■シュヴァリエ18新世界s菅正太郎c&d塩谷直義g浅野恭司

1回遅れ。
◇かくて、邪悪な世界征服を目指したダッシュウッド卿も、崇高なフランス革命の理念にひざまついたのさ・・・・・・・・という話?
45年後にフランス革命として噴出する理念が、1744年のマクシミリアンくんにおいては既に準備されたものだった・・・・・とゆーのは、物語として、(個人的には)どうしても受け入れがたい気がするな。


王権が滅び行くモノ、排除して別のフレームワークの世界を作るべきだという考えは、ルソーなどの啓蒙思想家が主導し、貴族のサロンで語られたりして、フランス革命を準備したというけれども、(時期的に1744の世界で、果たして語られる可能性があった思想なのかはともかく(・・・すみません、勉強不足で時代のノリがわかりません・・・))、マクシミリアンやリアが、どういう社会的な環境、交流、生活から、自分たちの思想を作り上げてきた・・・・みたいなエピソードが欲しかったところ。
当時としては、先進的な考え方だったことだけは、間違いないと思うので、出所不明の<正しい理念>は、なんだか、物語的に楽をしすぎのような気がする。(そのための装置が、「革命教団」なんだろうけれども。)


あと、焼け野原と屍の向こうに、「トリコロールに光り輝く理想の万民平等の世界がある」的な描写をするのであれば、この物語で、完璧に視野の外にある、民衆についても、描かなくっちゃ。
幻想の未来世界の中で、万民平等の理想世界に涙するダッシュウッド卿の演出は、雰囲気だけの情緒にながれすぎているような気がしてしまった。


◇・・・なんだか、貶しまくりで誠に申し訳ありません。そうゆー政治系物語を指向とした物語じゃあ無いのはわかっておりますが・・・・
気に入らないなら見るなという幻聴が若干するのだけど、この回も見応え在りましたが、気合いの入った作画のレベルの高さは貴重なので、最後まで見させてください。


◇ところで、4人がダッシュウッド卿の居城に侵入するシークエンス。
ダッシュウッド卿の取り巻きが斉唱する呪文に反応して悶えるデオンと同様に、デュランも呪文に悶え苦しんでいるように見えたけど、これは、切断された左腕の治療のために施されたマクシミリアンの呪術に反応している描写なのか、それとも単純に左腕に負った傷のダメージによるものなのか、どっちなのかしら。


冒頭の戦いで、リアの呪文に、悶え苦しむデュランも同じで、どっちかなーと思ったけれども、詩に反応していると解釈したほうが面白そうなので、一応そう考えておきます。
デュランの体も、「詩」に段々と犯されていき、やがて・・・・という展開の伏線なのではないかと期待。


それにしても、冒頭といい、ダッシュウッド卿の城へ侵入後といい、悶え苦しみデュランの表情の作画が充実していました。


◆◆以下メモ◆◆
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・マクシミリアンくんが死んだショックで、憑依したリアの亡霊が暴走。
それを止めようとするテラゴリー先生の両手にも、「詩」が浮き出ていて、あんた一体・・・・・


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ダッシュウッド卿は、前回のマクシミリアンとの魔術合戦が応えたらしく、萎びたビジュアルになっています。


ダッシュウッド卿は、マクシミリアンの裏切りに手を貸したカリオストロとロレンツィアを自然に見逃していますが、脇が甘すぎかなと思った。
「サンジェルマンに伝えよ。王家の詩は、いまいちど、我らの手で開かねばならなくなったと。・・・だが、イギリスフランス両国の戦争は、我らの望みを叶える為には、いまだ必然の一歩である・・・・と。・・・よいかな?」


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・イギリス大使ゲルシィの偽情報に踊らされて、開戦をルイ15世に迫る臣下たち。
・ポンパドール夫人も述べる。
「明朝まで待ちましょう。それでもご決断なされぬときは、わたくしが、直接陛下を説得します。」


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・リアの暴走のあと、4人でメドメナムへ向かう馬車の中で。
「少しだけ分かった気がする。姉さんとあの男は、憎しみだけではない、強い絆でつながっている。・・過去も、今も変わらぬ力で。」(デオン)
「知っている。」(デュラン)
「だから、あの男の死は、姉さんにとって・・」(デオン)
「・・見境すら失わせる。見たとおり。」(デュラン)


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・幻想のベルサイユ宮殿?で、リアの亡霊に語りかけるダッシュウッド卿。
「哀れよな。・・愚かな王に仕えたばかりに。・・また、愚かにも、私を踏み越え王になり急いだ男を愛したが為に。・・・・彼等の口からはもはや、お前が愛した、ヒトの心を潤し、命を歓喜させる言葉の一つも、紡がれることはない。・・・・私は与えよう。お前に。魂の冥福を。・・真に秩序をもたらす報復を。」


(「王家の詩」を指し示し)「ここにはお前がうつべき本当の相手の名前が刻まれている。・・来るがいい、我が元へ。共に開こうではないか、「王家の詩」を。」


・炎とともに拒絶するリアだけど、現実世界では、ダッシュウッド卿に正対しているものの、なんだか俯いてぼーっとしてます。


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・リア=デオンの肉体に、とどめを刺そうとするダッシュウッド卿は、マクシミリアンの亡霊に捕捉される。彼が見たのは、断頭台の前に死屍累々の死体と、都市の廃墟。
ダッシュウッド卿の独白
「王権を否定すれば・・・こうなることは分かっていた。無益な破壊、そして死がこの世界に満ちることは、明らかだった。・・・なのになぜ、お前はここまでの破壊を求めるのだ。」
「王家の詩を手にした時、私はお前に示したはずだ。・・破壊なくこの地を治める術を。・・約束された未来を。」
「・・・これだけの犠牲の先に、・・・それに見合うものはあるのか。・・お前に、この世界を壊させてなるモノか。」


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・廃墟の都市を、亡霊達が歩む様。
<進め、進め、いざ進め>
・それを見るダッシュウッド卿。「この先に、なにがあるというのだ?」
・前方にフランスの3色トリコロールの光りが天上から廃墟の地上を照らす・・・・


・マクシミリアンの言葉が響く。
「ヒトは、自由かつ権利に置いて、平等なモノとして生まれ存在する・・・」


・続いてリアの声で。
<闇の中に響く時の声に、あなたは絶望を聞いた。燃えさかる炎へと進み行くヒトビトに、あなたは神に見放された葬列を見た。・・失われ行く言葉を憂うひとよ。神はあなたに約束する。破壊された大地に芽吹く草花を。沈黙に続く、命の歌を。光りが闇に生じたように。彷徨う海原の果て、登り行く太陽に明日を見いだしたように。・・ヒトビトは新たな礎を手にするであろう。旗に宿りし崇高なる理念。ヒトはその栄光の元に、今一度生を謳歌し等しく別れた権利の元に・・・・>


・完全に、理想の幻影に我を忘れるダッシュウッド卿。
「見せてくれ、私にも。この世界に満ちる。新たな詩を!」
「・・・・お前は、・・・これを見せる為に・・・わたしを。与えてくれ、息子よ。私に、真の報復を!」


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・マクシミリアンは、死んではおらず、自身の仕掛けと、ロレンツィアの術により復活した様子。
「このオレが、金もかけない博打にのっかるとは・・・思いもよりませんでしたよ。」(カリオストロ