■男達の挽歌_dジョン・ウー_撮影ウォン・ウィン・ハン

製作:1986年
原題:英雄本色
出演:ティ・ロン(主人公ホー:ヤクザだったが弟のために足を洗う。髪薄め)、レスリー・チャン(ホーの弟キット:仲の良かった兄との、属性をめぐる葛藤)、チョウ・ユンファ(マーク:ホーの相棒にして親友)


ジョン・ウー監督をメジャーにし、香港ノワールと(日本で)呼ばれるジャンルの先触れになったと聞く本作。
うーん、しかし、私には、銃撃戦やアクション、そして香港映画の受信性能が、圧倒的に不足しているらしく、あんまり楽しめませんでした。おそらく、二丁拳銃や流血などの公開当時の斬新さが、いろんなフォロワーによるイメージの塗り重ねによって、埋没してしまっているのじゃないだろーか。残念。


◇そんな私にとって、この映画の第一の価値は、チョウ・ユンファの発見。香港映画はほぼ完全にスルーして生きてきたので、非常な収穫でした。
不自然な作劇の連続の中で、彼の格好良さは別格。ふて腐れた、唇に不満をたたえた、永遠に成長しきらない「まさにチンピラ」という不敵な面構えが素晴らしい。彼の表情は、見飽きなかったです。


特に、相棒ホーが裏切られて刑務所に入り、彼の復讐の為に片足も不自由になって、かっての後輩に下僕として遇されて地下駐車場に寝泊まりしたりしているうらびれた様子が、カナリ印象に残りました。
まーた、ホーが出所してきたら、きらきら目を輝かせて、また二人してぶちかまそうみたいなことを言うんですよ。惚れましたよ。


◆ところで、話の基本は、メロドラマ。親友との義理と、弟との人情に引き裂かれる、主人公の苦悩。音楽もそれに寄り添ってメロディアスな旋律が繰り返される。冒頭の音楽は、大野雄二かと思ってしまった。
確かに、ジャッキー・チェンの映画に代表される香港映画の(ワタシの)イメージとは、一線を画するものでしたが、しかし香港映画っぽさが拭いがたく浮上してくるのも否定できないように思いました。演技的、映像的にえもいわれぬクセがあるような・・・・


◇しかも、弟との情愛の、死と葛藤と復活が物語の主題なのだけど、冒頭の仲むつまじい様子が、むしろいっそキモチワルイと思ってしまったワタシは、もう完全にドラマに入っていけません。


しかも、好きな方には怒られるかも知れないけれども、見せ場と葛藤を作ることに集中しすぎて、ヒトビトの行動が、すべからくぎこちないのでした。。。。。ああ、もう、いちゃもんばかりでスミマセン。


◆◆以下メモ◆◆
・さて、ところで、実は、チョウ・ユンファは主人公ではなく、主人公はちょっと前頭部が薄くなっている方なんですよね。完全に、チョウ・ユンファに食われてしまっていますが、香港映画の懐の深さをちょっと感じたりしました・・・・。


・弟キットの、婚約者が、日本のバブル全盛期の女性の出で立ちっぽくて、しかも大袈裟な厚化粧でかなり浮いていました・・・・・