■シュヴァリエ11聖都の雨s松澤健志c&d初見浩一g窪田庸高

ピョートルの意を受けたマクシミリアンによる、女帝エリザヴェータの暗殺の成功により一転、暗殺の首謀者とされて追われる身になる4人。獄に繋がれていた実力者ベストゥージェフも復権することになり、ロシアは、理想を失った守旧の時代に落ち込むかとおもえたが・・・・・


しかしねー、ロシア宮廷内には、暗君ピョートルとか、ひとたび女帝暗殺計画の罪で捕縛されたベストゥージェフを受け止める土壌がなくなっていて、あっさり、ピョートルくんの妻エカテリーナにクーデターをやられてしまうのでした。


うーん、何だかひどくおざなりな展開な気が。こういう政治的大枠の話は、歴史物としてはとっても語りやすいのだけど、実質の登場人物たちの物語がともなっていないというか、そんな感想。
4人は、エカテリーナに信望されたということで、このクーデター劇にプロットしてもらっているけど、彼等である必要は全くないのがキビシイ。


そもそも、1755年想定のこの年(だってさ、史実的には、デオンがロシアに女装して派遣されたのが1755年。また、この物語かなりイベントを柔軟に操作しているみたいだけど、フランス国家にとっての重要事たる戦争、つまり七年戦争(1756年〜1763年)を意識しないで、まさか物語が展開されたりはしないと思うのです。)に、この政変劇をやる必要があるものなのか。
というのも、WEBいろいろ見ていたら、即位したピョートルに対するその妻エカテリーナのクーデター劇は、史実的には、1762年らしいのです。


ストーリーエディターとしては、こういう大仕掛けな政変を主人公達の行動に絡めたいという思惑はわかるものの、「史実の枠組み」を枷としてストイックにオリジナルな物語を紡いでいくのが心意気ってものなんじゃないかなーっとカナリ生意気なことを考えてみました。ごめんなさい。
また、特に史実的に最も面白い「女装の騎士」というアイデンティティが、その最大の見せ場であったはずのロシアでほとんど生かされていないのが非常に残念かも。


◆◆以下メモ◆◆
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・前回から続いていた冒頭のボロンゾフ対リアの戦いは、舞台の家が「詩」で崩壊してドロー。この家崩壊のCGが妙な具合で思わず笑いが・・・・


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・ダメ人間ピョートルくんのDV被害者でしかなかった、エカテリーナが、雄々しくクーデターをするまでに変貌する、その物語をみたかったのだけど。


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・マクシミリアンくんは、エリザヴェータの血で、「王家の詩」の秘事に連なるなにかを行った模様。
・シャンポール城のサン・ジェルマン伯爵
「禁じられた詩を開いたか・・・・マクシミリアン・・・」


・マリー王妃とドクロ嬢の会話。
「間違いないわ。誰かがアレを読んだのよ。」
「読んだのはだれ?」
「大きな力・・・彼女と器じゃなかったわ。」
「そう・・・・けれど、王家の詩が遂に語り始めたというのね。」
「時が近づいているのよ。マリー。・・・・そんなことより早くママにあいたいな」
「もう少しよ。私のベル・・・」


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・エカテリーナのクーデターで逃散する首謀者たち。
・ピョートルを捕まえたのは、テラゴリー先生。剣を向けるピョートルくんを挑発し、からかう姿がとってもチャーミング。
「さすがは皇帝陛下・・・お勇ましい・・・」
「うっ・・・・・(斬られたフリして)なーんちゃって」


・宰相ベストゥージェフは、マクシミリアンにより呪殺され、彼を追っていたデュラン対マクシミリアンは次回へ続く。デュランとマクシミリアンは知り合いの模様。


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・デオン対ボロンゾフも、次回へ続く。
「なぜ、姉さんは死ななければならなかった!」
「かって私も女帝の騎士として改革に身を賭す覚悟だった。怠惰な貴族たちからこの国を救うために。」
「ならばなぜ!」
「新たな制度のため、貴族であることを捨てろと命じられたのだ。家名を名乗ることすら許されない・・・そんな制度には耐えられなかった。・・先祖より受け継いだロシア貴族の誇り。・・・捨てるには重すぎたのだ。」
「だからパリで女性たちを・・・そして姉さんまでも・・・」
「この宮廷で心からエリザヴェータ様と語らっていたのは、お前とリアだけだ・・・・信じた誇りが歴史によって潰えるのならば、私も潰えよう・・・・最後の騎士として」


・なんだか、微妙に対話が成立していませんが、ボロンゾフさんの言いたい事はわかった。しかし、WEBを彷徨っていると、女帝エリザヴェータが貴族の特権を剥奪しようとした史実はないみたいなので、そう考えると切実さがないかも。ああ、余計なことを調べたか・・・・