■カイバ02密航s湯浅政明横山彰利c&d横山彰利g本間晃g協力久保まさひこ総g伊東伸高

◆素晴らしい。全編通して、はずむように元気で愛らしい饒舌な女の子を、楽しく魅力的に生き生きと描き、その上でもたらされるあっけない「黙する存在」への変容。
・・・シビレタ。この回は、あらゆる意味でツボに入りましたよう。


◆愛する男のために密航する女の子の健気さがこの回の話の柱なのだけど、彼女自身の本質やその周辺に配置される「異様な描写で表現される不健康なモチーフ」とのギャップが、ものすごくよかった。


◇前回の感想でも書いたけど、まったくもってこの「不健康さ」が、このシリーズのビジュアル的なコアである「メタモルフォーゼ」と良く似合うなあ。


◇この回は、可愛らしい話をコアに、人間性の何かに挑戦するような「不穏な空気」と、随所に挿入される乾いたユーモアが奇跡のように結合して圧倒的な魅力を発散していると思いましたよ。いやあ、良かった。


◆ところで、この回、異形のイマジネーションで表現されるのは、性的な愉悦、一方的で神経症的な片思い、性的な不全、いささか過剰な博愛、そして、不可逆で絶対的な死。
(やっぱり前回も書いたが)これらの劇的な変容をひたすら黙って見つめ続ける、自らも物言わぬ「異形のもの」に変容している主人公の配置の仕方が実に上手い。


◇動的な物語の「行間」とでもいうのかしら?視聴者にとって思考、感情を一切想像できない存在を、敢えて観察者としてポツンと配置してみるこのセンスは素晴らしいです。


◆◆以下メモ◆◆
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・密航の女の子の健気さ!
「あたしたち、幸せになれるかな?・・なりたいんだよね、あたし。住むところは小さくてもいい!嫌な記憶捨てて!楽しいことだけ!頭につめるの!」


「たまご河だ・・・死んだ体から出る記憶のたまごって、・・空を漂って、・・バラバラになって、・・いつかはどっかの星にふるのかなあ?・・そうだといいね!」


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・記憶を失っている主人公の、唯一のよすがである胸のロケットの女の子は、テロリスト?
「未明、惑星ララで記憶タンクの爆破事件が起き、20万人以上の記憶溶液が空へ投げ出されました。正確な人数は把握できておらず、回収のめどもたっていません。・・犯人の容疑者はネイロ。所属する団体から声明文が届いています。
『我々はイッソーだ。魂、心、良き思い出を記憶チップという牢獄に閉じこめる政府に異議を唱える。我々は何者にも権利を奪われない・・・・』」


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・健気な女の子は、記憶のたまごに還元されてしまい・・・
「へっ!ウブかようっ!もっと早く言えぃ。チップもないんじゃ、再生は無理だあ。」