■ミチコとハッチン20みな殺しのランデヴーs宇治田隆史c大橋誉志光d三好正人大橋誉志光g安彦英二浅野直之

ミチコとハッチン
◇1話遅れ。
◆猜疑心に充ち満ちており、それゆえ孤独な王であったサトシ。(イカレタ言動とは裏腹に)彼を慕い、彼の忠実な崇拝者だったシンスケ。
サトシの過剰な猜疑心と小心さがふたりに亀裂を作り、それでもまだ仲が元通りになるとイカレて足りないアタマで信じていたシンスケの無邪気な気分を打ち砕く。そして、取り返しのつかない結末が・・・・という話。「馴れ合い」と「厳然たる殺意」がいったり来たりするのがとても印象的。


◆Aパートに描かれた暴力的な青春時代のふたりの息のあった殺戮者ぶりが、ラストのサトシによるシンスケへの制裁へ照り返されて、サトシの孤独さ、取り返しのつかないことをしたという後悔と一種の「あるものが終わった」感が、静かにしみじみと演出されているような気がしました。


◇特に、これまでシンスケというキャラの「イカレ具合」の造形の深さが、狂気を超越したところにひょいと置いた感じの「ある種の純粋さ」とともに描かれてきたので(声優さんの演技が効いている!)、その「狂気を超越した純粋さ」を小道具としてふたりの運命を締めくくるラストがすごく効いてきましたよ。(10分たって生きていたら許す、云々)あと、随所に挿入される印象的な風車の使い方!


◆ところで、どうやらこの物語は、(直接的に描写されない)「ヒロシ」という大いなる空白をめぐって展開されるいろいろなひとびとの想いの交錯って感じじゃないかなとふと思った。


◇サトシにとってはヒロシはこころを許した無二の親友であり、ミチコにとっては恋いこがれるに値する立派で自分にメロメロな男であり、(未だ直接接したワケではないが)ハッチンにとっては信用ならないダメな男。そして、その実体は・・・・・というのがラストまでの流れなんじゃないかしら。


◇彼らの思いに値する尊敬できる人間が現れるか、彼らの思いを空しくする人物が現れるか、それとも空白はやっぱりもはや失われていた・・・・という話にするのか、どーするのかすごく楽しみ。


◆◆以下メモ◆◆
・「10分!・・10分待って、生きてんなら助けてやんの!え・・だ、だってさ、普通七分で死ぬところさあ、とんでもはっぷんでさあ、・・生きていたら、すげえ!じゃん!(・・・)俺ならやれると思うんだ。狂ったりしねえで完璧に!」(若き日のシンスケ)


・月明かりのカラリとした夜空の元、情熱的でネオンサインが似合うような音楽がサトシの孤独を浮き彫りにします。