■BLOOD+30ジョエルの日記s砂山蔵澄c&d古川順康g松原豊

サヤの出生の経緯、初代ジョエルの温厚なヒトデナシぶり、ディーバさんの歪んだ人生、ベトナムでのサヤ狂乱の経緯など、非常にダークで興味深いバックボーンのエピソードが語られます。こんなに一挙に語っちゃって、今後の展開、大丈夫かというほどの設定の大判振る舞い。面白かった。やっぱり年代記風にするといいな。


ところで、初代ジョエルが全ての元凶だと語られます。確かに19世紀って、容赦ない人体実験とか良く聞くエピソードだけど、ひどすぎ。
「われわれはこのミイラを解剖することにした。まるで子供が知的好奇心の末に昆虫を解剖するように・・・心躍る瞬間だった」というノリで、ディーバ先生を薄暗い塔に幽閉し、最低限の食事を与えるだけで、教育もコミュニケーションも無く育った結果が、縫いぐるみを裂いて遊ぶディーバ先生というのは納得がいく話だ。


とこで、精神的タイムスケールがよく分からないな。この回で述べられているのは、
1833年4月8日に、アイルランドの翼手のミイラを解剖。血を吸った二つの繭が脈動を始め、
1833年8月4日に、二つの繭から「二体」の生後二ヶ月程度の新生児が生まれ、
1863年6月2日に、初代ジョエルは、彼女たちがなかなか成長しないなと日記で述べ、
1883年のジョエル72歳の誕生日に、サヤが、ジョエルを驚かせようと無邪気にディーバ先生を解放。ディーバ先生、ゴルトシュミット家全員殺害という感じ。


1883年に、ディーバ先生を幽閉の塔から外に出したのは、サヤのほんのイタズラ心から。・・・・サヤ、1863年には現代とほぼ変わらない姿になっていて、このとき30年生きてる。そして、さらに30年生きても、天真爛漫なお嬢様のままなんですね。お父様のために、花なんかを摘んだりして喜んでいる。
60歳のお嬢様というのは、難しいところだ。精神が成長しない性質なのか、あるいは、「3年おきると繭にはいって30年眠りにつく」ルールのせいでしょうか。


◆◆以下メモ◆
・サヤ達は翼手のミイラから生まれた。ジョエルを繰り立てたのは、最近はやりの魔術的錬金術熱ではなく、やはり、19世紀西洋を覆った未知の生物への渇望。
「世界中の動植物や化石の類を個人の研究の為に集めた初代のジョエルは、ラマルクの動物哲学に影響されて、生物の進化に興味をもった。」
「その収集品の中に、アイスランドに伝わる奇妙なミイラがあった。」
「顔は潰れていたけど妊娠した女性のもので・・・・・サヤと呼ばれていた。」


・さらに、ジョエルの異常な執念。この、ジョエルの執念については、一切描写されてませんね。あるいは、ジョエルを、当時助手だったアンシェルが焚きつけて操ったってエピソードがはまるのかしら。
「自らの命が君たちを見届けるまで続かないと悟った時、君たちの生殖能力にカンする実験に集中することにしたんだ。」
「そこで彼等は、君たちの花婿を用意することにしたんだ。」
「受胎を確認したあとに、標本にするためにね。」


・1972年ベトナムでディーバの情報を聞きつけると、30年にわたる休眠中のサヤを強制的に目覚めさせる手に出た「赤い楯」・・・・やっぱろくな組織じゃないな。当代のジョエルは優等生っぽく澄ましているけど、絶対悪いこと考えている様な気がする。
・ムリヤリ起こされたサヤ先生は、八つ墓村さながらに、人々を惨殺してまわるのでした。
・先代デビットに、すぐにに再び眠りについたサヤを託されたジョージ宮城。