■地球へ…01目覚めの日s西園悟cヤマサキオサムd清水聡g波風立流

◇先日、大昔に読んだ中公文庫版を引っ張りだしてきて、うっかり二巻まで読んでしまいましたが、最終巻が見つからなくて、途方に暮れている今日この頃です。
◇さて、アニメ版の第一回は、原作冒頭の弱点をそのまんま引き継いでいる印象。大体において、ワタシは、「管理社会ものSF」が大好きなのですが、管理社会ものとして、「管理社会のリアリティ」がちょっと薄いです。


◇この回で言えば、「目覚めの日」に向けて管理される社会の矛盾や葛藤を主人公の日常からがっちりと浮かび上がらせて欲しかったかも。
思想を含めて生育を徹底的に管理される日常とか、育ての親達との別れが迫る葛藤とか、ある一定以上の年齢の居ない社会の不自然さ、ある日を境にどこへともなく去っていく生徒に対する同級生達の恐怖や、或いは何も感じないように教育されている様とか。


それぞれ、ちょいちょいとほぼ原作の骨格どおりに描写の挿入はあるものの、「挿入」以上の意図はなく、イベントを前にした感情や葛藤の訪れが余りに遅かったりして、悉く不自然になってしまっているのがもったいないと思いました。


◇あと、「悪の管理社会」描写にもほどがあるよ。自宅にさりげなく仕込まれた睡眠薬噴霧装置や、トラックに積み込まれている移動式「洗脳機械」にかけられるジョミーの様に爆笑してしまった。(あと、この場面、昔の「未来感」溢れるシャワー設備にも心が震えた。)
それから、「目覚めの日」のホスト役コンピュータの「邪魔をしおってぇぇぇ」という感じの悪役感とかも、ある意味痺れました。


◇また、(原作どおりだから仕方がないとも言えるのかも知れないが)ドッキリカメラ並みの「目覚めの日」イベントの意味がやっぱり良く分からないや。
徹底的な管理社会なんだから、正々堂々と「目覚めの日」イベントを受けて貰うのではだめなんでしょうかねえ。物語的ケレンってことなのだとは理解しているのですが、本能的に突っ込まずにはいられないところです。ごめんなさい。


都合良く「目覚めの日」設備があるドリームワールドへ行くのはサブリミナルで刷り込まれているって理解でいいでしょーか。


◇EDのパッヘルベルのカノンの変奏は、なかなかヨカッタ。