■天保異聞 妖奇士11日光怪道s會川昇c福田道生d来留須譲二g亀井治谷口守泰小田真弓

◇むー、いきなり妖怪大量登場で、いままでとノリがちがうような。
この世界を魅力的に見せる為には、シリーズ最初から出し惜しみせずに妖怪の偏在する江戸世界を描いたら良かったんじゃなかろーかとも思ったけど、この回に登場する妖夷こと妖怪たちは、どこか魅力に欠ける気もした。
今後は、宰蔵編の「お稲荷さん」で仄かに見せてくれたように、江戸世界に妖夷の出現する理屈が、世界構造と共に徐々に浮上してくるみたいな展開を期待しちゃいます。


ところで、この回は、状況を描くことに終止していて、これまでの柱だった、心理主義的な物語設計がまったく見られなくて、ひどく物足りない。
一般受けは微妙だと思うけど、個人的には、ひねくれまくった、いままでの脚本がかなりツボだったので、今後も頑張って欲しいです。


◇さて、話的には、かなりいろんな要素が放り込まれていて、若干整理しきれていない、ガチャガチャした印象かも。
まず、ユキアツと小笠原さんの妖怪退治道中。
そこに、将軍の露払いたる老中土井利位(としつら)に従って日光街道を下っていく本城たち鳥居耀三一派の動きがつかず離れず絡む。
また、その両者が妖夷と関わる様を、前回登場した高島秋帆先生の下獄を怨んで本城を殺害せんと追いすがる加納さんが茫然と見つめるのでした。


さらには、鳥居一派がどうやら集めているらしい「殺生石」を強奪する、仮面の神主さんみたいな出で立ちをした集団が登場。(どうでもいいが、仮面とぎこちない作画がおかしくて、爆笑してしまった。)
また、小笠原放三郎と、老中土井利位(としつら)と、鳥居耀三が「蛮社の獄」でつながっているとゆー、物語の背骨らしきものもすこうし語られて盛りだくさんでした。


ところで、男ばかりだと華がないのでアトルと宰蔵もユキアツの旅に寄り添わせようという心配りが、なんだかとりとめ無さに拍車をかけているような・・・・


◆◆以下メモ◆◆
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・住職が変異したろくろ首の飛び回る首。
・「こんな顔だったか?」妖怪
・うなぎ怪人


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・鳥居配下の本城の手下である花井がユキアツに、浴場で尋ねる。
「石の噂を聞いていないかね。・・街道沿いに良くある話だよ。その上に腰掛けると、気分が悪くなるとか。・・知らなければいいんだ。知らなければ。」


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・日光に向かうとユキアツが危ない、と述べる雲七の言に従い、ユキアツを連れ戻す為に出立するアトルと宰蔵。アトルのぼーっとした、夢見るカンジの声優さんの演技がいいかも。
「あ、・・あの笠かわいい・・・。(・・・)女のなりで行くつもり?」(アトル)
「仕方がないだろ。栗橋に関所がある。」
「(宰蔵のサカヤキを撫でて)こんなつるつるにして・・・」
・あと、宰蔵の月代(サカヤキ)は、やはりサカヤキなんだなと納得。巫女姿の時はどーなってんのかが知りたい。


「旅に出るには手形がいるんじゃなかったの?」(宰蔵)
「私達は芸人だ。芸人に手形は要らない。どこにいても、どこで死んでも・・・勝手。」(アトル)


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・路傍の岩の前に本城、花井。
「この辺りを通ると妙に頭が重くなったり、行方知れずになるものが多いとか。」(花井)
「それがこの岩の仕業か?」(本城)
・岩を削ると、手のひらに収まる大きさの青い黒曜石のような石が光りを放つ。
「・・・ホンモノのカケラです。」(花井)


・この石の影響で女の連れた妖夷モドキが暴れ出して制御不能に。


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・川辺で花のにおいを次々に嗅いでいる老中土井利位じいさんがキュート。
「4年前、突然有名な学者や医者が次々と捕縛された。ただ洋学を学んでいたと言うだけで捕らえられる。・・・それが蛮社の獄
・・目付鳥居耀三に囚われたものの内、渡辺登(崋山のこと)は自害し、高野長英は今も、牢の中。
小笠原放三郎・・・いや当時は城山放三郎か、彼もまた捕縛されるものと思われていたよ。
・・ところが、鳥居の下で洋学者を厳しく取り締まっていた小笠原ミツグが・・放三郎を養子にしたいと言い出したのだ。
今は鳥居の天下でも、やがて洋学者が権威をもつこともあると算観し、どちらにもいい顔をしたのだ。」(老中土井)
「・・・それで小笠原殿は捕縛をまぬがれた・・・」(ユキアツ)
「そう思うモノは多かろうな。・・・それでもあえて養子となったのは、命乞いか、それとも・・・」(土井)
「ご老人、なぜそのようなことを?」(ユキアツ)
「わしも少々洋学にかぶれておってな。おかげで水野に煙たがられておる。」(土井)


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・仮面集団は、のんきにウナギの蒲焼きを食べている花井から、石を奪おうとする。
「見つけたか?(・・・)殺生石のカケラ!・・・・」


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・川を舞台に暴れた、ウナギ妖怪を倒したユキアツの漢神を見て、小笠原が解説。
「「流」という字は、邪悪の神を、四極に鎮めるという意味があるとか。・・・川の流れから漢神を・・」