁ〜」ですよ。
キャラクターデザイン的にも、言動的にも、存在感も、強烈過ぎて、ワタシはこの凄腕の電脳ババアに一目惚れしてしまいました。


駄菓子屋ならぬ、メガシヤ(メガネの駄菓子屋)を営み、日々子供達を相手に、自分でプログラミングした電脳グッズを売りつけ、自らの電脳結界を破る異郷の電脳生命体には、額からビームをお見舞いする。軽やかにキーボードを叩く姿には、萌えざるをえません。
このキャラクターを生み出した、たった一点だけ取りだしても、ワタクシは、この作品が大好きになりましたよ。


◇ところで、どこからともなくこの世界にやってくる、電脳物質で構成された正体不明な透明な石「メタバグ」。私もいい加減本を読んでないのだけど、飛浩隆さんの仮想世界SF「グラン・ヴァカンス」に登場する「硝子体(グラスアイ)」と呼ばれる電脳的な、やはり正体不明で、世界の性質を変える能力を潜在的に持つ結晶物質を連想しました。


余談ですが、この話は、南欧の港町を模した仮想世界のリゾート空間に、ゲストたる人間が訪れることなもなくなった後(大途絶とよばれ、何故ヒトビトが訪れなくなったかは不明。)、永遠にプログラミングされた(人間の矛盾に根ざした)属性に忠実に行動し続けるAI達の葛藤と絶望と苦痛と存在的破局を描いた大変魅力的な物語なのですが、さて、電脳コイル、この物語世界そのまんまが、実は、仮想空間なのではないかなとちょっと思ってみました。


◇一見、「電脳メガネ」が、そのディスプレイに表示される仮想現実と、現実レベルの橋渡しをするツールとして描かれていますが、いままでの一話と二話を見てくると、仮想が現実に干渉するシーンの多いこと。


たとえば、お札(メタタグ)を信号の柱にはると、信号が赤から青に変わる。また、仮想ペットのデンスケに触れると、触覚デバイスが表現されていないのに、その物理的存在を感じることが出来る。(「触覚」はないとヤサコちゃんが語っていますが。)


素朴に考えれば、現実が仮想に干渉することはたやすいけれど、仮想が現実(若しくは人間の認識世界)に干渉するには、なにがしかの媒介がなければならない気がします。
現在のところ、その仮想から現実にフィードバックされるインターフェイスが描写されておらず、ただ魔法や方術の様に描写されているだけ。
ひょっとしたら、仮想的存在による干渉が、脳にフィードバックされる仕組みが電脳メガネの設定として有るのかも知れないけれど、個人的には、「現実と信じていた世界が、実は作られた電脳空間でした」という作中人物にとっての衝撃的な展開を希望。(あー、また同じこといってますね、わたしときたら。)


◇しかし・・・そんなことは問題にしない物語の可能性もありますぜ。
「電脳メガネ」をして仮想世界に遊んでいるのが、「子供達だけ」というのがポイントかも。(まあ、メガばあもメガネしてますが。ばばあなので子供同然とします。あっ、あとお父さんもメガネしているか・・・しかし、お父さんには仮想世界を見ている描写はないよね。)
これら電脳世界の描写は、「子供時代に子供だけが見える世界」のメタファーなのかもしれないですね。


◆◆以下メモ◆◆
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・仮想的な巨大な追跡機械、サッチーから逃げ切るヤサコとフミエ
「サッチーは、神社とか学校とか、家の中とか、入ってこないの。」(フミエ)
「(サッチーとは)本当の名前は、サーチマトン。略してサッチー。大黒市の空間管理局が導入した、強力なウィルス駆除ソフトよ。・・でも、すごくバカだから、メタタグとか、ちょっとルール違反のお茶目なアイテム(空間消去?スプレーとか。)も見境無く攻撃してくるのよねぇ。ほんと迷惑だわ。」(フミエ)


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・サーチーに追われて逃げ込んだ神社でヤサコは、既視感を覚えて尋ねる。
「ねぇ、鳥居がすごく一杯並んでいる階段ってどこかにない?」(ヤサコ)
「このあたりでぇ?・・・あたし生まれてからずっと住んでいるけど、知らないなぁ」(フミエ)


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・謎の少女
「それにしても空間の脆い街だな。」
・彼女は、モジョと呼ぶしもべを空間から呼び出す。
「ようし。鍵穴をみつけるんだ!かかれ!」


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・この回もヤサコの妹の幼少の女の子は、宮崎駿定型の幼子描写でした。まあた、「モジョ」がマックロクロスケみたいな外見と動きをするものだから・・・


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・透明な貴石のような<メタバグ>を手に持って
「メタバグっていったいんなんなの?」(ヤサコ)
「さっきデンスケに貼り付けた<メタタグ>覚えている?アレの原料なの。・・普通のバグは、ただペットマトンや空間を壊すだけ。・・でも、偶然、役に立つ機能を持ったバグ、それがメタバグよ。(・・・)大黒市の特産品。なぜか、ここでしか取れないの。でも最近あのサッチーが片っ端から消去しちゃって。・・メタバグがどこでどうやって出来るのか誰も知らないから、近頃値段があがっているのよ。」(フミエ)


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・壁の中の閉鎖空間から救い出された仮想ペットであるデンスケは、具合が悪い様子。
「やっぱり、イリーガルに感染している。(・・・)あなたが見たって言う黒い生き物よ。ペットマトンに寄生するコンピュータウィルスなの。(・・・)巨大化したウィルスなのよ。それがイリーガル。・・詳しいことは何もわかってないの。あたしも見るの初めてよ。・・バグが進化したものとも、謎のハッカーがつくったものとも言われているけど、正体は誰も知らないの。・・感染したペットは徐々に体を蝕まれてしまうそうよ。(・・・)早く分離しないと。(・・・)死ぬかどうかは書いてないわ。」(フミエ)


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・デンスケの様態を見るメガばあ
「これは・・・どこからか何かをダウンロードしていおる。」(メガばあ)
「それはわかっているわ。一体どこから何を?」(ヤサコ)
「どこからか、何かをじゃ」(メガばあ)


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・デンスケに感染した、イリーガルを駆除するための<メタバグ>をつくるメガばあ。
「まず、メタバグの目を読むのじゃ。メタバグは一個ずつでは何の役にもたたん。・・・じゃがな。つなぎ合わせると・・・・目の読み方、力の入れ方、どれも精進のたまものじゃ」(メガばあ)
「これが出来るのは、メガばあだけよ。並みのばあさんじゃないのよ。」(フミエ)


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・引っ越し荷物の中から、幼少の絵日記を見つけたヤサコ。
<4423>という記述と、イリーガルのような黒い絵に引っかかりを感じる。
「何か大事なことを忘れている。・・・なんだっけ?」


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・ヤサコとお父さんの風呂場の脱衣所でのやりとりがほほえましい。
・ヤサコは、幼少の記憶を探る。
「昔こっちに来た時って・・・おじじの・・・?」(ヤサコ)
「そうおじいちゃんがなくなったとき。」(お父さん)
「その時あたし、迷子にならなかった?」(ヤサコ)
「おう、なったなった、良く覚えているな。」(お父さん)
「私なんか、ヘンなこと言ってなかった?・・・鍵穴とか・・・」(ヤサコ)


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・ヤサコの夢。鳥居がたくさんたっている階段で声を聞く。
「優子・・・・僕だ。聞こえているか?鍵を・・・カギをあけてはならない。・・・あまり、近づいてはならない。(・・・)僕は、(・・・)君のおにいちゃんだ。」
しかし、ヤサコには兄はいないはずなのでした。