■エウレカセブン45ドント・ユー・ウォント・ミーs野村祐一c桑名郁朗d小松田大全g桑名郁朗小松田大全松島晃吉田健一

見応えアリ。
前回からの引きの、エウレカの身体の異変について、深夜の「一家の騒動」が面白かった。
まず、レントン自傷行為が、苦くていい。レントンは、一人悩んでいたエウレカを、ナゼ気が付いて上げられなかったんだと自分をひとしきり責めた後、エウレカと同じようなキズをつける為、石をぶつけて自分の腕をはらすという罰則行動に出る。
これは、なんというか、レントンという人間の心の限界がよく出ているカンジがしました。
自分の心に生じた罪悪感を、衝動的に、極端に走ることで、埋め合わせようとしている。きっと、成熟した人間のやることではない。
しかも、そこには、エウレカの目線、反応を上目遣いで窺う、さもしい心がある・・・・って思ったんだけど、ダメかな。


それから、モーリスがポイント。
前回から、テンバっていたのを気にも留めなかったんですが、エディプスコンプレックスを発動してくれました。
泣くエウレカに寄り添い、慰めるレントンに銃を向け、ママから離れよと言う。レントンが来てから全てがおかしくなった。レントンなんかといちゃいちゃしていないで、僕を見てよと。


この事態に至り、エウレカは、母親として振る舞うしかなく、3人の子供を抱き抱えて、実際母親っぽく振る舞って、そして4人で泣き尽くすのですが、嘘っぽいな〜。エウレカにはそんなに人間としての厚みはないはずなんだけどなー。
そんなエウレカを見て、レントンは、「モーリス達の時代には、俺やママが経験したみたいな悲しい出来事はきっとなくなる。がんばるよ。俺もママと同じくらいモーリスが、みんなが好きだから。笑いながら話がしたいから」と、まとめる。
レントンもこんなに出来た人間じゃないけど、じゃないと話がまとまらないし。


そして、この、泣いたりわめいたりの一夜の騒動の後、それぞれの抱えている鬱屈した感情を昇華した「一家」は、結束を固めて、地面に足をつけてあるいていこうと・・・・・ゆーカンジかな。
しかし、この回のこの段階では、おのおのの感情の澱が昇華されたってだけで、物語の事態は何の進展もないのでした・・・・・・というか、実はこの感情の劇場を、スカブコーラル様が観察しているってプロットなんだろうなと思った次第。お釈迦様の手のひらの上ですか。(海の向こうの列柱が実は指だったとか・・・てなことはないですよね。)


皆がまだ寝静まっている明け方、レントンと同じ自傷行為をおそるおそる試みるモーリス。ここにいたってモーリスは完全にレントンに負けをみとめたってことみたいですね。というか、そういう問題なのか。
ニルバーシュに寄りかかっていたレントンは、モーリスが差し出す朝食用の果物を、受け取れず、倒れ伏すのでした・・・・で次回。


一方、ユルゲンス艦長とドミニク特務大尉は、グレッグ博士と、ホランド達に事態の真相を聞き、デューイ大佐に反旗を翻しました。
味方からの砲撃にも怯まない、ユルゲンス艦長の演説カッコイイな。こんな重要な役を担うとはおもわなかったな。


◇以下メモ。
・前回登場した、ホランドの残した「困ったときに役に立つもの」すなわち長身の銃は、チャールズさんのものだったらしい。不覚にも気がつかなかった。
しかし、フツーは、お守り以上に役には立ちそうもない気が。というか、モーリスのエピソードで既に役に立ったと見なされていたりするのかな。


・しかし、エウレカの発光するでき物?は、ちょっと気持ち悪いかも。これは悩むよ。でも、ここで怯んだら話が成立しなくなるので、レントンは全く気にしない。モーリスは少し怯んだので、レントンに負けたってことかなと思った。


・ドミニクの「この星の人々を救うには」という枕詞は、状況は違うけど、ユルゲンスとホランドそれぞれに、「賢い言葉だな」「虫酸がはしるんだよ。そんなお利口ちゃんな話は」と一蹴されてしまいます。
・「この星の人々を救う為に」ゲッコーステイツに加わりたいという、ドミニクは、そんな表面的な動機ではなく、前回腑に落ちた地点、アネモネを助けたいんだというホンネをはき出すことで、やっとホランドたちの共感を得られる存在になるのでした、って脚本。
・「わかるでしょ、わかってくださいよ。おねがいしますよ。ぼ、僕なにかまちがったこといってますか」とゆー、ホランド達への、ドミニクのドモリがちの懇願が素敵だな。ドミニクは、バカで、誠実な、いいキャラクターで大好きです。
「おい、こんな所にもう一人いたぞ。どっかの誰かさんみてぇな奴がよ」


・ドミニクの離反を聞き、「ふーん、逃げたんだあいつ。にげちゃったんだ・・・あははは」と涙を流しながら、うつろに笑い続けるアネモネがいい感じ。


・冒頭、ゲッコーステイツの反体制のプロパガンダ短波放送を聞いた人々に、広がる反体制の波・・・・ってのも、嘘っぽい。このセカイの一般大衆の生活を描かず、空ばかり跳んでいたこのシリーズでは説得力ないかな。