■天保異聞 妖奇士19三人往壓(ゆきあつ)s會川昇c福田道生d千葉大輔g織田広之山本尚志谷口守泰

◇放蕩息子の帰還ですか。
豊かな感情のドラマが繰り広げられそうな魅惑のモチーフだけど、その辺は次回にお預けみたい。是非ネガティブモード全開で、望んで頂きたい。聖書のように、清く正しい懺悔と受容なんてのはカンベンしてください。(毎度、特殊な嗜好でごめんなさい。)


この回は、奇士の仲間に、25年ぶりに実家に連れて行かれるユキアツが描かれているけど、ここは嫌がる様子と帰りたい気持ちとをもっと高濃度で演出してほしかったなあ。あっさりしすぎですよ。


◇ところで!ユキアツを名乗る子供の、野沢雅子バリバリの声の違和感がすごくて参った。あー、昔から思っていたけれども、子供を演じている感の極めて強い彼女の声は、もはや古い演技に属するのかな。と思うのは、私だけかも。


まったく蛇足ですが、(如何に私の評価が世間の基準とずれているかを示す為に)ベテラン連想で思いついたので書くと、ワタクシ、大山のぶ代は、小学生の頃から、「この人は絶対ドラえもんじゃない!イメージが違う!」と思い続けてきました。のったりとしたゆっくりと発話されるダミ声は私にとって、ドラえもんじゃありませんでした。むしろ今の声優さんのほうがイメージに合うカンジがしていますよ。


◇さて、この回は、異界に連れ去られて後、自分の人生に不審を抱き、失踪するまでの幼きユキアツの心理が語られています。竜導家代々の生き方に従って、決められたレールに乗って将来も生きていくのが不思議で、納得いかなかったと。


そう、一部のヒトはそうして既成の社会秩序や、人間の正しいとされる生き方に不審を抱き、それに唯々諾々として従うことを潔しとせず、人生を踏み外していくのです。
だからといって新しい自分なりの論理や生き方を見つけられるのはごく一部。
多くは、イヤだというだけで何も考えずにその日暮らしを続け、ユキアツのように家族もなく、職もなく、人生の晩年を迎えてしまう。(江戸の39歳なんてあと10年もしないウチに寿命ですし。)
そこまで極端でなくても、(個人的には)言われたこと、人間の正統に「デフォルト反発」で返すことなく行動し、生きてきたら何かもっと生産的で正しいものを得たのでは?と思うことも若干ある今日このごろ。


なんだか、無茶苦茶身につまされる主題なのだけど、ユキアツには特殊能力があるので切実感がないのが残念。


◆◆以下メモ◆◆
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・第13話「地獄極楽風聞書」でも見られた、江戸元さんの生業、トコロテンの振り売りは、一話限りのギャグじゃなかったのか。せめて、路地から二階に発射するのはヤメテほしいなあ・・・・


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・また、ユキアツ失踪の後、養子に迎えられた男の、竜導家を背負う重圧に耐えられない情けなさが描かれそうで、これも期待。


・男から名前と刀を譲り受けられた、野沢雅子声の子供は、土方歳三の幼き日らしい。