■シュヴァリエ09愛人たちs菅正太郎c福田道生d小林孝志g安藤幹彦横田晋一

デオンくん達は、ずいぶんあっさりロシアの女帝エリザヴェータから全幅の信頼を受けるようになり、一芝居をうって、宰相ベストゥージェフが計画し、ボロンゾフが実行しようとした暗殺を阻止するのでした。
なんだか、段取り感満点で、いまいちドラマ的おもしろみに欠ける回だったかなー。
オカルト風味も皆無だし、史劇的な要素だけだと、主人公達は脇に回ってしまい、かといって史実のキャラクターも深まっておらず、表面的事象だけを点描せざるをえないから、深みにかけてしまうのかしら。(女装はどうしたーっ)


特に気になったのが、エリザヴェータ女王のリアリティが・・・・。(この劇中のルイ15世もそうでしたが)一国の政治を運営している立場なら、腹心の一人や二人、政治的代弁者の2人や3人は取り巻きにいないとオカシイと思うんだ。
どこの馬の骨とも分からない主人公たちと直接うち解けたり、完全に信用して暗殺阻止の一芝居を主人公達と一緒になって打ったり、あろう事か馬車をたった一人で出迎えたりすることはあり得ず、仮にそうしようと本人が思っても側近が止めたり諫めたりする描写は必須の気がした。
物語の当事者をシンプルにハッキリさせるための方便だとはわかるのだけど、どーしてもこんな些細な事が気になってしまう私なのさ。だめだ。


あと、エリザヴェータ女王は、史実的に、愛人と遊びまくっていたというイメージでもあるのかな。私にはわかりませんが、この話では、「愛人」と見せかけて、ロシアの明日を担う人材と協議をしていたとゆー、賢明な名君として描写していて、これもなんだかなーと思っちゃった。
この物語の登場人物たちみんな真面目すぎです。


その中で、ピョートルくんのイカれアル中DVぶりが素敵だった。こういうダメ人間は大切にしてほしいけど、後ろ盾のベストゥージェフを失って、その妻ともども今回でお役ご免な予感。。。
「おおおーう、予が、遂に・・・・・・こっこっこっ・・皇帝だあっ」


あと、どーでもいいが、宰相ベストゥージェフが連行されていく描写で、彼の背が絵的に不自然なほど小さくなっちゃっていて(そのあまりにも分かり易い立場の変転もあって)爆笑した。


◆◆以下メモ◆◆
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・デオンくんを完全に信用し、リアがいかに大物だったかを語る女帝。だるま顔のボロンゾフはエリザヴェータ女王の元愛人だったらしい・・・・・
「リアはわたくしに国の制度を変える為の勇気をくれた。フランスにならい築かれたこの国の歴史を、フランスから着た貴族の娘が変えよと言ったのだ。ロシアをロシアならしめる、それこそが大事だと。」


「リアはかってわたくしの命を救ってくれた。だが、わたくしは何もしてやれなかった。・・・ボロンゾフという男を追いなさい。リアの死に深く関わっているはずです。」


「ボロンゾフはかってわたくしに使えていた貴族。リアとともに改革の良き理解者であった・・・しかし、あのものは去った。わたくしが愛人ばかりを構っていたせいで・・・・」


「(ボロンゾフを捕らえることは)本来ならば、わたくしがやらねばならぬ事、あなたがここに来る前に。・・だがリアがともした改革の火を絶やさぬ為にはやむを得なかった・・・・」


「宮廷内を自由に出入りできるよう計らう。・・・ボロンゾフを捕らえよ。・・・ただ、ボロンゾフの背後には、おそらく、大宰相であるベストゥージェフが控えている。わたしとて容易に手を出せぬ相手・・・・あなたの行動それ如何でロシアは未来を失うかも知れない。」


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・「大宰相」ベストゥージェフの我が儘な言いたいほーだい。マクシミリアンくんは、かってリアと共に女帝暗殺を阻止したんだってさ。ひどく立場が変わっているこのヒトは、リア暗殺の容疑者かも。
「暗殺未遂の首謀者と疑われながら、ひたすら女帝の機嫌を伺い、ようやく、漸く改革の芽を摘みきったこのときに、よりのもよって、リアそっくりの弟の謁見を許すなど・・・ええい、忌々しいっ。」


「貴様(ボロンゾフ)・・・今も女帝と通じているのではあるまいな。(マクシミリアンに向き直り)・・・そういえばお前も、かってはリアと共に女帝暗殺を阻んだ張本人。」


「ロシアの明日を築くのはこの私だ。フランス人や女どもの好きかってにはさせん。」


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・エリザヴェータ女王様がさー、愛人、愛人いうからさー、期待してたら、↓こんな真面目なこと言い出すんだもん。
「わたくしの愛人達を紹介します。・・・彼等は、この国を心から憂い、礎とならんことを神に誓った、ワタクシの大切な同士。・・・わたくしは今、彼等と共に新たなる議会制度を樹立する為の準備を進めています。・・いま改革を行わねば、遠くない未来、この国は確実に滅ぶ。
あなた方はわたくしの命を救ってくれたばかりか、ロシアの未来をも救ってくれました・・・ありがとう。心より感謝します・・・・」


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・マクシミリアンくんが、女王暗殺に情熱を燃やしてます。
「神が欲しているんです、女帝の血を。コレまでにないほど強く・・・。」