■天保異聞 妖奇士11駮竜、月に吠えるs會川昇c&d横山影利g管野宏紀横山影利

うーむ。またしても、話を盛り込みすぎ。たった二話で日光街道編が終わりみたいだけど、本来ならばこの二倍くらいはかけてもいい要素が盛り込まれているはずだと思った。
蘭学弾圧に異議申し立てをする男なんて、燃える話じゃないですか。それに、徳川家康を「神」と見立てて、神の不在に沸き立つ妖怪達を描いた日光東照宮のくだりも燃える!


だけど、余りに駆け足すぎて、物語的に焦点が定まらず、人物描写も乱暴で、散漫な印象が・・・・
シリーズ序盤のゆったりとした物語さばきと熟考した人物配置を考えると、展開の早さに(ひょっとすると苦境脱出の)価値を見いだしているのか、それとも・・・・・と、若干不吉に思ってしまった。


また、ユキアツが変化する辺りの物語的なカタルシスの微妙さを考えると(やっぱり主人公には人間の姿でいてもらいたよね。)、微妙な回です。
個人的に會川さんがんばれ!と思っているのだけど、うーん、心理主義的な物語運びを放棄してからここ2話の具合がよろしくないような・・・・知った風な口をきいてごめんなさい。


まあともかく話はガンガン進む。だけど、「2話完結」の中の進捗なので、物語全体の設計からみたらこの加速に意味があったかどうか・・・とも思った。


さて、次回、百鬼夜行で有名な河鍋暁斎がテーマみたいで楽しみ。Wikipediaによれば、1831年生まれのようなので、1844年想定の現在では、13歳ぐらい。


◆◆以下メモ◆◆
=========================
・物語のトーンとは無関係に、宰蔵ちゃんが、無理矢理デフォルメマスコットキャラとして表情を演出される場面が多くて、ものすごーく浮いていた。


=========================
・「殺生石」を奪った謎の一団。
「日光で試す・・・・あそこには神の亡骸がある。」


=========================
天保14年4月2日古河城での、老中土井利位(としつら)の詮議
「お前達が行列に加わったは、妖夷退治のためにあらず。道中で捜し物がある旨、聞いておる。だが、それが奪われた。・・・そうであろう?」
「答えよ。お前達が甲斐の守(鳥居耀三)に言われて道中探して追ったモノとは・・・何か?」
殺生石と答える花井。


那須殺生石?・・・九尾のキツネが射殺され、岩に変じた後も毒気を発し、周囲悉く滅ぼしたという・・・」(小笠原さん)
「そのカケラだよ!殺生石は強力な妖夷の封印された姿だ。カケラであっても力を持つ。その力を分析しようというのが奉行所としての当然のつとめだろうっ!」(鳥居の配下の花井)


=========================
・老中大井利位じじいに忠告される小笠原さん。
「小笠原・・・加納を斬れ。わしや川路(聖謨?)、洋学を学んでいたものはみな水野に目をつけられぬように、身を慎んでおる。加納が本城を狙ったのは小笠原の仕業・・・鳥居ならそんな濡れ衣たやすく着せるぞ。・・・身の証しを立てよ。」


=========================
・小笠原さんに、加納に狙われる訳を聞かれる本城モヘイジこと本城辰輔。
「オレはな!アイツが嫌いなんだ!あいつだけじゃない!お前も!お前も!・・・・異界だの異国だの、こことは違う別の場所のことばかり語る輩はよう!」(本城)
「異国と異界はまったく違う。」(小笠原)
「・・・同じことさ。お前達は自分たちだけが本当のことを知っているような顔をする。異国ではああだこうだ。異界とはどんだけ素晴らしいか。・・・そうやって行けもしない世界の事を自慢してみせる。」
「同じ、この地べたにはいずり回っているゴミ虫のくせに、自分だけは別だ。こんな国に収まる人間ではないんだと。・・・だがな。人はここで生きていくしかなえんだよ。」


=========================
・土井利位さんの日光東照宮についての解説。
「この地にはまつろわぬものの魂が多く眠っておる。・・・それを家康様を神とすることで押さえつけていると言っても良い。」
「だが、ここに書かれた名は、いずれも家康様にくだされるかも知れなかった別の神の名。」
「・・・家康さまの神としての力を否とし、消し去る呪いだ。」


「徳川安泰のため、平和のため、多くの妖夷がこの地下に埋められた。・・・それが今、目覚めようとしている・・・」