■N・H・Kにようこそ!11陰謀にようこそ!s西園悟c&d祝浩司g山川宏治

いやー、先輩が、素晴らしくいい!
このリアリティのない話に、まったくリアリティのない「あこがれ」の先輩の「降臨」。
そもそも先輩は、エキセントリックな、クスリを常用する、精神的に弱い人間として高校編も現在編も描かれていますが、その存在の「現実感の無さ」は、ある意味裏返って、非常にこの物語では重みを持つ(のだろうか・・・?)。


この回、先輩に付託されているのは、実在感の無い恋人、実在感の無い職場、実在感の無い同僚、実在感の無い失恋・・・・・・。これらは、きっと先輩の「現実世界の認識」そのもの。
先輩にとって、世界は薄く皮膜がかかったもので、なにか遠い世界で蠢いている、自分とは遠い存在。だから、世界は彼女にとって張りぼての作り物であり、どうにも現実感の薄い存在なのでしょう。


個人的には、そんな「リアルの狭間」に浮遊する先輩を、「リアルを喪失」したサトウくんと対比させたいのだけど・・・・・・・うーん、サトウくん、ホントにリアルを喪失した引きこもりなの?なの?なの?・・・・という疑問が拭いがたいキャラクターとなっちゃっているので・・・・・・・・・次回の展開にかかっているかな。(ギャグ調で落とされると悲しいナ・・・)


・・・ともかく。この回は、サトウくんの家に押しかけてきた、異様に陽気な先輩がチャーミングすぎ。
めぞん一刻の頃の全盛期の高橋留美子張りに、「誤解の対話」の連鎖成立のあげく、自殺OFF(これって練炭自殺とか遂げにいくんですよね?ちがう?)に、新生活を夢見て、一緒に行くことになったサトウくんがイタ過ぎて泣ける。


◆◆以下メモ◆◆
・「私のプロジェクトは完璧だったはずなのに。・・・・どこで間違えたの?・・・・何が、いけなかったの?」
・・・・・・・もう、徹頭徹尾間違ってますとしか。
というか、サトウくんとの関係は、ミサキちゃんにとって、喪失すると何をする気力もなくなるような、重大な生きる張りだったのですかねえ。


・自殺掲示板に、嘘の境遇を書き込む先輩。
<今日も彼と喧嘩しちゃいました・・・・いつもの小汚い焼鳥屋で・・・>
<私がちゃんと仕事をしたら、と言ったら、逆ギレして、暴れちゃって・・・>
<あちこち殴れて、今も痛いです・・・・もうこんな生活嫌です・・・・>
先輩のアタマの中のビジュアルでは、[ダメ人間=サトウくん]となっていて、ここは爆笑。いやー、後輩冥利につきるよ。
「どうしてダメ人間というと、サトウくんのこと思い出しちゃうのかな・・・・」


・上の独り言もあるが、可哀想にサトウくんは、格下の存在としてしか見られていないようだ・・・・・・・
「ねえ、さとうくん・・・サトウくんには、昔から、あたしの情けないところ一杯みられちゃったよね。」
「なんでなのなかー、サトウくんが相手だと、・・つい見せたくなっちゃうのよね。」


・「やっぱりそうだ・・・多分このヒトはもうすぐ泣き出すんだ・・・」以下で、二人がいいカンジになる高橋留美子的妄想エンジン。