■僕等がいた06・・・s池田眞美子c宮下新平d中川聡g飯野利明

3話?ぐらい遅れ。
あー、なんだか抱きついたり、おでこを寄せ合ったり、手を繋いだり、キスしたり。
前回、キスとゆー一線越えたら、もう、べたつき放題で、いささか呆れつつ途方に暮れていたのですが、ヤマモト妹がそんな私を助けてくれました。あーよかった。


◇ヤマモト姉が亡くなって半年頃の(ヤノの)回想で、いきなりヤノに精神的匕首を突きつけるヤマモト妹。
教室でたまたま二人きりになった、無口な彼女は、帰ろうとしてマフラーを首にかけながら、ヤノに述べる。
「・・・一度も線香上げに来ないなんて、ずいぶん薄情だよね。・・・あれからもう半年もたつのに。・・・まあ、お姉ちゃんがいつも、男、見る目がなかったのはわかっているけど。」
「それ、アイツのマフラー」
「元々私のなの。あの人は何でも人のもの借りていくの。それですぐ汚すの。お気に入りのTシャツにもトマトジュースの大きなシミつけて返してきた。・・どうやったら、あんな子供みたいなジュースのこぼし方できるの。・・・・・・形見にあげようか?(黙って去ろうとするヤノに)・・・・カッコつけないでよ。あんたなんか、捨てられた男のくせに。」


それに応報するヤノは、いきなり詰めより、マフラーで軽く首をしめる。うつろな目で、冷静につぶやく。
「なめたまねしてんな。・・・おまえら、姉弟そろって最悪だな。・・・・」
「・・・あの人なんかと・・・・一緒にしないで。」


この二人の寡黙な緊張感溢れる空気は、全般に饒舌でデレデレのこの回の物語の中で、非常に心地よい。
この過去のシークエンスは、この回のBパート全体で点描されていき、現在のデレデレと上手い具合に対比され、メリハリのきいたいいカンジになっています。


◇さて、ヤノは、彼女の「・・・あの人なんかと・・・・一緒にしないで。」のセリフのあと、実は、ヤマモト妹にキスをする。
これは、演出上、(上の場面とは別の点描として)Bパート後半、現在時点の、ヒトにぶつかって階段から落ちてきたヤマモト妹を抱き寄せるヤノの、ふとよぎった回想として配置されています。


ところで、この一連の過去の回想シークエンスが、現在に露頭する様子。つまり、ヤノが、ヤマモト妹を呆然と抱きかかえる様子に、隠微ななんらかの感情の交流を感じ取った七美ちゃんが、微かな不安と予感に突き動かされるように保健室でキスをするところなどは、うまく考えているなーと思いました。
(ところで、この階段のシーンで、ヤマモト妹のハダカの背中にヤノが手を触れるみたいな描写があるんだけど、これは肌のぬくもりを感じたという演出だよね。このカットのあと、二人のクチビルを順次映すシーンもあるし。・・・・・まさか、そういう関係だったりするの?)


◇そして、この過去のシークエンスでは、ヤマモト妹とヤノは、(未だ描かれていない過去のいきさつもあるのでしょう)寡黙な葛藤の果てに、二人して黙って、姉のマフラーを学校の焼却炉で燃やすのでした。(この間の二人の葛藤はざっくり省かれてます。たぶん、この後のエピソードで描かれるんじゃないかな。)
ヤノはまるで、マフラーを燃やすことで身近にいたヤマモト姉が、その視線をそらしたかのように、ヤマモト妹とひそやかに手を繋ぐ・・・・・・・・・


◇この物語、葛藤の質的には、実質、ヤマモト妹が主人公格なんじゃないでしょうか。この、裏面ありまくりの、寡黙に捻くれたカンジが、健気で非常に素敵。面白かった。


◆◆以下メモ◆◆
・ムネは許さなくてホットしたよ。
「だめなのかよ。」
「ダメに決まってますがな」
「きま、・・・きまってんのか?」
「い、・・・いちおう今のところは」


・「ヤノにキスされると、もう何にも考えられなくなる。・・・そんな自分が恐くて、でも、もうヤノの居ない世界は考えられない。・・・・・」
もう勝手にして。