■シュヴァリエ16魂の行方sむとうやすゆきc&d山本秀世g井川麗奈

1話遅れ。
うー、私がバカなのでしょうけど、Aパートの主題となる、政治的な動きが最初良く理解出来ませんでした・・・
やっと、前々回4銃士が奪い、フランスに渡ったイギリスの機密文書の内容を巡るそれぞれの勢力の反応を描写していると気がついた。
鑑みるに、そもそも、このイギリスの「最終決定外交文書」が、何について決断したモノで、どんな意味で重要なモノなのかが、いままで描写されていなかったために、アタマの硬い私は、Aパートの対話の流れについていけなかったんですね・・・・まあいいや。


◇さて、この回語られていることを総合すると、この文書は、「イギリス国家が、フランス領土、しかも本土の割譲を要求した」ものであり、しかも、「正式にイギリス議会の決定を経た」ものであるってことでしょうか。
その真意は、フランス主導でイギリスとの開戦を導く為のもので、いきり立ったフランスを返り討ちにしてくれるわ、とゆーカンジ?


革命教団の首魁であるダッシュウッド卿や、その手下であるサンドウィッチ伯爵は開戦を望み、それをイギリス国王も支持している。
だけど、同じくダッシュウッド卿の手下であるはずのマクシミリアンくんは、若干考えが違っていて、戦争を望んでいないみたい。この辺りが、この回Bパート最後のダッシュウッド卿からの呼び出しに対する不敵な面持ちでの反旗を匂わせるセリフと呼応して、マクシミリアンくんの今後の立ち位置の変遷を匂わせる伏線なのかもと思った。
「報復とは・・・崩れゆく調和と正しい統治の回復を意味する・・・・甘んじて受けるものです。」(マクシミリアン)


ついでに言うと、老獪なルイ15世はその意図するところを汲んでいるが、ポンパドール夫人はその煽りにひっかかっているってことを演出している様な気もした。


◇ところで、Bパート、メアリー王妃のデオンくんに対する自分の正体の告白は、いささか唐突だよなと思ったけれども、同じ「死者の魂が降りている身」として、一瞬で真実を見抜いた故なのでしょう。
しかし、メアリー王妃!誰が敵対する存在で、誰が味方する存在なのかというところを一切認識していないひとなのでしょーか。
イギリスの外交文書を奪ったりして、明らかにイギリスの利害に衝突しているデオンくんに対して、自分の正体をバラす脇の甘さは、そう考える「理」よりも、親しき「リアに対する共感」が勝ったのだと理解するのが正しいのだろうけども。


さて、この回でメアリー王妃の告白により、リアが、マクシミリアン、ダッシュウッド卿、サンジェルマン伯爵という、今やリア&デオンに敵対するヒトビトと生前つるんでいた時期があったことが明らかになりました。
ということは、リアが、ダッシュウッド卿の主宰する革命教団の理念と目的を理解し共感を寄せていたことでもあり、俄然、革命教団の目的と主張を知りたくなってきましたよ。


◆◆以下メモ◆◆
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・この回前半は、マクシミリアンという寡黙なキャラクターが良くしゃべってくれて、その淡々とした憮然としたようなしゃべり口調の味わい深さに気がついた。


サンドウィッチ伯爵とマクシミリアンの会話。
「ところで、イギリス議会はこれで手札を失ったことになりますな。」(マクシミリアン)
「たとえ、あの機密書類がフランスに漏洩したとしても、議会は決定を覆えさん。・・イギリスは王の気まぐれで全てが決まる国とは違うからな。」(サンドウィッチ伯爵
「そう・・・この国で、・・議会の決定を覆せるのは、ただ一つ。・・議会だけだ。」(マクシミリアン)
ダッシュウッド卿は、開戦を望んでおられる。」(サンドウィッチ伯爵
「戦争は国を疲弊させるだけです。」(マクシミリアン)
「それこそが・・」(サンドウィッチ伯爵
サンドウィッチ伯爵。・・・火の手の上げ方は、一つではありません。」(マクシミリアン)
・マクシミリアンくんは、イギリスとフランスとの開戦による「目的」の成就を目指すサンドウィッチ伯爵に対して、武力衝突を避けて、別の方法で目的を果たそうとしているみたい。



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・マクシミリアンの詩の力で手当てされ、片手を失ったけど、比較的元気なデュラン。マクシミリアンが白紙の王の命令書を持ってデュランを説諭する。
「こんな詩を書く王に失望しないのか。・・身命を賭して尽くすに値する王なのか。・・・いや、その王はキミを本当に必要としているのか?」(マクシミリアン)
「フランス国王を裏切り仕えた相手・・・そいつとはうまくいっているのか?」(デュラン)
「片腕を失い、拷問を受けながら、なおも忠誠の為に秘策を巡らすキミが・・・わたしは欲しい。」(マクシミリアン)


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・「話にならない。・・・どこのお人好しが、戦争一つせずに自国の領土を差し出すというの?」とポンパドール夫人が吐き捨て居てる文書は、どうやら4銃士が奪った機密外交文書みたい。ゲルシィを通じてつたわったんですかね。
「このような紙切れひとつで本国を割譲させようなどと・・・なめられたものだわ。」


