■BLOOD+49二人の女王s砂山蔵澄c&d山内重保g石井明治福島豊明飯田宏義

どつきあい2題・・・・・・・・と思ってみていたら、あれよあれよという間に、決着がついて、話が進んでびっくりした。このディーヴァ先生のオペラ中継が、最後のクライマックスだったのか・・・・イマイチ盛り上がらなくて、なんんとなく流して見てしまっていた・・・。
それにしても、ううう、ディーヴァ先生、あっけ無さすぎてあんまりだ。
あと、二人の女王の母親のシュヴァリエであることを匂わせていたネイサンの自己消滅が、動機不明で、納得いかない。ディーヴァが居なくなったことが理由なら、高みの見物だけじゃなく、ちゃんと助けて上げなさいよとか、より高いところから見ている存在ならば、子供達の面倒をみなさいとか思っちゃった。
・・・・キャラクター大整理という気も若干する。


話としては、いい加減な扱いの赤い楯一党はもちろん、ディーヴァ一党も脇筋だったということかも。最後は、自分自身の否定の徹底か否かとゆー、サヤの自己選択の物語に焦点があたる。


しかし、それにしても、サヤが、いきものとして「自分自身の存在を否定」するモーメントが、いまいち腑に落ちないのが弱すぎる。
サヤは、優しく育ててくれたヒトビトをディーヴァに惨殺されたがゆえに、彼女を殲滅すべき敵だと認識するようになって、ディーヴァをつけねらってきた。たけど、では自己否定、自己破壊への動機はどこからくるのか。


個人的には、この回でもサヤが言っている「リクやカイとの<家族ごっこ>効果による、人間への愛着」=「その存在を脅かす自分達の否定」は、論外としたい気が・・・・
だって、「他者が好きだから(他者を脅かす)自分を壊す」というのは、一段階抜けている気がする。
「他者が好きだから」→「(他者を脅かす)自分が嫌い」→「だから、自分を壊す」としたいところ。


そうして、抜けている<自分が嫌い要素>について、私の妄想を進めていくと、順当なのが
①自分が解放してしまったために、多くの罪のない人間を殺して来たディーヴァ先生の行為は、大もとの自分の責任だ。(これは時々やんわりと語られてました)
②なまじ、「人間」としての幸福な幼年期を過ごした為に、「血にまみれて異形の取り巻きを作って生きていく」自分の種族に嫌悪を感じる。
③同じ種族のディーヴァを殺した自分は、同族殺しの罰を受けなければならない。


個人的な解釈としては、この3つが合わさっているということにしたいが、いずれにせよ、生物であれば、やがて自己保存の本能に目覚めそうなモノだ。
思うにこのシリーズは、自分自身への嫌悪、自分の種族への「強烈な」嫌悪を描いたエピソードがちょっと足りなかったかも。
見ている我々が嫌悪を感じるエピソード(だって見た目からしてさー)は山盛りだったけど、サヤ自身が嫌でたまらないっていういのは、殆ど見えなかった様な気がするなー。


だから、サヤが、(若干悩んでいたようだけど)全面降伏に近い、人間への無条件の帰属をする、都合のいい存在と描かれてきたのも、見ていてとても座り心地が悪かった。(そういった意味で、リクが死んだ直後の33話からのサヤの人格変容の展開は良かったんだけど、中途半端に終わってしまったかも。)



さて、ところで、こうも、敵が誰一人いなくなると、(このシリーズの初志貫徹で)アメリカ=ラスボスのプロットを若干期待してみたいが・・・・・どうでしょうか。
ディーヴァの子供を顔形のある存在としてこの回、出してしまったので、もはや惨殺するわけにはいかないことは明かだし、この二人の幼子を守る為に!・・・みたいな展開を想像してしまう私は想像力足りないかな。


そう、あとコリンズ先生がいたじゃない。彼がアメリカ軍を率いてきて盛り上げてくれる最終回に一票!



◆◆以下メモ◆◆
・サヤとディーヴァの対話。そういえば、ディーヴァをわざわざリクの姿形にしたドラマ上の効果ってあんまり無かったような気がする・・・・
「わたしたちの存在がいろんなヒトを不幸にしている。・・・だから、私はあなたを殺す。」
「しょうがないじゃないか。僕は人間の事なんか分からないし。人間も僕たちが分からないんだ。」
「そんなことない!私にとって、大切な友達だった・・・。家族だった・・・血はつながってなくても、私が翼手だと分かっても、リクは弟でいてくれた。・・・お父さんもお父さんだった・・・・」


「姉さまはずるいよ。自分だけ人間扱いされて、自分だけ幸せで・・・自分だけ楽しくてさ。」


「翼手は・・この世に存在してはいけないっていうのね・・・・じゃあ、姉さまはあの子達も切るっていうの?・・・姉さま自身はどうするつもり?」
「私は翼手・・・だから・・・・」


・この回、サヤもディーヴァも、派手に手や指を自分で切って刃物に血を吸わせるんだけど・・・・うう、カンベンしてください。


・やっぱり、ソロモンは前々回で死んでいたのか。うーん、不憫だ。