■天保異聞 妖奇士16機の民s會川昇c錦織博d中川聡g金一培

◇この回は、江戸幕府、や天皇等、既存の社会秩序の外にいて従わない民について、アビの出自を元に語ろうとしています。
アビの出身である、「サンの民」、あとカラクリを生業としてきた「機の民」ですって。


江戸時代の宗門人別帳による戸籍的制度には、明治国家の全国民をくまなく把握しようという努力ほど大きな労力と執念はたぶん無かったので、その外にいたヒトビトはたくさんいたんじゃないかな。
戸籍的制度に記録として残らなかったし、存在自体を誰も文章で残していないので、ここは、創作の腕の振るいどころです。


しかし、この回は、そんな自由なはずの彼等にも、「秩序に従わない民」の間にある「共通の掟」があり、それに従わない奴は、抹殺されるべきみたいな、マンガの忍者みたいなノリが仄見えて、(個人的には)なんだか居心地が悪い気がしちゃった。


◇ところで、「雲七馬モード」が日常にいる風景が、なし崩しに、デフォルトになってきたんですが・・・・
前回、前々回の吉原編で、異人アトルの存在とともに、「妖夷に近い馬」について、南町奉行所の鳥居耀三一派から指摘を受け、番社改所の主宰者である、老中阿部正弘能登守の勘定奉行跡部良弼(よしすけ)が、「そう言う者が蛮社改所にいれば大問題だが、そんな者はいない」と突っぱねた経緯があるというのに、いいんでしょーか。
あ、馬円盤は、曰くいいがたいバカなノリが感じられて好きです。


◇あと、またも余計だけど、このところずうっと、登場人物みんなに「サブキャラクター」的なオーラしかなくて、気になる。
ここ最近は、ユキアツは(物語の進行に一応関わるけれども)狂言回しの役割しかなくなっちゃているし、河鍋くんも物語を背負って立つには力不足。アトルは、ぼーっとしているし。(余談だけれども、アトルのぼーっとしている、夢を見ているような呟きは貴重。ワタシ、毎週楽しみにしています・・・・・・オレ、ダメかも。)


やはり、ここは、ユキアツのネガティブ抑鬱路線で一本スジを通して、突っ走って欲しい気がするのだけど、そんなニーズは私だけでしょーか。


◆◆以下メモ◆◆
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・Aパート冒頭の、小笠原さんとユキアツが、人相が微妙なヤマザキ屋の主人に見せられた、透明な甲羅に書かれた甲骨文字が、このアビ編のキーか。


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・番社改所の主宰者である、老中阿部正弘能登守の勘定奉行跡部良弼(よしすけ)が、何者かに狙撃され、その犯人を追うというのがメインプロット。
・火薬の匂いもせず、銃器の激しい音もせず。
・その心は、・・・・・・・空気銃なら音がしないし、紙の銃なら証拠隠滅も容易とゆー・・・・・


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・偶然であった、「機の民」マスラオに、痛めつけられるアビ。
・江戸の秩序外の民について。
「サンの民、カイの民、ソワの民、カセンの民・・・この国には大名の支配を受けず、寺に人別もおかず、気ままに生きる民がある。カラクリを操る機の民も同じ。」(アビ)
「あー、お前等、サンの民と暮らしたこともあったな。」(マスラオ)
「それが何故だ?・・・マスラオ!」(アビ)
「噂で聞いたよ。お前が私達の掟を破ったと。・・・我ら古き民は年貢も税も納めず、人足にも出ない。だからこそ、掟を守らなければ、全員が危うくなる。・・・地の神をたおしているんだって?地の神は、大きな、神々しい、私達をお守りくださるモノだ。・・・そうだろ?」(マスラオ)
「妖夷だ!神じゃない!」(アビ)
「・・二度とワタシに近づくな。サンの民も機の民も同じ。古き民だ。・・掟に背いたお前を見逃すことはできない。」(マスラオ)


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・アビの回想。
・「サンの民」には、妖夷は身近な存在で、互いに干渉しない関係。
・ある日アビの姉ニナイが妖夷にさらわれていった。
・「サンの民」一同が、「神の花嫁」になったのだと解釈して容認したのに、納得いかなくて、グレるアビ。
「神なら何をしてもいいのか」


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・マスラオが、ニナイの居場所を言っていると言う。
「ニナイなら、オレは見たぜ。(・・・)薬酒問屋のヤマザキ屋の寮だ。紙でっぽうを納めた日、確かに、ニナイを見た。」
・あー、ヤマザキ屋サン、ビジュアルどおり、↑やっぱり悪いことしてるんですね・・・。