■僕等がいた18・・・s池田眞美子c大地丙太郎そーとめこういちろうd中川聡g金一基

一話遅れ。
うー、むずかしいなあ。
13話以来の死んだ奈々さんをめぐる葛藤の物語はどうやらハッピィエンドを迎えたようだけど、どうにも二人の心の動きがよくわからない。
自分的に納得して安心するために、私流にムリヤリ解釈してみました。錯誤あれば、ごめんなさい。
以下参照。


◇13話の海岸での、「死んだ奈々さんが今も好きであり、生き返って欲しいと切望している」という振り絞るような想いの告白は、ヤノの真実の心の露頭だった。そして、それは、そんな苦しい想いを救って欲しいという七美への無意識の告白でもあった。
しかし、七美ちゃんは、想像だにできなかった、その「生々しいヤノの七美さんへの想い」に衝撃を受ける。そんなナマな人間のこころに触れたことがなかったから。
だから、思わず、七美ちゃんに差し伸べられたヤノの救いを求める手を振り払ってしまう。
ヤノのこころにおける「奈々さんへの想い」が「過程」にすぎず、どこに最終的にたどり着くかを考えることなくスルーして、確かに存在感を持って「ヤノの心に存在する奈々さん」への敵意だけを意識化する。


この回、Bパート、二人がわかりあって抱き合うクライマックスで、「あのときがヤノの心の奥に分け入るチャンスだったんだ」と七美ちゃんが思い当たるシーンがあるけど、見ている私などは、明白に心理的な弱みをさらけ出したヤノを振り払う七美ちゃんに、むしろ違和感を感じたモノです。


◇さて、七美ちゃんは、別れを告げて以来、再度ヨリをもどそうとするヤノに、奈々さんへの想いを教えてくれることが復縁の条件であると述べる。
これは、13話の七美ちゃんの言動とは、明らかに正反対だ。13話の海岸での出来事から、ヤノは、奈々さんのことを本音で語っては、七美ちゃんを傷つけてしまうと思う。
だから、幾ら尋ねられても、語るように要求されても、その話題を避けるように、はぐらかすようにする。当然のことです。


◇しかし、七美ちゃんは、奈々さんの想い出を語るように要求する。
意識していないながらも、ヤノの奈々さんへの想いの向こうにしか、二人がよりをもどす道がないと悟っていたってことなんでしょーか。
それとも、敵意を感じる奈々さんを知ることにより、何かが変わると思っただけだったのかもしれない。
いずれにせよ、七美ちゃん自身には説明不能の衝動だったんじゃないかな。
13話で振り払ったヤノの弱った姿に、何か引っかかりを感じ、その引っかかりが何か理解できないけど、説明を求めて試行錯誤して、うろうろしていたってのが、17話までの七美ちゃんの心理過程だったんじゃないでしょうか。
この回のAパートに至るまで、七美ちゃんは執拗に奈々さんについて語ることを要求するのです。


◇そんな七美ちゃんの要求に、ヤノはダブルバインドの状況になる。「奈々さんについて語るな。」「だけど、奈々さんについて語れ」
この相反する二つの七美ちゃんの要求に、ヤノは混乱し、振り回される。ヤノくんにしてみればムチャな話です。
しかし、ヤノの中では「奈々さんについて語るな」という声が大きかった。なぜならば、(13話の事実が示すように)七美ちゃんを明らかに傷つけるはずだから。


◇ヤノの心の中で、「奈々さんについて語れ」という声が大きくなるのは大きな心理的な転換が必要だった。
そこにたどり着くまでに、七美ちゃんに冷たくされ、なじられ、そして「再度の別れ」、つまり「再度の大切なモノの喪失」の疑似体験が必要だったんじゃないでしょうか。
この回、Aパート最後で、七美ちゃんに「あたしもう自信ない・・・もうこれ以上意味ないよ」と、別れを告げられたことで、ヤノは、奈々さんとの別れを深い実感をもって思い出し、「奈々さんについて語れ」という、七美ちゃんの本当の要求にたどり着いたんじゃないかな。
そして、奈々さんの想い出の奥に秘められていたヤノの真情が流れ出し、それが七美ちゃんの心をうって・・・・・・・みたいな。


◇しかし、ねえ、七美ちゃんにしてみれば、好きな男の心理的な弱みをがっちり握って、抱きしめてなぐさめて上げて、ヤノの奈々さんの心理的供養まで助けてあげて、恋愛的には強烈に優位にたっちゃってますよね・・・・・