■BLOOD+23ふたりのシュバリエs菅正太郎c&dあおきえいg福島豊明g補佐小谷杏子

100年に及ぶ過去を背負っているという魅惑の設定、そして、主人公もまた血を摂取せずには生きていけない「人外の存在」である事が前面に出て来ると、ワタクシ的には、先を急がずにはいられない。面白くなってきたっす。
あと、この物語、3年が過ぎると別れが訪れるという、タイムリミットサスペンス的な状況が発生したのかな?
キャラクターの薄さは、背負った設定である程度、帳消しにできますぜ。


しかし、ハジさん。「サヤが自分で思い出さなくちゃいけない」みたいなことを言って、サヤの100年に及ぶ行動の原点、感情の発火点をちゃんと思い出させなかったもんだから、ソロモンさんに、サヤは、ころりと籠絡されそうになってます。


ソロモンによると、サヤとディーバは、100年前、ジョエルという大金持ちの科学道楽、新しい生命体を作るという魔術的情熱に突き動かされた利己的な行動の産物だというのです。
そして、サヤは、シュバリエ達の血族であり、自分たちの血のつながった本当の家族だと主張。サヤは人間達と一緒にいすぎた為に、偽りの家族を本当の家族だと勘違いしていると。
「そう、あなたとディーバは血のつながった家族。そして、わたしたちの母でもあり、恋人でもある。あなたとディーバはここで生まれ、ここで育った。血のつながった・・・本当の家族として。」
「あなたの幸せが人間との暮らしの中にあるのだとすれば、・・・なぜ、人間はあなたを同じ血を持った僕たちとの闘いに誘うのでしょう。あなたは、人間に利用されているだけです。」


しかし、飛んで火にいる夏の虫になってしまった弟くんの首筋にディーバさんがかぶりついている様を目撃したサヤは、ディーバさんが100年前の老ジョエルの首にかぶりついて炎に包まれている情景を想起するのでした。そして、わき上がる感情・・・・・で、次回。


◆◆以下メモ。◆
・この回、サヤとディーバは、3年活動し、その後30年間は、繭の中で眠るという・・なんというか、絶句する設定が登場。やっぱり、暗黒神話武内宿禰ばりだよ。それともターンエーですか。繭の中をのぞきたくて仕方がなくなるという。
・そういえば、わりと最初の話数で、サヤが発見されたという、沖縄式のお墓に、繭っぽい描写がありました。


・ところで、恐る恐る考えると、繭は、やっぱりサヤが糸を口から吐いてつくるんですかね。繭の中で、ドロドロになったり、目覚めず干からびたりする情景が浮かんでくるワタクシは病んでいますね・・・・。繭は、何が入っているか分からなくて、怖いんですよ。あー、ぞっとするよ、繭。しかもお墓につくんないでよ。


・現ジョエルが語る「ジョエル襲名制度」。3年前先代が死に、「ジョエルの日記」をついだそうです。
どうやら、赤い楯とは、「失われた一族」ゴルトシュミット一族の資産を元にした、大金持ちによる、私設の吸血鬼被害者同盟の様ですねえ。思ったよりもプライベートな感じ。
・彼等は単なる復讐を目的とする組織なのかな。同情はするけれども、個人の感情に寄り添いすぎていて、感情移入しにくいですね。
できれば、驚くような壮大な目的と仕掛けがあるといいんだけどな。


・人間と吸血鬼は、捕食者と被捕食者の食物連鎖の関係。前々回のシフたちも説明してました。であれば、全面的に闘争するしかないし、どっちが悪いとかもない。
しかし、この物語では、人工的に作られた生物だという点で、物語倫理的に、自然の法則を当てはめるのを拒否するってことなんだろうな。その正当化の心の動きはわからなくもないけど、そんな「自然の法則を踏み外した存在」は、認められないという物語。