■アニメの時間を永遠に〜脚本家 辻真先 1500本のテレビアニメ〜出演_辻真先豊田有恒永井豪雪室俊一語り_古谷徹清水マリ青野武d中沢英夫g手塚プロダクション

20060810放送BSアニメ夜話番外編


今年75歳にして、現役アニメーション脚本家・小説家の辻真先さんのアニメーションでの仕事に、スポットライトを当てたドキュメンタリー。
辻さんといえば、子供の頃から至る所で、脚本としてクレジットされているのを見て来て、ソノラマ文庫(でしたっけ?)から出ていた「仮題中学殺人事件」等を読んだ記憶があるけど、もうこんなお歳になられるのですねえ。ワタシ自身も古びてくるはずだわ。


さて、このドキュメンタリー、何よりも辻先生の人柄が素晴らしくて、感動した。
子供のころからアニメとマンガが大好きで、それが一生の仕事になったことを、当時のデティールを明晰に、韜晦を交えながら、飄々として、朗々と語る様は、非常に好ましかった。


真っ白な脚本をプロデューサーが見ている前で、2時間ぐらいで書き上げたという雪室さんの証言も合わせて、超人的な記憶のヒトなんだなーとの印象。
また、辻先生のWEBを見ると、ゲドだの、時かけだの、涼宮ハルヒだのといったところもフォローしておられるようで素晴らしすぎる。
こんな祖父がいたら、素敵だな。


中でも印象にのこったのが、戦前の幼少のころ、一日中入り浸っていた映画館(当時の映画館は今のテレビに相当して、ニュースだのアニメだの、いろんなものをごたまぜに映写していた)で、それを目当てに来ていた外国のアニメが一日中待ってもかからない。
不審に思って、受付のヒトに聞いたら、「もうアメリカの漫画映画は掛からなくなったのよ。」と言われて、戦争の始まりを漠然と知る件は、すごいエピソードだと思った。
(昭和7年生まれで、対米開戦は、昭和16年だから、9歳ごろのことでしょうかね。)


◆辻先生のWEB
http://homepage2.nifty.com/M-TSUJI/


ここの、<らくがきのページ >に、今年の夏の映画評(話題のゲド戦記や、時かけとか)、涼宮ハルヒなどのライトノベルにまで気を配っていらっしゃる様子を見て、心底すごいと思った。
また、<アニメの時代に移ったよ ><このごろとこれから >に、このNHK特番の舞台裏が書かれています。


◆◆以下メモ◆◆
・番組内で映像を使って、エピソードが語られたアニメーション他
★クレジットは、番組内表記に依存してマス。
鉄腕アトム79ドクター脳s辻真先dりんたろう(昭和39年放映)
〜辻先生のアニメ脚本デビュー作。
鉄腕アトム81夢みる機械s辻真先片岡忠三d片岡忠三(昭和39年放映)
〜脚本第2作。
虫プロを40年ぶりに尋ねて、屋根裏の試写室などについて語る様はグッと来た。「(建物のロゴを見て)しかし・・・・虫プロのこのロゴもずいぶん古びましたな・・・・お前さん」
・手塚先生のダメだしのエピソード(手塚先生が理想とするプロットのコンテをあっという間に描き上げた・・・)が、やっぱり感動。この、使われなかった手塚先生のコンテの実物が示されます。手塚先生の描線の明快さと生き生きとしたフォルムに感嘆。
③8マン16地球ゼロアワーs豊田有恒(昭和39年放映)
豊田有恒インタビューあり。当時、今にしてみれば超豪華なSF作家出自の脚本家の間での仕事で辻先生が思ったこと。
ジャングル大帝01行け パンジャの子(昭和40年放映)〜辻先生がシリーズ構成もしたそうです。ムチャなアメリカの要求にどう対応したか。
⑤ふしぎな少年(生ドラマ。昭和36年)
〜アニメではなく、辻先生がNHK在籍中にディレクターとして作った日本の放送草創期の生ドラマシリーズ。手塚先生の原作書き下ろしのエピソード。
オバケのQ太郎(OPのみ)
〜外国で主流のギャグものが何故日本で主流にならなかったのか。手塚の血脈。
巨人の星33甲子園へのVサインs辻真先(昭和43年放映)
〜スポコンものへの不安と毎週4%ずつあがる視聴率について
⑧秘密のあっこちゃん(OP音楽のみ)
雪室俊一インタビュー有り。
ゲゲゲの鬼太郎01おばけナイターs辻真先d山口康男(昭和43年放映)
〜第1話台本の仮題は、原作どおり墓場の鬼太郎だったというエピソード。墓場チョコレートとか。
デビルマン(OP音楽のみ)
永井豪インタビューあり。辻先生のオリジナルエピソードの創造性、原作の特質の把握について。
サイボーグ009_01太平洋の亡霊s辻真先d芹川有吾(昭和43年放映)
〜込められた反戦への思い。幼少の頃のアニメ好き。戦争のこと。檄を飛ばした先生が生き残り、生徒たちが皆死んだこと等。
⑫鉄道オタク辻先生
〜ノリ鉄辻先生。月二回鉄道旅行をされるそうです。ワタシも潜在的鉄道オタクなので、先頭車両の快感など、非常に共感した。