■BLOOD+28限りあるものs森田繁c&d松林唯人g高村和宏

・・・・カイ兄ちゃんの人物コンセプトが語られる回?
ワタクシ、いままで散々、成長がないとか、役に立たず、使い古された常識をただわめくだけとか、兄として上手く演出できてないとか、カイ兄ちゃんにダメキャラクターの烙印を押してきましたが、それは、物語の設計上の意図的だった・・・・・と言っているのですよね、この回。
カイ一人が変わらず、不変でいることで、回りの変化を際だたせるというのが、構成意図らしい。回りが文字通り異形の存在になったり、憎悪と殺戮で満ちあふれる中で、彼一人、元の、平和な日本のチンピラのまま・・・・


うー、元々のキャラクターが魅力的であれかしだよなやっぱり。
いや、というか、「平和な日本」というのが補助線か。これは、このアニメーションを見ている、いわば「テレビ常識」に染まった視聴者に対する皮肉を投げかける為のキャラクターかね。


例えば、この回では、シフの女の子のイレーヌに対する扱いが特に顕著だけど、カイが彼女に肩入れする理由が、「身の上が可哀想だから」「かわいいから。」程度の意識でと思う。。
しかし、カイの生きている物語世界のバックグラウンドには、サヤ先生が言うように、サヤの100年にわたる闘争の歴史があり、また、実験の被害者とはいえ、シフを始めとした翼手が、世に満ちれば人類が滅ぼされ、しかも、見境無く人間を「捕食」し、惨殺するという属性を持つ。実際、カイ兄ちゃんは、彼等によって、目の前で血しぶきが立ち上るのを何度も見たはずだ。
それなのに、彼は、まったく迷い無く、力強く主張するわけだ。「いい翼手と悪い翼手がいて、彼女はいい翼手だと。」
いろいろ斟酌しての、断腸の苦渋に満ちた意見表明じゃなく、まったくもって唐突な断言だったりするので困ってしまいます。


フォーカスされている視点があまりに近すぎるのでしょう。
どんなに被害者が泣いているかとか、どんなに犯罪者が凶悪な顔をしているのかとか、成功したものが妬ましいとか、目の前の現象に対する脊髄反射的な感情で感想を抱きすぎる、どこかの世界の報道機関の姿勢と、それに浸りすぎてすっかり染まっちまった普通の人々。本当は、それをいったん腹の中に落とし、世界を見回し、咀嚼してから意見表明するべきだと思っていたりするのです。


カイのキャラクターが薄っぺらい人情家、人権派として描かれるのはそういう訳なので、我慢しよう・・・・と思ったけど、実は皮肉じゃなく、これが理想的な人間だと思っているんじゃないでしょうね。


しかし、目の前でサヤが危機にさらされているというのに、それを優先してイレーヌを助けようと行動するカイは、なんかある意味、根性が座っているとも言えなくはないが・・・・・う〜ん。
次回、サヤの血をイレーヌに飲ませたら、硬化して死んじゃいました展開を期待。


◆◆以下メモ。◆
・ジュリアさんが、一度死んで甦ったリクの体内に見つけた第五の塩基。ジュリアさんがD塩基と命名。生成されるとすぐに他の塩基に擬態してみえなくなってしまった。
・しかし、これこそが、翼手が、不死で睡眠がいらず、超人的な力を振るい、他人に変形したりする、その原理なんだってさ。


・新聞記者とマオが、サヤ達と合流。全てを忘れて帰れとの忠告を聞かず。そこに乱入するシフ達。