■N・H・Kにようこそ!10ダークサイドへようこそ!s西園悟c鏑木ひろd藤本ジ朗g野崎真一

前回のミサキちゃんとの、花火大会でのデートまがいの状況、自分を気にかけてくれている状況を勘案して、かなりウブな恋愛妄想に陥ったサトウくん。結婚まで想像しているよ・・・・。
でも、結婚式に出て来るミサキちゃんの父母、列席者の顔がまったく想像出来ないことをきっかけにして、冷静に状況を疑い始めるのでした。
「ミサキちゃんがなにモノで、何の為にオレに近づいてきたのか。・・・・何もわかってない・・・・」


ミサキちゃんは、なぜ自分を気にかける、ナゼ日曜の夜の公園に良くいることを知っている、ナゼ誕生日や血液型を知っている・・・・
その疑念が昂じて、ミサキちゃんの後をつけるサトウくん。
「天国と地獄」のお屋敷みたいな高台に立つ屋敷に消えていったミサキちゃんを見、そこから自分のホームグラウンドの公園、自分のアパートまでよく見えることを確認しても、恋愛妄想は強固にその存在を主張する。
「怪しげな集団の一員で、オレをずっと監視していた女。でも、オレはミサキちゃんのことが。」


ミサキちゃんの窃視行為を想像することで、サトウくんは、「裏切られた」と感じるのが、(個人的には)自然のような気もするが、そういう方向にサトウくんの思考は向かない。(好きな感情に、我を忘れているって事か)
むしろ、自分がミサキちゃんを好きなのは(ミサキちゃんが裏切っていないのは)デフォルトで、「自分に構ってくれているのは、何らかの目的がある演技なのではないか」という「可能性の検討」の段階に留まる。
「現時点で裏切られている」と感じるのではなく「将来、ミサキちゃんに裏切られる可能性」について、激しく懸念するのでした。


その結果、大いなる撤退が始まります。
「そうだ。・・・今なら未だ引き返せる。・・・これ以上好きになってしまって。・・・もしも裏切られた時。・・・オレは・・・」


このあたりは、「ヒトを信じる」というのが基盤にある展開なので、すごく健全。せっかく引きこもりをテーマにしてんだから、「ヒトを信じない」ことを軸としたダークな呪詛が聞きたかった。
(個人的には)恋愛妄想を蝕んで対象関係が猛烈に縮小し始め、破壊的な自己中心的な怒りと、饒舌に渦巻く痛々しい心理的撤退の言葉であふれかえったイターい展開だとすばらしかったんだけど。(ものすごーく、個人的な趣味ですね。まったく市場ニーズはなさそうだ。)


さて、サトウくんは、こころとは反対のことば「お前の顔なんか二度と見たくない」と述べて、ミサキちゃんの前から立ち去るのでした・・・・・で次回。


◆◆以下メモ◆◆
・Aパート。恋愛妄想まっただ中のサトウくんはいつもよりも早く、待ちきれずに公園に向かう。ミサキちゃんが猫に猫カンをあげている。
「猫っていいよね。・・・猫は平気そうだもん。いつでも、どこでも、ひとりでも。」
「猫って、結構、恩知らずだぜ。餌なんかやったって、すぐミサキちゃんのことなんかわすれちゃうぜ。」
「大丈夫・・・・ほしがっているモノをあげてる間は、きっとあたしのことを覚えてくれるよ・・・」
・・・・・なんか、すごく上からの視点が入っているような気がするのですが、気のせいでしょうか。サトウくんは、猫比定?