■キャシャーン Sins 05月という名の太陽を殺した男s上代務c大平直樹d木村延景g奥田佳子白南烈レイアウトgふくだのりゆき総g馬越嘉彦

◆ああっ、もうっ、たまらん。冒頭登場するなり延々とウジウジクヨクヨメソメソと悩み始めるキャシャーンがいとおしすぎる。


◇女復讐ロボ、リューズとの問答で、そのメソメソが突き抜けて、吹っ切れたように殺してくれと彼女に迫る様が音楽相まってなんだか異様にドラマチックでした。
毎度ながらなんでこんなウジウジなダイアローグでこんなに引き込まれるんでしょう。不思議だな。素晴らしいな。


◆しかし、この回はそれだけでなく、そんな「世界に対する加害者意識に苛まれて苦しんでいる善意の存在」であるキャシャーンが「制御の効かない殺戮マシーン」に変貌する展開が更にツボ。
ヒーローが心神喪失して善から悪に裏返る話を、何の因果も語らずに「絵的な得体の知れ無さ」だけで語っていて、素晴らしいじゃないですか。


◇今までの回も感じていたのだけど、大きな優しい瞳を持つ流麗なヒーローとしてのキャラクターデザインを施された主人公が、瞳孔を開かせ目を光らせるだけで意味が反転して発する圧倒的な不気味さが絶妙です。


◇絵的なフォルムは何も変わっていないのに瞳の演出だけで「ロボットらしい不気味さ」が匂い立つように発散するんですよ。特にOPでも印象的な「瞳孔開き」の演出効果は作品世界をも塗り込めるほど圧倒的じゃないかしら。(余談ですが、止め絵によりフォルムを中心に演出されたこのOPの美しさは筆舌に尽くしがたいと思う。迫力のある止め絵の「線」で演出される「動」も素晴らしい。)


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭のアバン。どうやらこの物語の起源について語っている。
「何故あなたはワタシを殺めたいのですか?」(ルナ)
「お前の存在を邪魔と思うものの、命にて。」(キャシャーン
「そこに・・あなたの意思はないのですか?」(ルナ)
「ない。」(キャシャーン


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「わからないんだ・・・でも(世界が滅びつつあるのは)僕のせいだと皆が言う。」(キャシャーン
「その通りよ、あなたがこんな風にしたのよ。世界を。・・あなたがルナを殺した。月という名の太陽をね。」(リューズ)


「悪いのは、きっと僕なんだ。」(キャシャーン



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「教えてくれ。ルナとは。・・いったい・・」(キャシャーン
「ルナは、この世の命の源。全てを照らす希望の光。」(リューズ)
「・・・それを僕が殺した。・・・・分かったよ。僕が・・何者なのか。君の姉さんの言うとおり、僕はこの世に災いをもたらす存在。生きていてはいけないんだ。僕を殺して君の怨みが晴れるなら・・・いやそれだけじゃあない。この世界を滅びに導いてしまった事への・・償いになるのなら。・・君の手で僕を。・・これ以上生きていればもっと多くの不幸が生まれる。・・この手でたくさんの命を奪うに決まっている。・・・だから、その前に。」(キャシャーン