■蟲師18山抱く衣s伊丹あきc&d山崎理g明珍宇作結城信輝

これは、故郷についての物語だけど、ちょっと「うぶすな」という蟲に故郷を託し過ぎかな。図式的なカンジだし、珍しくスクリプト的に不安定かも。
劇的な葛藤も人間関係も描かれることなく、絵師を志した男の人生を淡々と点描するプロットと、極めて穏やかな語り口が、散漫でドラマ性に欠け、どこに力点を置いて見たらいいのかという戸惑いを生んでいる気がしました。
あと、この話に、ギンコのポジションはムリヤリ作りすぎかと。枠物語にして、ギンコが、ほら話を聞くみたいな体裁にするほうがしっくりくる構成だけど、ギンコが枠物語の中にはいっちゃっているもんな。


だけど、じっくりと絵師の日常を描いていたりして、見応えはある。
絵の中に、煮炊きしている神様の日常がある・・・というプロットはどこかで聞いたことがあるけど、それを蟲師の世界設定で考え直してみたってところでしょうか。


◇以下メモ。
・絵師を志して街へ出る男が、ねえちゃん手ずからの故郷の山のもので作られた衣をもって、街へ出て。
・絵師として名を成した男は、スランプに陥り、故郷が恋しくなり10年ぶりに訪ねてみる。山崩れに故郷は埋まり、父も姉も既に死んでいた・・・
・男は、苦しいときに援助を差し伸べてくれなかったという、(故意ではないが)怠慢を責められる。故郷の村人の冷たい視線を浴びて、しかし呆然と、絵筆すら取ることなく、故郷の廃屋で過ごすのでした。
・死んだ姉の娘を引き取り育てるが、発育の悪さが気にかかる。これもうぶすなが解決するってのは。