■東のエデン04リアルな現実 虚構の現実s神山健治岡田俊平c柿本広大d前島健一g山本径子g補佐中原久文

東のエデン
◆作中世界は現代日本の世相と同等と設定されているようなのだけど、この回、具体的に「何を」という明言無しに、日本はまるごと「救う対象」としてあると高らかに宣言していて、その理優先の作りにちょっと引いてしまったっす。


現代日本に生きている私達は、いろいろなことに矛盾や失望や閉塞を感じつつ生きているのだけど、(最終的な転がり方としては、「若者の空虚なこころもち」に対する足掻き的な話になりそうな気はしつつ)もう少し絞らなくて大丈夫かと心配になってしまった。


◆さて、この回は、平和ではあるが、高齢・老齢社会という絶望的な断絶に目をつむっている日本のシステムに、一地方の局地的な試みだけど、(収賄などの闇の手も活用して)風穴を開けよーとする「セレソン」の行動が点描されます。


◇だがしかし、このセレソンゲームの胴元は、この志が高い行動すら、日本を救う行動として認定しないのでした。


◆このシリーズの展開としては、毎回12人のセレソンの「日本を救うための行動」を描いていくのかしら。(そうすると、前回の近藤刑事のダメ人間ぶりが至高の存在の様な気がしてきた・・・・。)


◇一瞬、どんどんハードルが高くなっていく挑戦的なプロットかと思ったのだけど、この回を見ても分かるとおり、実際の「日本を救う行動」よりも、そう行動する人間の動機、いいやそこまで踏み込んでいないか・・・そう行動する人間のこころの雰囲気?というかノリ?的なものを描いているに過ぎないので、どんな突飛な行動をするのか、その人間の独特の心理的な雰囲気を描いていくとすれば、結構面白くなるのかも。


◆ところで、この回のAパート。滝沢くんの夢想のなかで、まとわりついてくる多数の「役立たずども」である餓鬼にも似た存在に、(時には滝沢くんに危害を加えることもあるにも関わらず)記憶をなくす前に愛情を注いでいたと暗示されています。


◇前回とのつながりで、なんだかすごく直接的な今後の展開を示している気がすごーくした。


◆◆以下メモ◆◆
■医師によって再現される「セレソンゲーム」の胴元「ミスターアウトサイド」の語り。
ごきげんよう。ミスターアウトサイドだ。」
「わたしは至極個人的な信念に基づき、この国を救うための救世主を12人、独善的に選抜することに決めた。そして、その12人をセレソンと名付け、さらにそのうちのひとりをサポーターに任命した。・・・君は今日からセレソンだ。おめでとう。」


「ちなみにサポーターとはいわゆる12人目の選手、熱狂的な応援者であり、冷酷な監視人のことだ。・・・もし君がセレソンとして正しく機能し無かった場合は、サポーターによって厳しくジャッジが下されると思ってくれ給え。」
「12人のうち、誰がサポーターかは私しか知らない。君かも知れないし、違うかも知れない。
「なお、選抜された12人からは身に覚えがあろうとなかろうとセレソンになろうという強い意志があったと認識している。従って、この使命を辞退することは許されない。」


「プレゼントした携帯の中には100億円が入っている。使い道は全面的に君に任せる。自由な発想で、この国を正しき方向に導いて欲しい。」
「ただし、その100億を現金に換えることは出来ない。何らかの要望が生じた場合、中央のボタンを押してコンシェルジュを呼び出して貰えれば、いつでも対応するようになっている。」
「なお、その際にかかる費用は、100億円から引き落とされ、その使用履歴は他のセレソンに通知されるものとする。」


「最後にペナルティについて伝えておく。以下の条件が該当するセレソンはサポーターによって迅速かつ確実な死が与えられると思って欲しい。
第一に任務を途中放棄し逃亡を図った場合。
第二に携帯を長期にわたって使用せず、何の成果も得られない場合。
第三に与えられた100億を国益の為ではなく、個人の欲望のために使用し続けた場合。第四に国を救うという目的が果たせぬまま、残高がゼロになった場合である。
・・・ただし、これらは最低限の事項に過ぎない。選ばれしものはその行動に極力責任を持って貰いたい。」


「なお、12人のセレソンのうち、最終的に生き残れるのは、最初に使命を全うしたひとりに限られる。誰かがゴールした時点で残りのセレソンは自動的に消滅する。」