・とにかく、この文書を見てポンパドール夫人は、決意する。
「この戦争、戦うのはフランス軍ではありません。・・・外務省がベルサイユの主導権を得る時が来たのです。」


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・そのポンパドール夫人の動きをブロリー伯爵から聞くルイ15世。
「かねてより外務省がイギリスとの開戦に向けて、準備を進めてはおりましたが・・・」
「遅かれ早かれ、火の手はあがった。ポンパドールには格好の油だ。・・・情報とは利用するためにあり、外交とは相手の主張と要求をかわす為にあるものだがな。」
「御意・・・」
「あれは、何もかも日の光の元へ引きずり出してしまう女だ。・・・光りに晒されると亡びてしまうモノも、この世にはあるというのに。」


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・ゲルシィにフランスへの裏切りを持ちかけるマクシミリアンとサンドウィッチ伯爵
「君に頼みがある。フランス外務省に情報を流して貰いたい。・・(・・)『イギリスは軍事が疎かになっている。この機に戦争を仕掛ければ、勝利は間違いなし。』」(マクシミリアン)
「併せて上陸作戦の素案を提出して欲しい。・・・しかるのちにイギリス軍を指揮し、フランス軍を返り討ちに逢わせるのだ。」(サンドウィッチ伯爵
「・・・なるほど。上陸作戦を立てるものとそれを迎え撃つものが同一人物。イギリス軍の被害は最小にして、その効果は最大という訳ですな。」(ゲルシィ)


サンドウィッチ伯爵とマクシミリアンは、ゲルシィにフランスへの忠誠の甲斐の無さを訴える。
「錆びた剣など眺めていても、フランスに君の居場所はない。」(マクシミリアン)
「半分スコットランド人の血が流れているお前に、これ以上フランスが何をしてくれるというのだ。」(サンドウィッチ伯爵


・大金を差し出す二人に駆け引きするゲルシィ。
「・・(差し出されたお金を)とりませんよう。私の血の残り半分はフランス人です。道義に反する上・・・」(ゲルシィ)
「君が騎士道を説くのかね。」(サンドウィッチ伯爵
「とんでもございません!・・ただ、いささか良心がとがめますことは事実。」(ゲルシィ)
守銭奴が何をいうか・・・」(サンドウィッチ伯爵
「これは並の作戦ではございません。成功した後、イギリスがワタクシになにをしてくれるのかをお聞かせ願いたい。」(ゲルシィ)
「むろん格別の待遇を持って処する。終身にわたる重用を確約しよう。」(サンドウィッチ伯爵
「そんなことを議会が認めるはずが・・・ありますまい!」(ゲルシィ)
「ある方の確約があれば・・・そして、君が任務を全うすればそれは現実となる。」(マクシミリアン)
「・・・誰の確約ですと?」(ゲルシィ)


・その前に現れるイギリス国王ジョージ三世。
「ゲルシィ伯。貴君にフランスが与えなかったものをイギリスが与えよう。・・・王権復活のために、是が非でも力を貸して欲しい。」(イギリス国王)
・フランスへの裏切りに、忸怩たる思いを抱えつつも、差し出すイギリス国王の手を握るゲルシィ。


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・あっさりとメアリー王妃へのお目通りが適うデオンくん。デュランの釈放を訴えると、二日で「詩人による悪い企て」を明かすことを条件に、、釈放を認める王妃さま。


・さらに、王妃はデオンくんに、自分の正体を告白する。
「それにしても不思議だわ・・・・言葉に力が宿っているのは自明なこと。あなたが詩篇をいたずらに恐れていることがわたくしには不思議。かってわたくしに、私たちに、詩の力の偉大さを教えてくれたのは、・・他ならぬあなたの姉。」
・胸元をはだけて<H∴O>の刻印を見せる王妃。仰天するデオンくん。
「・・・」
「リア・ド・ボーモン。そして、マクシミリアン・ロベスピエール。・・・二人が詩の力をもって夫ジョージ三世とわたくし達姉妹とを、失意と絶望の淵から救ってくれた・・・」
「姉妹?」
「わたくしは、王妃メアリーは、去年の秋、はやり病で死にました。」
「は・・・・では・・・・?」
「あなたと同じなのです。わたくしもまた、大切な人の魂をおろされ、受け入れた存在。」


・メアリの魂の蘇りの儀式を通じて、リアとマクシミリアン、ダッシュウッド卿とサンジェルマン伯爵とが同席していたことを知るデオン。
「サンジェルマン・・・?」
「革命教団を率いるダッシュウッド卿の盟友にして、ヨーロッパ全土に散らばっている詩人達を司る方です。リアとマクシミリアンも、伯爵を通じてメドメナムの詩人達を知った・・・」
「・・・メドメナム?」
「メドメナム修道院あと、それが詩人達の都・・・」


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・壁に浮かぶメドメナムへ直ちに戻れというダッシュウッド卿の命令。
・むざむざダッシュウッド卿の右腕であったホワイトヘッド卿を殺したことを叱責されるのを覚悟しておけと述べるサンドウィッチ伯爵に対して、マクシミリアンが述べる。
「報復とは・・・崩れゆく調和と正しい統治の回復を意味する・・・・甘んじて受けるものです。」