■キャシャーン Sins 22永遠という名の雫s小林靖子c山内重保d中山奈緒美g濱田邦彦北尾勝羽山淳一とみながまり奥田佳子総g馬越嘉彦

キャシャーン Sins
レダが民衆に君臨するために「永遠の命、癒しを与えるツール」として捕獲したはずのルナが、彼女の手に余る(心理的な)化け物だった・・・・という展開。


◇過剰な母性(≒生)とそれゆえの(ディオや民衆への)支配欲バリバリのいささかうっとおしい「オトナの女」レダ様と、幼い外見とは裏腹に「生」へ深く絶望し、「永遠の命を求める有限性」に対して冷淡で、しかもサディスティックな残酷さを隠すことなく表現するルナ様との息詰まる対話が、何しろ見どころです。


◆対決は、ルナの掌の上。赤子の手を捻るようにレダは易々とルナに対する心理的な優位を失い、「永遠の命」を渇望してルナの意図した「生ゆえの苦痛」にのたうつことになる。
ルナは、そんなレダを見下して、感情のない表情に2度ほどニヤリと冷笑を浮かべるのだけど、淡々として上品でバカ丁寧なセリフと相まって、これがすごくいい。素晴らしいです。。。
ル・・ルナ様、ワタシも見下して踏みつけてください!・・・みたいに、気がつかなかった自分の中の何かが揺さぶられるような?・・・・・・・だめだ。


◆ところで、この回の後半では、キャシャーンとディオの対話を通じて、「有限性を前提として、その短い限定された生の間に、自らの生き甲斐を達成するために必死に生きる」ことこそに価値があるのだと、この物語のメインテーマが再度語られています。これはこのシリーズを通して幾重にも語られてきました。


◇一方で、それと対比される、「有限性を破棄して無限のなかで、永遠に引き延ばされた生を生きる」ことに対する疑義もやっぱり語られているのだけど、今まで同様こちらについては抽象的にしか表現されていなくて、ここがこのシリーズのシナリオへの最大の不満かなあ。個人的には、同様のテーマを持つ銀河鉄道999的なディストピアの引き出しが欲しいところ。


◆◆以下メモ◆◆
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「欲しいのでしょう?溢れる命が。・・・さあ。」(ルナ)
「・・・ルナ・・・・お前の血を・・・・」(レダ


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・ルナの癒しを受けて生に溢れ出したレダの体。しかし、目のレンズが欠け、滅びの兆候が再び現れる。
「ルナ!これはどういう事?・・・滅びは消えたはずでしょ!」(レダ
「ああ、・・・少し足りなかったかも知れませんね。・・でも、そんなのは永遠の命に何の影響もありませんよ?大丈夫です。」(ルナ)
「完璧でなければ意味がないのよ!・・・美しくなければ!」(レダ
「あなたは美しいわ・・・・」(ルナ)


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・癒しが足りなかったかも知れないと静か上品に述べるルナに対してレダは激高する。
「癒しが足りないと言ったわね。・・だったらもっともわうわ。あなたの血をもっと。」(レダ
「構いませんよ。・・ただ、少々つらいですよ?」(ルナ)


「ああ・・・・わたしは・・全てを手に入れるのよ。世界を、美しさを。命も。」(レダ


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・再びむさぼるようにルナの血をすすったレダは・・・・。そんなレダを見下ろしてルナが語る。
「すこし、癒しが多すぎたのでしょう。・・・でも心配はいりません。・・・・・・永遠の命は美しい。わたしは、ヒトを生かすことが出来る。・・・・昔のように殺してしまうことはない。」(・・・ここで、ルナ、苦悶するレダを見て涙を流しながらニヤリ!そして)「なんて素晴らしい!」


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「最初の戦いから・・・いや、世界に存在した瞬間からお前は俺の前にいた。・・・・・だが、もう理由など関係ない。俺はお前と戦って倒したい。ただそれだけだ。・・・それだけで俺は滅びの世界を生き抜いてきたんだ。」(ディオ)


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・ディオがルナの癒しを受けていないことに驚くキャシャーンに対してディオ。
「永遠の命を手に入れてしまったら、今の、この飢えるような思いも消える。・・・そんな気がしただけだ。お前と戦えれば、滅びなどどうでもいい。」(ディオ)


「似ている。僕がこれまで出会ったロボットや人間達。・・彼らは生きていた、一生懸命。・・・ルナに癒されたものや僕なんかより、・・ずっと生きてた。・・・・君もだ。滅ぼうとしているのに、不思議だけど。」(キャシャーン