■「Kanon」03記憶のない組曲〜partita〜s志茂文彦c&d北之原孝将g門脇聡

前回の最後、突然相沢くんに赤子のように力のない猫パンチを浴びせた勝ち気な女の子が、そのまま気を失って倒れ伏すとゆー(いまどき)あり得ない展開に度肝を抜かれたが、この回冒頭は、その女の子を背負って家に連れ帰る相沢くんに、さらに度肝を抜かれたよ。しかも、記憶がない等という戯言を言う。
なんという、清々しいシンプルなスクリプトでしょう。物語のコンポーネントは、極めて古風。


前回で出そろった女子達により、丁寧に織りなされる奇妙に歪んだ対話劇の雰囲気は前回と同じかしら。
女の子達の言動は異様に幼く、皆がみな、相沢くんに好意を抱いているという不自然な状況ではあるが、この奇妙なセリフ回しとイントネーションを真面目な日常芝居にはめ込んで、しかもクオリティ高い仕草作画で演出するから、妙なドライブがかかってくる。
京都アニメーションは、リソースの使い方を圧倒的に間違っているような気もするけど、これはこれで悪くない気がしてきたのは、ヤバイでしょーか。


話は、どうもSFかファンタジー方面に流れていく気配が濃厚です。記憶を無くした女の子が生きていける日常は、病院以外には、非日常にしかないし、ケータイを知らない女の子も、よっぽど特殊だ。
「記憶の無い女の子、・・何を落としたのか思い出せないアユ。・・・そして、7年前のことを覚えていない俺。この街には、記憶をなくす魔法でもかかっているのか。」


最後の夜中の校舎で、刀を振り回している無口な女の子には、爆笑した。