■シュヴァリエ06王の騎士sむとうやすゆきc福田道生d神戸洋行g柴山智隆g補佐神戸洋行横田晋一

王家の秘事に関わる重大な容疑者ロシア商人ボロンゾフが逃亡し、パリには手がかりはもはや無くなってしまったと語られる。
ルイ15世は、ロシアに機密局員を派遣することを決意。当然のように白羽の矢がたった4人に重大な使命を与える。しかし、その前に、ルイ15世は、彼等をいったん機密局員から解任し、縁者とのつかの間の別れの猶予を与えるのだった・・・・


この回は、史実的に「女装の騎士」だったというデオンくんに、女装させるための、アリバイ作りが最大の目的。ノーマルで超マジメなデオンくんが、こころおきなく女装する為に、リアの亡霊の性質を規定しています。


マリー王妃とガイコツ嬢の対話で、ガイコツ嬢は、荒れ狂う怨霊たるリアの霊を鎮めて、本来のリアの性質を取り戻す為には「道具」が必要だと語り、マリー王妃も心あたりがあることを述べるのですが、それがまさかドレスだとは・・・・
途中、アンナたち王妃お付きの女たちが青いドレスを手入れするシーンがあるのだけど、いや、まったく意外すぎて全然気がつきませんでした(笑)
王妃様に女装させられて紅をさしている、素の状態の戸惑ったデオンくんが愛しすぎる(笑)。可哀想だから早く憑依してあげて!と若干おもったりしました。
全般に、オカルトがかった非常にマジメなノリの演出だけど、作り手側の心遣いがなんだか可笑しくて爆笑してしまいましたよ。


これで、デオンくんは、女装をすれば姉の霊を自由に召喚でき、リアは、怨霊的な要素が薄れ、人間とコミュニケーションできる存在になるのかな。
問題は、女装するタイミング。
デオンくんは、騎士なんだし、そうそう女装する機会はない。デオンくんに積極的に女装して貰う為には、きっとどこかで、何らかのタイミングでリアとデオンくんとの(直接対話は出来ないと語られているので)間接的な対話のエピソードを作り、「亡霊たるリアでなければ」記憶が甦らないとか、そんな「リアでなければ対処できない」とゆー、機能的な役割をデオンくんが認識する必要があるかも。


それとも、デオンくんが姉を恋しいと思った夜中とかに、こっそり女装したりしてシスコンぶりを発揮していたら、いつの間にか姉が憑依している・・・・とゆー、倒錯した素晴らしい変身プロットを・・・・やるわけ無いか。
ところで、ドレスを持っているだけで亡霊が安定するなどとは、決して言わないで欲しいな。


しかし、当面はロシアまでの道中っぽいので、あんまり女装する機会なさそーで残念。
あと、ドレス一式は当然デオンくんの、道中の荷物の中にはいっているんですよね。かさばりそーだし、他の3人に見つかった時に、なんて言い訳したらいいんだ!



◆◆以下メモ◆◆
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・マリー王妃とガイコツ嬢の対話。
「まだ・・拒んでいるわ。」
「彼が、彼女の魂を・・・その悲憤を未だ受け止めかねていると言うこと?」
「そうよ、マリー。・・彼女の悲しみが深すぎるの。・・怒りが激しすぎるの。だから、戸惑っているんだわ。」
「彼の亡き姉への思いが、全てを救うよすが。」
「早く分からせるべきよ、マリー。」
「さまよえる彼女の魂と、その器たる彼だけが、王家の詩の秘密を解き明かせる存在・・・どうすればいいの?ベル?」
「教えて上げたら、私のママが誰だか教えてくれる?」
「考えてもいいわ。」
「うふふ・・・・今のままではダメ。何か道具がいる。魂を定着させるための道具・・・・」
「それなら、良いものがあります。」


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・青いドレスの手入れをする王妃様のお付きの女性たち
「はあー素敵ねー」「どなたの持ち物かしら」
「悔しいけど、ドレスにまけちゃうわ。よほどの美しさと気高さを持ち合わせていなければ。でも、いつかこんな服の似合う女性になりたい。」(アンナ)
・・・・よもやデオンくんが着るとは思うまい。・・・・私も思いませんでした


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・ルイ15世の未だ明かされぬ任務を想像するデオンくんとロビン。
「今の政治情勢にあって、フランス人がロシアに行くことは・・・・」
<死を意味している>って補足するのかな?
・1755年のロシアとフランスの関係がどうなっていたのかは、ちょっとWEB探したけども、歴史的にマイナーなポイントらしく、クローズアップしているところを見つけられず、よく分かりません。
・次の7年戦争(1756〜1763)では、ロシアはフランスと同じ陣営になるようですが、すると、現在は、敵対関係にあるってことですよね。
その敵対関係が、デオンくんの活躍でなんとかなるみたいな展開でしょうか。



