■DARKER THAN BLACK -黒の契約者-04新星は東雲の空に煌めく…(後編)s野村祐一c石平信司d平向智子g芝美奈子

◇いやー、舞ちゃん死ななくてよかったよ。
この前後編は、女子中学生の精神的な危うさから始まって、SF的な負の属性の制御できなさにハラハラし、そこで行った(無意識ではあるが)非人道的な行為と、それと直結するであろう悲劇的な結末の予感に(見ている私達は)打ち震える・・・・というカンジで、なかなか良かったんじゃないでしょうか。
それもこれも、前編での、女子中学生のキャラクターがキチンと立って描かれていたという前提があっての事ですね。


◇ところで、彼女は、普通の物語だったら物語内部の倫理的なバランスとして、死を運命づけられちゃうような非倫理的な行為をやっちゃっているので、「親子の情愛共々、炎の中に消えていったのでした・・・・」みたいな(ある意味安易な)決着をつけるような予感が見ていてヒシヒシとしていて、困ったなーと思っていたのだけれども、そうはしなかった。


◇これは、この物語の基調が、一般世界の倫理観とは違うところに設定されているということがまずひとつ。主人公自らが(今のところ正義の味方に見えないこともないが)殺人者だし、その仲間も犯罪者。


もうひとつは、(カナリ妄想ですが)、未だ語られていない主人公ヘイの組織が行っていることを、彼女が象徴的に体現するエピソードがこの後、用意されているんじゃないかなーと、思いました。
たぶん、犯罪者だらけの契約者の中であれば、ヘイの組織も「悪いこと」をやっているに違いない。その「悪いこと」に彼女は巻き込まれてひどい目に遭うんだ、きっと。(だってさ、船便で遠いところ・・「天国」に、連れて行くって、鳥打ち帽のおっさんはいっているんだぜ。悪いことにきまってんじゃん。)
そうして、その「悪いこと」とヘイの行動がいつか衝突するときが来るんじゃないかしら。


◆◆以下メモ◆◆
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・前回ラストの建築現場の爆発の現場検証しながら、若い茶髪刑事語る。
「天文部の話だと、確認された新星のスペクトルは、モラトリアムの現出を示していると・・・。」


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・公安部外事四課のキリハラ女史とその上司の会話
「・・・マイヤー&ヒルトン」(キリハラ課長)
「アルヘンティーナ分け(?・・・聞き取れず)紛争で、U.K.が参戦した際、それを請け負い、先陣を切って契約者を兵器として、投入した企業だ・・・いい噂は聞こえてこんな。・・・契約者の量産を目的としたインブリード。異種能力者間の交配によるハイブリッドの製作。脳外科手法による一般人の契約締結実験。」(上司)


「モラトリアムは、直ちに確保し、隔離する必要がある。奴らは契約者でもドールでもない。・・自覚もなく能力を垂れ流す、出来損ないの化け物だ。」(上司)


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国立天文台・・・って、霊媒を使い、契約者達の星の観測を行う機関になっちゃってますよう。
・半円形ドームの中央に、鎮座する(ああ懐かしき!)カールツァイスっぽい巨大な投影機の直下に位置する投影台には、「ほしみさま」と呼ばれるばーさんが。キリハラ女史も礼を尽くしています。


国立天文台にて、キリハラ女史と旧知の仲の研究員カナミとの、モラトリアムについての会話
「そもそも契約者が契約者と呼ばれる所以。・・・持ち得た能力を行使した後に必要とされる、対価と呼ばれる精神的呪縛行為。その支払いをモラトリアムは猶予されている。・・・一定の期間を過ぎると、たいがいはドールへと状態を移行する。ウチの霊媒達みたいにね。」(天文台の研究員カナミ)
「スタンダードな契約者と違って、モラトリアムは自分で自分の能力を制御できない。」(キリハラ)


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・舞の父親が、10年前ゲートの向こうから持ち帰った種子は、契約者の能力の発動を抑える機能があり、それを娘の手首に埋め込んでいたが、その効力が斬れる時が来た。
「その種を埋め込まれた母体はモラトリアムへと変態し、その呪縛はいつとかれるか分からない。・・・私は、この手で実の娘を、契約者にすらなりきれない化け物に変えてしまったんだよ・・・・」