■涼宮ハルヒの憂鬱12ライブ ア ライブs山本寛c山本寛門脇聡d山本寛d補佐渡邊政治g門脇聡

学園祭の書き割りでない立体感が素晴らしい。これだけ作り込まれた文化祭演出のなかで、いつものこのシリーズのノリと違う、淡々とした演出と話から、ワタクシ的に浮かび上がってきた感情は、静寂と孤独だったのでした。


斜に構えたやさぐれ高校生男子としては、やっぱり、集団でなにかやるよりは、目的無く彷徨い、何にも参加せず、何にも感興を憶えず・・・・行き着く先は、講堂の暗闇の中で半睡・・・・という話ではないとは思いつつ、しかし、そんな風にも見えて、なんだか、キョンの友達関係、高校生活が心配になってきます。(劇中のいつもの独白では、そんな印象を払拭するんですが、行動的には明らかに、こんな拗ねものの類に見える・・・)


そんなキョンに感情移入してみているワタシは、一方で、古林くん、朝比奈さん、長門さんまでしっかり文化祭に参加し、自分たちの学園生活を送っているのを見ると、なんだか一抹の寂しさを覚えるのでした。
しかも、キョンもワタシ達も知らないところで、涼宮さんと長門さんが、ライブを始める。仰天するキョンの表情から、いつもの悪ノリの電波な展開になるかとおもいきや、涼宮さん、熱心に生き生きとボーカルしていて、大変キュートで密度の濃い作画と演出。
演奏の合間のしゃべりで、いつもとは様子が違う、息の上がって上気した涼宮さんが、ヒトを気遣ってしゃべっているのを見ると、さらに、さらに寂しさが募るのでした。


この感触は、なんだろう・・・・と思ったワタシは、いつしか取り残され感が生じていることに愕然とするのです。
暗闇の中から、明るい舞台を見つめる、静謐で冷めた視点。それが裏返ると、参加していないことに対する仄かな後ろ向きな感情になる・・・・この回の演出意図とはきっとずれているんだろうけど、そんなことを思ってミマシタ。(キョンが、感心なさげに眺めていて、何時しか組んだ腕の左手で、小さく調子をとりはじめるところとかが象徴的かもとオモッタ)
そんなことを思うほど、リアルな文化祭だったような気がしましたよ。


あと、ハルヒさんが、ライブの充実の後、なんだか、メランコリックに様子がおかしくなるのは、宴の後の空虚感、舞台から降りた後の、舞台の袖の日常の空虚さの感触を得ているのだろうと思ったんだけどなー
滅多にヒトにお礼を言われることがないが故に、とまどっているのだろうよと、キョンが説明しておりますね。


まあいいや。ワタクシ的には、この回は、青春一回帰性モノとして分類しておくか。


◆◆以下メモ◆
・しかし、扁桃炎でボーカルがダウンし、当日ギターのヒトが、手をけがするってのは、やはり涼宮さんが望んだためなんですかね。


・OPもそうだけど、個人的には、チチ揺れは、せっかくのクオリティの高いこのシリーズから、幅広い視聴者を遠ざけるだけな気が・・・・・・・・