■スカルマン03深紅の雨は午後に降るs大野木寛c田中敏幸d山田弘和g中屋了田中織枝米澤優

一話遅れ
◇やっぱり鷺巣詩郎さんの音楽は、もりあがるなー
この回のBGM的ポイントは2点。女優鬼塚結衣さんのマネージャである小夜子が、幼なじみであり「身分的に上」であるらしい、大伴製薬社長の黒崎豪蔵の令嬢マヤと、教会で再会するところの静かにドラマチックなメロディと、後半のミュータント同士が戦うところの管楽器主体の苦みをカンジさせつつ盛り上がるメロディ。
前者のシークエンスが、後者のシークエンスの原因になるということもあり、ここぞというシーンが音楽で強調され、非常に分かり易くなっています。
サントラ買うしかない。


◇ただ、話はねぇ、「女優であるためには、汚れるのも厭わない鬼塚結衣」と「生き生きとした結衣のように「飛びたいなぁ・・・」と善望を心に秘める、控えめなマネージャー」という、古くさくも取って付けたような、二人のキャラクターの肉付けエピソードが、Aパートで駆け足で展開。
それらのドラマ的配置が、後半唐突に、女優が危機に陥るとマネージャ小夜子が変身して助けようとするというドラマに結実してしまって、カナリ消化不良を感じてしまいました。


ちなみに、寝室での「飛びたいなぁ・・・」という小夜子の呟きは、マヤの暗示的効果を発揮したセリフ「あなたは飛べます。・・・・誰よりも高く・・・遠くへ。」と対応している気がした。
小夜子のささやかな願いは、ミュータントに変身することによって昇華された・・・という脚本なのだと思うのだけど、結衣のドラマが突出した印象を残してしまい、どーもうまくない。
プロット的な柱は明らかに、小夜子だったのだけど、埋没してしまっている印象。


◇ところで、「ミュータントへの変身」というのは、(怪力を発揮する男という第一話のラストがネタふりといえばネタふりだけど)、今までの展開では、(私は)予想できなかった主題なので、かなりびっくりした。(まあ、製薬会社が国の首根っこを押さえている世界だし・・・・ってことですか。)
変身というモチーフなら、変身するのは仕方がないけど、返す返すも、前半のドラマが、後半の変身へ直結する部分に自然さが感じられなくて、もったいないなーと思いました。


◇さて、スカルマンは、メタモルフォーゼした小夜子を殺害し、彼女が守ろうとした女優鬼塚結衣さんも銃で殺害してしまいます。
特に、物語の大ネタとは無関係そうな女優の殺害・・・ええっ、スカルマンって、このままじゃただの犯罪者じゃん、止むに止まれぬ復讐の動機があるのかしら?それとも、スカルマンに扮したなにものかが?
・・・とゆー興味でひっぱっていきますねえ。
この部分の視聴者放置は上手いと思いました。


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭、女優鬼塚結衣に、ドクロのマークの殺害予告状が届いた旨、新聞報道。


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・変装したマネージャの小夜子が、殺到するマスコミのおとりとなる。そんな小夜子を黙って見つめる黒潮豪蔵の秘書の男。
・バイクのおねーさんも、小夜子、若しくは鬼塚結衣の様子を窺っている模様。


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・鬼塚結衣のパトロンにして愛人は、大伴警察の署長ハニワギスケ。
「ねぇ、ぱぱぁ。結衣こわいの!」


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・小夜子のミュータントへの変身は、黒潮豪蔵令嬢のマヤが深く関わっている様子を暗示する演出。
「あなたは飛べます。・・・・誰よりも高く・・・遠くへ。」


・小夜子は、教会付属の孤児院あすなろ園出身。
・小夜子の胸元には、ドクロの意匠のペンダント。


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・鬼塚結衣の若い恋人との写真をネタに、脅迫して呼び出したのは、バイクのおねーさん。
・鬼塚結衣は、この物語のコアには関わらず、小夜子をおびき出すダシとして利用されたみたい。


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・第一話から登場しているトレンチコートのじーさんは、コーヒーに詳しい自称探偵。
・彼の情報では、宗教団体びゃくれい会の理事長は、黒潮豪蔵の妻サラだという。ドクロの意匠のペンダントが、白鈴会と関係があることを暗示。


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・小夜子は、鬼塚結衣の危機に、マヤの暗示的な言葉を思いだし、(「あなたは飛べます。・・・・誰よりも高く・・・遠くへ。」)ミュータントに変身。

・バイクのねーちゃんとその連れもミュータントに変身。二人は、スカルマンの手下らしく、スカルマンとともに、変身した小夜子と戦う。


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・小夜子を倒したスカルマンが呟く。
「・・・こんなにも輝きに満ち、汚れきった日は・・・俺は初めてだ・・・」