・ルイ15世につかの間の自由時間を与えられて、テラゴリー先生は「ひとつ息子の顔でもみにいってやるとしよう」、デュランは「俺は恋人にあってくるぜ」と述べる。
ふたりとも行く先は死者のところ、息子の墓とリアの墓所という、死者に引かれたキャラクター。デオンくんも合わせて、みんな死者に因縁を持っている。


①テラゴリー先生の息子の墓碑銘<JULES FRANCOIS TEILLAGORY 1725-1746>
「皮肉なものだ・・・・この私がアーヘンの和約を機に設立された機密局の一員になろうとは・・・・」
・アーヘンの和約(1748)は、オーストリア継承戦争(1740〜1748)終結条約だそうです。
・参戦していた各国は、オーストリアからぶんどった領地を、この条約でほぼ返還することになり、プロイセンを除いて、この戦争でいい思いをした国はなかったとか。特にフランスは、ぶんどった領地を返還し、オーストリアの後ろ盾についたイギリスに海外植民地を奪われたり、散々だったみたいです。
・テラゴリー先生の息子は、オーストリア継承戦争のいずれかの戦いで戦死したのでしょうか。
・それにしても、墓を参るテラゴリー爺さんのハゲ&長髪の後ろ姿の凛々しいこと!


②リアの地下墓所に花を手向けに訪れるデュラン。
「あのときから・・・君の死を知った瞬間から俺の時間は止まったままだ。・・・リア」
機密局謹製の懐中時計は、12時を指しています。


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・ロビンは、王妃様に母親の面影を見ている模様。花を贈呈したりしています。
「身寄りのない平民の子を拾ってくださり、おそばに置いてくださったばかりか、学問と武術にいそしむ機会までをもお与え下された王妃様のご恩に報いることが出来ぬまま・・・・」
・そんなロビンに対して、王妃様の瞳は、言葉とは裏腹に、なんにも写っていない気が・・・・。意図的な演出なのか、たまたま、こうなっているのかちょっと気になるかも。


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・王妃様に謁見し、リアの魂をなんとかしてくれと王妃様に頼むデオンくん。
「かの、さまよえる魂が、我が姉、リア・ド・ボーモンであると確信するに至ったものの、私は対処の術を持ちません・・・・あれは、とても姉だとは思えない・・・思いたくない・・・」
「しかし、私には分からないのです。どうすればよいのか。姉が私に何をのぞんでいるのか、出来ることなら確かめたいのです。ロシアへと立つ前に。」


・分かったと述べ、おもむろにドレスを持ち出す王妃様。
「?・・・はっ、これは!」
「身にまとうのです、デオン。・・・リアの声を聞くには、あなた自身がリアにならなくてはなりません。直接声を聞くことができない代わりに、その肉体を秩序をもってリアと共有するのです。」
「秩序・・・」
「互いが願う時、リアとなり、願わぬ時は、あなたのままでいられるように。」
・これがオカルト風味ではなかった場合を想像すると、偉いヒトの権力にものを言わせた女装強要って場面になるのでカナリ面白い・・・・というか、なぜそんな想像をする必要があるか分かりませんね>自分。


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・女装したデオンくんに憑依したリアの魂が祈りの言葉をつぶやく。
リア「私の道は・・・すべて・・あなたに・・近い。主よ・・罪深い剣から・・私を・・救い給え・・・」
ガイコツ嬢「彼女がやどったわ。マリー」
王妃「あなたは王に勝利を与える。契約と天秤を思い出し給え。」
王妃&リア『主よ、人は大地から生まれたものを、もはや恐れまい。』


・苦しげなリアを問いつめる王妃様。王妃様は、<王家の詩>が何物であるのかわかっておらず、しかし好奇心満々で、ロシアに奪われた理由を知りたがっています。
「リア・ド・ボーモン、なぜ剣を振るうのです。」
「・・・報復の・・為・・・。王家の・・詩を・・奪われた・・・ロシアに・・渡った・・・」
「王家の詩には、何が隠されているのです?・・なぜ奪われたのです?」
「・・・裏切り・・もの・・」
「それは誰?誰がフランスをうらぎったのですか?」
「うぅ・・・」
「思い出して、思い出すのです。リア・ド・ボーモン。」
「う、うぅ・・・・・なぜ・・・・・あの人が・・・・・・ナゼ・・・」
「リア・・答えて!」


・リアをあんまり問いつめて、怨霊たるコア部分を述べさせようとすると、デオンくんに負担がかかるみたい。
「器が壊れちゃうよ、マリー。これ以上は、まだ今は無理。せっかくの器なんだから、大事にしてあげて。」


・デオンに何か伝えたいことはと問われたリアの亡霊は、涙を流しながら、鏡にメッセージを残す。
「私はあなたとともに在る」


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・ルイ15世から、あらためて機密局員に任命され密命を受けるデオンくん。
・ルイ15世の、ベッドに寝た状態からの謁見の状態が、覗き小屋みたいで爆笑した。おそらく史実に乗っ取って、考証してセッティングしてあるんだろうけど、コレを笑わずに何を笑うのかとゆー、そこはかとない可笑しさを醸し出していました。