■シュヴァリエ23最愛なる−ゆえにs冲方丁c古橋一浩d川崎逸郎d助手柿本広大g井川麗奈g補佐浅野恭司窪田庸高横田晋一柴山智隆矢向宏憲千葉崇明千葉崇洋

◆本話を入れて残り2話、いよいよ話を畳みにかかってきました。謎とされてきたリアの死の真相や如何に?そして、その周辺に死を積み重ねてきた<王家の詩>に秘められた王家の秘事とは?・・・・と言うカンジの、真相解明二部作のその1。


物語構成的には、デオンが再体験するリアの死に至る「過去」の事態の進行と、「現在」のラストへ向けての主人公たちの動きが並行して語られる、定番だけど最強の二重構成。冲方センセイのご出馬の影響かはわからなけれども、見応えがありました。両方の話が集約していく中心にいるのは、ラスボス、ルイ15世!


◇だけど、ルイ15世、王妃を毒殺し、アンナを自ら剣で刺し殺したところまではよかったんですが、それを目撃して逆上したロビンくんに狙撃されると、机の陰に隠れて震えたり、命惜しさに逃げまどったりして、急激に小物キャラ化していますねぇ。(このシリーズは、このパターンが多すぎだ。)
腹の据わった全身悪徳に染まったラスボスらしさよりも、ヒトの死に厭世気分になったり、自分の命惜しさに助けを求めてヒトを呼ぶ声を上げるような、人間らしいルイ15世を描こうとしているのかな?


◇たとえば、この回の中盤で、<王家の詩>について、
ブロリー・・・詩が足らぬ・・・例のページが欠けている。」と無表情にブロリーに問いかけるルイ15世。続けてブロリーとの対話。
「ご案じ召されますな。残りの二人・・・機密局にて追っております。」(ブロリー
「マリーは、二人を殺すなといった・・・」(ルイ15世)
「フランスの為でございます。陛下。」(ブロリー


ルイは、マリーとアンナの殺害で、もはや、自分のやることに確信と責任が持てなくなっている様子。
多くのヒトの死を積み重ねて守ってきた<王家の秘事>を、自分の責任でもう持ちたくないと思い、ブロリーの断言を聞きたくなった・・・・というカンジじゃないかしら。
心底メンドウになっているんじゃないでしょうか。面倒くさくなって事態を放り投げる漫画版ナウシカの皇兄みたいなキャラクター?


◇さて、そして、ルイ15世は何らかの決断をした様子。
自分の居室で、王家の詩を紐解きなら、
「今なら・・・フランス人の王として死ねるなぁ・・・ブロリー
とひとり呟くルイ15世が、続けて、王家の詩のページを破って丸め、暖炉に投じたところが、きっと、決断の瞬間。
その手に、死斑のようなモノが浮き出てきていて、これがラストの悪臭が漂うルイの身体の異変の兆候だと思いました。


◆さて、我らが主人公デオンくんは、この回、フラッシュバックして、リアの過去を再体験し、(劇中、直接の描写はないものの)全ての悲劇の根源にルイ15世がいると確信したようです。
そして、この回のラストシークエンスは、燃えた。やっと、主人公らしくなってきたよ!


アンナの死を悼んだ後、(ロビンの銃弾に倒れた)ブロリー伯爵を脅し、ルイ15世の寝室へ決然と乗り込むその様は、ようやく現れたヒーロー、若しくはヒロインらしさの発現で、非常に良かった。
悪臭漂うルイ15世の寝室で、ベッドに横たわる彼に向けて、剣を掲げ、その責を問う、デオンでありリアである存在は、次回どのような結末をむかえるのでしょーか。


◆ところで、不謹慎だと言われるかも知れないけど、冒頭のルイ15世に刺し殺されるアンナには爆笑。王妃を殺したルイ15世を目撃した恐怖で「腰が抜けた」状態だったってのはわかるにしても、恐怖の錯乱の中、不自然に倒れ伏して、デオンの幻、いわば<お花畑>に逃避するとゆー、腰の座った<浮世離れ>ぶりが、非常にこのキャラクターらしくて、なかなか成仏できる最後だったのではないでしょうか。


◆◆以下メモ◆◆
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・門外不出で、知るものの死を持って守らなければならない<王家の秘事>とは、もう<王権>の唯一の正当性を保証する<血筋問題>で決まりですね、きっと。


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・<王家の詩>をひもとく、デオンでありリアである存在が、呟く
「1728・・・私が生まれた年。」
「マクシミリアン・・・・あの男より、陛下の方が若い?」


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・ルイ15世を狙撃し、逃げるロビンくんはマクシミリアンに逢う。
「王家の詩が・・・・本来選ばれざるモノの手によって運ばれた・・・・やはりアレは、変わろうとしている。」(マクシミリアン)


「マリー王妃は、リアの魂について、なんとおっしゃっていた?」(マクシミリアン)
「マリー様は、魂の器を与え、その報復を全うさせることで、王家を・・・・救い、・・リア様を、冥福に導くと・・・」(ロビン)
「王家の詩をリアに取り戻させ、再び読ませ、そして王の元に返して尚、彼女は地上にいる。・・マリー王妃はご存じだったのだろうか?・・・リアが冥福せぬ事を。・・・・・・この私とかの器、革命の理想と、今のフランス。・・どちらかが消えぬ限り・・・」(マクシミリアン)


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・<王家の秘事>を盗み出したマクシミリアンを追えとのルイ15世&ブロリーペアの命令を、傅いて聞くリアのシークエンスの、リアの顔のアップの作画がヨカッタ。
・何というか、若干の斜め下から顔を映したところで、唇薄く、温度の低い眼差しと、若干の目の下のシワ・・・・・・・という、ああ、なんだかマニアックな気がしてきた・・・・


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・自分の居室で、王家の詩を紐解くルイ15世がひとり呟く。
「今なら・・・フランス人の王としてしねるなぁ・・・ブロリー
・そして、ルイ15世は、ページを破って丸め、暖炉に投じる。その手には、死斑のようなモノが浮き出てくる。この行為がラストの彼の身体の異変の原因?


・また、これに連動して、地下の廟の奥深くで、小高く積み上げられた石の山から「何か」が復活し、活動を開始した様子。指輪をしている女性らしき人物の萎びた手がボコッと山から出て参りました。


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・リアでありデオンである存在が、決然として呟く。
「かって、私は王家の詩を読んだ。陛下とあの男の年齢・・・・それは、命を奪われる理由。真実の忠誠を・・・いまここに。」