■N・H・Kにようこそ!03美少女にようこそ!s西園悟c&d&g川畑えるきん

「・・今の佐藤さんは、・・醜く、・・惨めで、・・汚らしい、ただの変態男です。おまけにヒキコモリの最低人間ですよ。」
「子供の頃の夢は・・学者になってヒトビトの役に立つことだった。・・それが、なんでこんなことに・・・・」


この話は、実は、ギャグ風味「引きこもり系地獄巡り」だったりするのかしら?この回は、地獄その1。ネットのエロゲーとエロ画像収拾。
3年間、部屋で何をするでもなく無気力に過ごしてきた、純粋引きこもりサトウくんが、知ってしまった禁断の果実ですかね・・・・リビドー赴くままに、思考停止してティッシュを消費する日々。


ところで、サトウくん、なんか、ヒキコモリにしては、対人距離もとれるし、健全に近い行動力がありすぎだよ。そんなサトウくんが、終いに小学生盗撮に走るココロの動きがわかりません。
エロの追求が、エスカレートする様をギャグ仕立てで演出しているって趣旨はわかるけど、オチとしての終着点がちょっとズレすぎているような気が・・・・・・・・
こういうヒトビトって、もっと、不健全で、不自由で、ねっとりしたリビドーに濃密に支配されているように想像しているのだけど。


しかし、道ばたの小学生を写真にとろうとしているところを、ミサキちゃんに見つかってジタバタするのはとってもヨカッタ。
「サトウくん・・・わたしなら・・・・・たすけてあげられるよ。」
「サトウくん・・やっぱり、そういうひとだったんだ・・・・」
「でも・・・その方が都合がいいかも。うん、やっぱりその方が、ワタシのプロジェクトには、ばっちりだよ。・・・また、会おうね。ニュースに出ることは、やっちゃだめだよ!」


「なんだよ!、あいつ!わけわかんねえよ!」って、サトウくんの叫びはそのまんまワタシの感想。みさきちゃんはなにものなんでしょう。



話はずれますが、現代のヒキコモリとして、ネットを通過せずに成立するのか結構、疑問だけど、この回のエロゲーとか、エロ画像収拾にはまってしまったサトウくんよりも、むしろそれ以前の3年間のサトウくんの時間の過ごし方が、ワタシは知りたくて仕方がない。


たとえば、頭を抱えて、布団に潜り込み、うずくまり、動けない日々。頭に去来するモノは、反復するとらわれとか、今の自分の否定とか、この状況に追い込んだヒトビトへの恨みの繰り言。
未来は過去の重しに囚われ、既に取り返しのつかないモノになっているとしか思えない。テレビを見ても同世代の明るい言動、社会生活が疎ましく思え、昼のタモリに憎しみを覚えたりする。
何かをしなければならないという焦燥感はあるが、何も出来ないという無力感が募り、でも何かきっかけが有ればと願う。しかし世界は物語のように閉じてはおらず、従って外界からの干渉はなく、生活には何の変化もおとずれない。ただ布団の中で過ぎていく日々・・・・・・・・・・・
そんな状況を3年間重ねるのが、たとえばサトウくんのヒキコモリ体験なのかなと、想像してみたのだけど。


しかし、どうもコレまでの話からすると、ワタシの想像力が乏しいのか、ヒキコモリにもいろんなジャンルがあるのか、それともこの物語自体がヒキコモリをネタにした、単なるギャグ作品とわりきっているのか、どうもこの3年間のサトウくんの時間の過ごし方とちがうみたい。


この作品。音楽とそれを利用した演出がすばらしいかも。音楽は、パール兄弟だってさ。


◆◆以下メモ◆◆
・黄昏の文芸部室。膝を抱えながら、テーブルに相対して、トランプをしている文芸部の少しイカレタ美人の先輩との対話が非常に印象深い。
「まったく。頭の悪い女子中学生じゃないんだから」
「あたし・・・頭の悪い女子高生だから。」
「志望校早稲田のくせに」
「佐藤くんはさ・・・」
「なんです?」
「あたしが死んだら、・・・・やっぱりかなしんでくれちゃったりする?」
このヒト、浮力つきすぎのこの物語での、重要な重りになるのではないかな。