■ノエイン もうひとりの君へ20モウイチドs佐藤和治c黒森鷹治d榎本守g小美野雅彦g補見嶋梨香山崎秀樹関口雅浩

ビジュアル的に見応えがありました。
ラクリマ時空界の地下の、魅惑のデストピアの描写からはじまって、そこに突入してくるヒンズー教的オブジェクト。
登場当初から、手の動きといい、目玉といい、とっても居心地の悪い気になる、このデザインはすばらしいと思ってましたが、ギロリと、カラスとハルカ達をにらむ様子とか、ぞわぞわはい回る様子とか、実にいいです。
そして、物語とビジュアルは、一気に飛翔して、シャングリラへ。このシャングリラに入ってからの、垂直の動きや並行の動き、一挙に落下していく様など、畳みかけるように見所がいっぱい。


・シャングリラを望み、シャングリラにハルカをさらってきたモノの、受け入れられずに、ボロボロ崩壊していくクイナの動画が、非常に力がはいっていて素晴らしい。


・また、カラスが、ヒンズーオブジェクトの、頭部にあたる構造物に穴をうがち、内部をさぐり、神経束らしきものを捕まえて操るシーンも力作。
このオブジェクトの内部のイメージが素晴らしい。並じゃないな。非常に自由な発想で、普通こうはできない気がした。
内部には、ココロの具象迷宮みたいなものがあるってカンジでしょうか。背景動画で、部屋から部屋へアングルをぐるりと回転させたり、傾けたりしてたどっていき、洗濯物を干している、ヨーロッパの石の狭い路地みたいなところの洗濯物ヒモみたいなものをつかんでます。


・カラスが、遊撃艇を支配してからが一気呵成の見所。ユウを助ける為に、シャングリラの空間を飛翔し、ユウのいる構造物に突入するこのあたりも気持ちいい。そして、ユウが垂直に落ちていくと、ハルカがそれを追いかけて自ら走りながら落ちていくところの気持ちよさが最大のポイントかな。


◇以下メモ。
・さて、話。
ラクリマ時空界に「逆算固定」され、召喚されたハルカ。それを止めようとしたユウも巻き込まれてラクリマの、竜騎兵の時空潜航の発着所へたどり着く。迫るクイナ。
しかし、二人は、ハルカの竜のトルクの発動で、クイナから逃れるのでした。
そして、この時空のアイ、アマミクさんに保護されて・・・・


・「観測者がいない」ため、不安定なこの時空には、ユウの存在を確定させるデータがなく、ユウは消えていくのでした。
・泣きわめくハルカに、クイナは、「シャングリラに行けば、ユウは助かる」と甘い言葉を告げるのです。根拠もないのにそれに乗るハルカは、どうかしているとおもったけど、実際それは正しい意見だった模様。
クイナにシャングリラに連れて行かれるハルカ。それを追う、カラス。ユウは、なんだか自然体でシャングリラにおります。


・一方、トビの技術力と、内田女史の「量子コンピュータ」と、コサギの「ストレージ・バッテリー」で、カラスはラクリマ時空界へハルカを追って戻るのでした。・・・・しかし、内田さんの可搬型量子コンピュータって?????


ラクリマ時空界で消えていくユウを見るなと部屋の外にハルカを連れ出したアマミクさんが、ラクリマ世界と消滅しつつあるユウについての解説をしてくれてます。
「量子革命が起こった私たちの世界では、すべての物体が量子的な存在に陥ってしまった。時空全体の存在が、確定出来ない世界。わたしたち人間自身もね。観測者がいない不安定な存在なのよ、私たちは。」


「だから、私たちは全てをレイズ記述データ化し、それを量子コンピュータで保存することで、この世界を安定化したのよ。その世界をラクリマと名付けてね。」
「言い換えれば、データの記述がないモノはここでは存在できない・・・・だから、ユウは。」


・そして、ユウを助ける為には、消えゆくユウを見てはいけないという。
「確かにユウは死んだように見える。でも、その存在が不安定である以上、ここでの死もまたあいまいなものなのよ。」
「つまり、ユウは死んでいる時空と、生きている時空が重ね合わせの状態にあるの。」


「だから、あなたは見てはいけないの。竜のトルクのあなたには、観測したモノを固定化する力があるかもしれないの。」
「いま、あなたが、死んだ状態のユウを見れば、ユウの死は確実なモノになってしまう。」
「でもね、生きている状態のユウを見ることが出来れば、互いに存在を認識しあうことが出来れば、ユウは生きている状態に確定されるわ・・・・きっと。」


・ユウとノエインの対話。
ノエイン「ここはシャングリラ。人々が望んだ幸福な未来。」
ユウ「みんなはどこにいるの」
ノエイン「姿はない。意識だけで存在する世界だ」


ノエイン、またも、自分は15年後のユウだと言ってますよ。
「でもね。そのイサミは殺されたんだ。誰にだと思う?キミだよ、殺したのは。15年後のキミがころすんだ。」
「15年後って・・・・カラスに?」
「違うよ、そうじゃない。わたしだ。私はキミだから。キミの未来は親友をころす。」