■エルゴプラクシー04未来詠み、未来黄泉/Futu-risk_s佐藤大c村瀬修功出合小都美d楠本巨樹g伊藤秀樹浜津武広

ロムド市の閉じた秩序の物語に、外部からの視点が加わる話。面白い。
まず、冒頭のビンセントの悪夢の演出が素晴らしい。
自転車の車輪を回して光を当てているかのような背景を主軸イメージで統一し、そこに被さる、現実と少しずれた純然たる悪夢、フーディじいさんの朗読やピノのシルエットなどの夢うつつの病床で見聞きしたこと、見聞きしたことに連想されたどんよりした気象の変化、現実のビンセントが体験して忘れているらしいこと(プラクシーと対峙してプラクシーが血らしきモノを吐いている情景・・きっとこれは現実だと思った)、など、計算されつくした構成と画面と音楽で、非常に見応えがありました。


また、ビンセントが自分のいる場所がロムドのドーム世界の外の世界だとあらためて気が付き、初めて屋外に出て世界の姿を見るところの、パースペクティブが一挙に広がるカンジがとっても素晴らしい。
(おそらく有毒であろう)重い大気が漂い、どんよりとした雲がたれ込めている岸辺で、ピノが鍵盤ハーモニカを吹き、ビンセントとフーディじいさんが二人でぽつんと座っている情景のシビレルこと!おお、これぞ終末の風景!もう、これだけでもこの回を見た甲斐があったよ。
外の世界に住まう人々の定型さがちょっと気になるけど、終末SFとしての展開を非常に期待しちゃいます。


ビンセントは、廃墟の自由を手に入れた・・・・という人物解釈をしたいんだけど、ピノを護る為にロムド市の浮遊警備ポッドを打ち落として、不敵な笑いを浮かべたりとか、このキャラクターに仕込まれた仕掛けがそれに優先する気がする。


◇◇以下メモ◇
・「ここに来る連中の8割は、感染症にやられて一週間ともたん。あんたは10日間眠り続けた。」フーディじいさんがビンセントに語ります。この辺りにいる連中は多かれ少なかれ、ロムドから放逐された、もしくは自主的に逃げ出してきた人々らしいです。


・リル女史は、ビンセントの部屋を調査。生活感のないその部屋を不審に思う。イギーを取り上げられた彼女はひとりじゃなにもできやしないなと自嘲しつつ、偶然ビンセントが予想したオートレイブの逃走経路の地図を見つけるのでした。
それにしたがって、地下を探索。彼女が見つけたのは、プラクシーの遺体だった・・・・


・リルは、テダルス医師に誰にも言わないでと約束して、そのことを告げ、一緒に現場へ行く。テダルス医師には、リル女史に特別な計らいをするような感情があるのかな。
テダルス医師「不死身のはずのアムリタ細胞が・・・・・・・死滅だと?」


・フーディじいさんの笑いを模倣したり、「うそはしわわせ?うそは幸せ?」とか、オートレイブのピノの子供演技が非常に旨いかも。


・ビンセントが警備ポッドを打ち落とした映像を見た警備局のラウル局長
「(プラクシーの行方について)どちらにしても、あの男が答えを持っている。今のワタシには・・・・分かる」