■キャシャーン Sins 10過去に囚われた男s小林靖子c&d伊藤尚往g羽山淳一

キャシャーン Sins
◆前回と同様、世界律の体現者であったらしい「死んだルナ」の、その崇拝者の末路の物語。
◇ルナの護衛者であったドゥーンは、ルナの死に打ちのめされ、自らの体も滅びに犯されて、とうに理性を喪失している。滅び行く世界をルナを求めてさすらい、時に襲いかかる凶悪なロボ達を自己保存の本能だけで叩きのめして、ただ愚直に黙々と歩き続ける。


◇この回は、そんな彼の「死に場所に至る途中の話」になるのかしら。この回ドゥーンが出会うディオとレダは、(ルナを殺したとされるキャシャーンとは違って)ドゥーンにとっては因縁がないんですよね。
だから、ドゥーンの忠誠の物語もルナとの過去を懐かしむ物語も、ルナへの崇拝の気持ちもすべて中途半端になってしまい、物語的に昇華されていない気がしっちゃった。(本当はすごく燃えるはずの状況なのに)燃えそこなっちゃった感じがして、フラストレーションがたまりました。ごめん。


◆ところで、キャシャーンを倒すために、ロボの軍団を作ろうとしているディオとレダ。彼らが凶悪ロボ達に君臨するカリスマ性、もしくは政治的な戦略がどうも上手く描けていないような・・・・。(いや、そういう趣旨の物語ではないとは思うのだけど、最低限の納得できる描写が欲しいと思ったもので・・・)


◇このシリーズ、これまでキャシャーンの彷徨と出会いを通して、彼の自己否定の嗚咽、やがてそこから立ち上がり自分の存在理由の探求へと突き進む話の流れは実に素晴らしかった。


◇だけど、これだけ暗鬱な主題で突き進んできた一方で、無秩序な弱肉強食な世界を生きる「チンピラロボ達」へのリアリティを込めた目線がすごく弱いんだよなあ。あまりに定型の鋳型にはめた漫画的な造形であるため、キャシャーンなどの主人公格や毎回の深い精神性を与えられたゲストキャラ達との違いがあまりに際だちすぎる。


◇このアンバランスさが、作品の魅力に転じるのかも知れないけれども、個人的にはものすごく気になってしまって。あー、ごめんなさいっ


◆◆以下メモ◆◆
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・ディオに、キャシャーンを乗り越えることについて話すレダ
「あの時、ルナにたどり着いたのはキャシャーン。・・ルナを殺したのも、・・そして永遠の命を手にしたのもキャシャーン。」(レダ
「ディオ・・・今度はあなたがそのキャシャーンの先に立つのよ。あなたなら、できるわ。」(レダ
「あなたの呼びかけに答えてロボット達が集まってきているわ。・・あなたの軍団よ。彼らの前に立って宣言しなさい。・・あなたが新たなロボットの帝国を作ると。かつてのブライキングボスのように。・・そしてそれを越えるものとして。」(レダ


・ディオは自己否定的。
「アイツらが求めているのも、結局は永遠の命・・キャシャーンだ。オレじゃない。」(ディオ)


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「あのキャシャーン相手にこれだけでは足りない。さらに軍団を大きくしなければ。・・・・それに(・・・)まさか、あのルナが生きているだなんて。私の邪魔になるものはすべて消えて貰わなくては。」(レダ